この作品はいかがでしたか?
104
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昔むかしのお話です。どれくらい昔か分からないくらい昔のお話です。
…この、✗✗✗✗✗✗ は、2つの民族が暮らす国でした。
「鉄の守護神(ゴーレム)」と「雪の技術者(イエティ)」…。
ゴーレムは考えることを得意とし、色々なものの設計、計画をしました。
艶のある黒髪と翡翠のような緑色の目が特徴です。
イエティは、ものづくりの才能があり、ゴーレムからの指示書に忠実なもの、もしくはそれ以上の素晴らしい品を作りました。
やわらかく輝く銀髪とラピスラズリのような瞳をしています。
この国には同じ種族同士と結婚しなければならないというルールはあったものの、2つの種族は互いに協力して国を発展させていきました。
さて、先程違う種族と結婚してはいけないというルールがあると説明しましたが、それが反映されない例外もあるのです。
それは、王室です。
もし、王様がゴーレムの種族の人だったらイエティの市民は不満に思うでしょうし、王様がイエティだったら今度はゴーレムの種族の人が不満を抱きます。
それを防ぐため、ゴーレムの貴族とイエティの貴族が結婚し、その子供を王とする、という決まりがありました。
王室でも、ゴーレムとイエティは互いに協力して国を守ってきたのです。
しかし、ある時、事件が起こってしまいます。
国ができてから200年後。
王様が高齢になってきたため、新しい王様をたてることになり、ゴーレムの貴族とイエティの貴族が結婚しました。
生まれてくる子は、いつもなら黒髪に青色の目をした子や、銀髪に緑色の目をした子…のようなゴーレムとイエティが混ざったような子が生まれ、王様になるのですが…。
今回生まれたのは、黒髪に緑色の目をした子(ゴーレム)と銀髪に青い目をした子(イエティ)の双子でした。
どちらかを王様にしても、不満に思う種族がでてしまう。
どちらを王様にするか…話し合いがたくさん行われました。
この話し合いは一向に進まず、とうとう痺れを切らしたゴーレムの貴族の夫人が「イエティはゴーレムが居ないと何もできないじゃない」と言いました。
この、ゴーレムの貴族の夫人の言葉が、2つの種族の間に大きな亀裂を作ります。
ゴーレムの夫人の言葉に怒ったイエティの貴族は「お前たちは、考えるだけで何もつくれないだろう?」と反論します。
この日以降、2つの種族は仲が悪くなりました。
そして、どちらが王様になるか決まらないまま、高齢だった王様が亡くなってしまうと、種族間の溝はどんどん大きくなっていきました。
そしてだんだんと国が2つに分かれていきます。
双子の王子が生まれてから10年後、✗✗✗✗✗✗ は、東をゴーレム、西をイエティとして完全に分かれ、対立しました。
まもなく、戦争が始まります。
互いの種族を貶し、歪み、名誉を踏みにじり合って、互角の戦争は何年も何年も続き、苦しくなっていきました。
東側のゴーレムは武器をつくれないため、長引くにつれ物資が少なくなると、戦力が弱まっていきました。
しかし、頭脳を使い、良い作戦を考えることでなんとか戦い続けました。
西側のイエティは国が分かれる前にゴーレムが書いた武器の作成方法をもとに、武器をつくりましたが、それを活かす戦い方を考えることができません。
武器を大量につくり、消費する…荒々しい戦い方をとりました。
ゴーレムとイエティの戦争は泥沼化していきました。
ゴーレムとイエティは互いに互いの力が欲しくてたまりませんでした。
ただ、相手の力が欲しいからと言って、頭を下げるという行為をすれば、戦争に負けてしまう。
戦争の目的が “自分たちの種族の王子を王様にさせる” というものから、だんだんと “相手の力を手に入れる” というものに変化し、早めに決着をつけようと少しずつ戦いの激しさは増していきました。
長い戦争が始まり、5年が経過しました。
西のイエティの王子は、イエティの中でも美しい銀髪をもっていました。
イエティの王子にとって、ゴーレムの王子は幼い頃の唯一の遊び相手でした。
ゴーレムの王子とイエティの王子のどちらかが王様になるのか、ずっと揉めていたからです。
王子は、親の愛情を充分に貰えなかったのは、 “跡継ぎについて揉めていたからだ” という事実をとても恥じていました。
王子には、戦争が理解できません。
しかし、”なぜ戦争をするのか” と多くの人に尋ねても、皆、「王子の為です」と答えるのです。
争いで王様を決めても意味がない、早く仲直りして話し合うべきだ…この王子の主張は、誰にも聞いてもらえまんでした。
王子は呆れ、成り行きに任せてしまおう…と考えるようになりました。
そんなイエティの王子に、こんな報告がされました。
「敵の王子が自害した。」
…東のゴーレムの王子は、ゴーレムの中でも頭が冴えていました。
イエティの王子は “戦争をしたくない” と考えていること、しかし、このままでは何も変わらず、 “永遠と戦争が続く” ことを知っていました。
そして、自分の1番大切な家族である、イエティの王子を傷つけたくありませんでした。
そんなとき、鉱産資源を手に入れたために、西のイエティの軍が優勢だと聞き、この流れにのって自分が死ねばイエティの勝ちとなり、大切なイエティの王子を守れると考えました。
満月の夜、ゴーレムの王子は、自分に剣を突き刺しました。
翌朝、王子が自害したと思われる庭には死体はありませんでしたが、庭の草木はすべて枯れ、ただこの世のどれよりも真っ赤なポピーが1輪咲いていたといいます。
西のイエティの人々は大喜びでした。
貴族も平民も皆笑顔でした。
イエティの王子に、平民への言葉を貰おうと1人の貴族が王子の部屋に行くと、そこにはもう、王子はいませんでした。
王子が遺した遺書にそって、貴族たちが雪山に行くと、山頂で凍死した王子が見つかりました。
イエティたちは王子を失い、喜びの表情を浮かべる者は誰も居なくなりました。
そして、イエティの王子が尋ねてきたこと…「なぜ戦うのか」を考えるようになりました。
東、西どちらも王子を失ったことにより、自分たちの愚かさを痛いほど感じ、貴族、市民ともに死を選びました。
…これが、✗✗✗✗✗✗ 国の滅亡のお話です。
ゴーレムの王子が咲かせたポピーは、永遠に枯れず、今もその場所で咲き続けています。
イエティの王子が自害した雪山は、登ってはいけない死の山として近隣の住民に語り継がれています。
この時から、✗✗✗✗✗✗ 周辺の地区では、男の子の双子が生まれると王子たちの生まれ変わりだとされ、前世で戦争に巻き込まれた分、今世では幸せにしてあげようと大切に育てられるようになりました。
王子たちは、✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗ 、今も双子としてこの世に生まれ、✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗ 。
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コメント
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文字化けのところがすっごい気になりますにゃ...