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鷹槻れん/鷹槻うなの

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鷹槻れん/鷹槻うなの

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臣桜
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#恋愛
水無月 京
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まるで、私の思考をそのままなぞったようなセリフに、頭が真っ白になる。
「え…」
「弓家さんと、会社の役割とか機能に依存した関係性だけなんてつまんない」
「それは……」
「弓家さん、好きだよ」
彼女になってよ。
全ての音が凪いで、目の前で笑う彼の声だけが飛び込んでくる。自分の拾った音に自信が持てなくて、硬直したまま豆さんを見詰め続けていれば「もしかして俺ドン引かれてる?振られた?」とにこやかに言葉を続けるから慌てて首を振る。
「…私なんかで大丈夫ですか」
「むしろ、弓家さんじゃなきゃ困るかな」
「私、彼女になっても面白くないかも」
「俺別に彼女に面白さは求めてないので大丈夫です」
でも、弓家さんと過ごしたら毎日面白いんじゃないかな。
彼の視線の先には、きっと未来の日々が写っていて、そこに私がいるんだとしたらこんなに嬉しいことはなくて。
ようやく実感したところで、目のふちに涙が溜まってきていることに気づく。この年で泣くなんて恥ずかしいのに、ポロリとひと雫が落ちれば、それに釣られるようにポロポロと涙が落ちてくる。
「泣くこと?」
「…当たり前じゃないですか。だって私も豆さんのこと好きなのに」
「ほんと?うれし」
慌ててカバンからハンカチを探し出して目元に当てる。もうメイクも崩れてるだろうし最悪だ。
豆さんは少しだけ座る位置を私に近づけて、泣く私をあやすように髪を撫でる。一定のリズムで触れる温かい手に、徐々に心が落ち着いてくる。
「はぁ」
ようやく落ち着いてハンカチを目から外せば。
今度は豆さんが椅子の背に無造作にもたれる。
「こんな色恋イベント…果てしなく久しぶりすぎて…緊張した…」
「豆さん緊張するんですか。仕事で散々講演とかしてるじゃないですか」
「馬鹿言え。それとこれとは全く話が違うんだわ」
まーじで振られたかと思った。
「え、そんな場面ありました!?」
「だって泣かれたから!」
ぬるくなっているだろうビールを飲み干して、ふう、とネクタイを緩める姿。
オンの姿も好きだけど、緩む瞬間の彼が好きだなと再確認してしまう。
ようやく手をつけた料理は、流石に冷めていて。
ごめんねと謝られるけれど、そんなことが気になるわけもない。
「ご存知の通り俺割と忙しいんですが」
「よく存じております」
「弓家さんとの時間もなるべく作るから。俺が不要そうな会議は全部切るわ」
「いや、働いてくださいよ」
「冷たいな!彼女でしょ!?」
おどけながら料理を口に運ぶ彼は、さっきまでの大人な態度はどこへやら、一転して少しテンションが高い。そう思うと、案外わかりやすい人なのかもしれない。
「一緒にいる時間を作ってもらえるのは嬉しいですけど、やっぱり働いている豆さんを見ているのが結構好きでして」
日々、あらゆる方角から降りかかってくる難題に、毅然と立ち向かって解決していく姿が私は好きなのだ。
「あら、そう言われるとサボれないね」
「でも、たまには一緒に過ごしていただけると助かります」
「当たり前だわ」
何しよう、どこ行こう。
来月1週間大阪出張行くけど来る?と気の早いお誘いをもらって胸が弾む。
「初旅行が出張の帯同というのは、なかなか趣がありますね」
「社畜らしくて最高だな」
サボって中之島の美術館とか行く?
白ワインが2杯運ばれてきて、改めて乾杯をして喉を潤す。キリッとした辛さの液体が、さっきまでのモヤモヤを綺麗に流し去ってくれる気がした。
「結局、また飲みすぎてしまった気がしなくもないですね」
「…そうね」
大好きな人とともにする食事の幸せさを堪能しながらデザートを迎え。上品な甘さに頬がゆるみっぱなしになったところで、この締まりのなさはアルコールによるものでは、とようやく気づいた。
「ちゃんと面倒見るからご心配なく」
「豆さん、ちゃんと面倒見れるんですか。他人に興味ない人だと思ってたんですけど」
「全然ないよ。弓家さんが例外なだけ」
そうじゃなきゃ恋なんてしないわ。
諦めたようなため息すら愛おしい。
「じゃあ」
するりと動いて豆さんとの距離をゼロにまで近づく。咄嗟のことに固まる豆さんの首に両腕を回して
「酔っちゃったんで、面倒見てください」
勢いと酔いに任せて、下から豆さんを見上げれば。
「お前…ほんと……」
口の端から漏れる呟きは苦しそうで。
「後悔すんなよ」
ひどく余裕のない声がしたかと思うと、視界が暗くなる。
少し乱暴に唇にぶつかった柔らかいそれは、驚くほどに熱い。
「望むところです」
「…まじでさ、おじさん煽る癖あるよね弓家さん。それわざと?」
「…わざとだって言ったら?」
「………負けたわ」
だって。
強気な彼が困ったような顔で笑う姿も、大好きだから。
たまには、困らせても良いってことにさせて欲しいです。