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卓は出演バンドへの注意事項を話している。しかし、サークル部員の多くに、聞いている様子はない。室内に流れるBGMに合わせて、ドラムスティックをテーブルの下でチャカチャカ動かしている者がいる。歌詞カードを見ながら、声に出さず口を動かしている者がいる。譜面を真剣に見ている者がいる。控え室の位置、リハの順番、PA、照明の配置なども大切だが、出演者にとっては、曲の構成やコード進行、歌詞などを覚えることのほうが、差し迫った問題である。
店のカウンターの奥に、無愛想なマスターの顔が一瞬見えた。
俺はケースに入ったギターをつかみ出して弾き始めた。エレキギターはアンプを通さなければ音が小さい。特にこのテレキャスターは一枚板のソリッドボディなので、躯体に空洞がなく、ボディから響く生の反響音が小さい。BGMに合わせてリードフレーズを加えたり、何となくコードを探ってみたりしてみる。