「トルテさーん、今日のコラボ配信、サムネ作った?」
「おー、今やってる」
「あのさ、頼むから過激な言葉書かないでねー。リンク貼りずらいからさー」
「今更カマトトぶんなって。お前のリスナーだってもう慣れっこだろーが」
「おい、ふざけんなよ笑」
そんな何気ない会話が、地味にしんどい。
(なんでこんなに、フツーの顔して隣にいられるんだろ)
弐十は無自覚にキルに距離が近い。ふとした瞬間に肩が触れ合う。歯ブラシ並べてると、平然とキルの分も替えを買ってきたりする。
ある日、「トルテさんさー、俺のこと大好きだよね?」って、冗談っぽく言われて。
「……あーはいはい、好き好き。にとくん大好きでーす」って、顔を見ずに返したキルの手が震えてたこと、弐十はきっと知らない。
⸻
その夜、リビングで弐十が寝落ちして、Tシャツの裾から覗く鎖骨がやたら色っぽく見えてしまって。
キルは静かにベランダに出て、煙草に火をつけた。
(……叶わねぇな)
自分の心臓の音だけが、夜に響いていた。
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