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3日くらい経ったあと。
今朝は、晴れ。
いつも通り、学ランのボタンを上から下まで丁寧に通した。
そのまま誰とも声を交わすことなく、2-1教室前まで。
ふわふわと頭の上で揺れるのは、生まれつきの耳。歩くたび僅かに動いてる。
みんなにはない。僕だけのものだ。
中国)おはようアル、日帝。
日帝)おはよ、中国。
満洲国)おはよー、日帝さん!
日帝)おはよう、元気だった?
何気ない、普通の人がするような会話。僕がしていて…それでいいのだろうか?
…偽らなきゃ。僕と親しくしてくれる人の前でだけは。
僕は嘘つき。みんなばかだって心の中で思ってるくせに…どうして、どうして
みんなを突き放したりできないの
授業は、いつの間にか終わって…脚は自然と帰路についていた。
ソ連)…日帝、元気だったか?
一際大きな人影。僕の名前を呼んでいるのは…少し低くてかさついた…冷たい感じの声。
日帝)うん、元気だったよ。
ああ、また。
僕の作り物の笑顔。お人形みたいに無機質で…不気味とさえ思えるような。
…みんなばか。ばかだから気づかない。
僕は人を簡単に偽って…
ソ連)少し、落ち着けるところに行かないか?
声の雰囲気が柔らかくなった。僕を包み込むような、そんな感じ。
僕の心…読まれてるみたい。ぴりぴりしてるの、気づかれてるみたい。
日帝)少しなら、いい
ソ連)よかった。静かな喫茶店があるから、少し話したいんだ。
日帝)ぁ…
…お金、持ってない。
そう言おうとしても、彼は少し強引だった。それは声にもならないまま、僕の心の中にしまいこまれた。
少し雲が見え始めた、夕暮れだった。
…静か。というより落ち着いている。
店内には落ち着きのある、古めかしい音楽が絶えず小さな音量ながら流れていて…どこか懐かしいような気分にさせた。
ソ連)コーヒーと…日帝は?
…お金、持ってないのに。
日帝)…同じの。
ソ連)マスター、コーヒーふたつ。
…ソ連の話曰く、ここは1人でやってるみたいだった。白い髭をたくわえた、マスターと呼ばれた人は…慣れた手つきで2人分を用意した。
ソ連)マスターのいれたコーヒー、落ち着くから…少し飲んでみるといい。
勧められるまま、飲んだ。
苦い。それなのに…ぽかぽかしてくる。
ソ連)…はは、眼鏡曇ってるぞ?
日帝)…後で拭く。
落ち着いた時間が過ぎて…何事もなかったように1日が過ぎた。
人を偽るクズの僕でも…こんな日は訪れる。こういう時間が好きだ。
…家には、やっぱり誰もいない。
真っ暗な玄関に照明をつけて、入ろうとした時…だった。
…視界が真っ暗で
次に気がついた時には…背中の方だけがばちばち、痛かった気がする。
…僕は、嘘つきだから罰で死んじゃったのかな…?