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21 - 第21話 会うということ

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2025年06月25日

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思わず会いたいと答えてしまったあの日。


《ありがとう。うれしいよ》


その後は具体的には何も話が進まない。進まないことにホッとしているのと、本気じゃなかったんだと残念に思うのと複雑な気持ちだった。


《ミハルって、髪、長いの?》


〈セミロング。長くも短くもないです〉


《身長は高い?》


〈165です〉


《お?ということは仕事中は170くらいになるの?高めだね、かっこいい!》


___あ、仕事中は5センチヒールを履いてるって話したっけ?


もちろんそんなことは、でっちあげだ。


〈最近は疲れるから、ローファーとかが多いです〉


《ふーん…ね、ミハルの写真、送ってよ。見てみたいなぁ》


どきん。

私が翔馬に対して作り上げたミハル像は、現実の私とはかけ離れている。既婚者であることや身長くらいは現実的だけど。


〈私なんてとても!翔馬さんが見たら幻滅してしまうと思うから…〉


《えーっ!俺は正直に写真を送ったのに、なんかズルくない?》


〈でも、ホントに写真なんて送れるものはないですから〉


《じゃ、わかった。会おうよ!写真がダメなら実際に会ってしまお。いつがいい?》


どきん、どきん、どきん。

心臓が早鐘のように鼓動を打つ。やはり、会うことになるのだろうか。会わないと言ったらきっと、翔馬はLINEをしてくれなくなる。


___でも、会ってしまったら?


ただで済むわけがない、と思う。カラダ目的じゃないとは言い切れない、と思う。


ふと、数日前の夫と子どもたちの会話を思い出した。


「えっ!この女優さん、お母さんより年上だよ?」


「お母さんはもう終わってるからなぁ、仕方ないよ」


終わってる…でも、反論できなかった。それを思い出したら、翔馬と会ったとしても女としては見られないかもしれない。もし、求められたらそれはそれで私は終わってないという自信にもなる…かもしれない。


〈会ったとしても、翔馬さんはがっかりすると思います。家族にも女として終わってるなんて言われてるし〉


《そうかな?こうやってやり取りしてるミハルは、俺にとってはとても魅力的な女だよ。会って確かめたいな、そんなミハルを》


___魅力的?私が?


外で何をしてるかわからない夫、私を女として終わってると言った夫を見返してやりたくなった。


〈わかりました。でも、美容院に行ったりしたいし、仕事の都合もあるから少し先でもいいですか?〉


《じゃあ、そうだな、20日後はどう?》


3週間後。頑張ってダイエットして、おしゃれの練習をすればなんとかなるかもしれない。


〈はい、わかりました〉


《やったね!これで仕事のモチベーションもあがるよ。ありがとう、ミハル!》


うれしそうな翔馬のコメントに、私もうれしくなった。それはまるで、人生初めてのデートに誘われたようだった。



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