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「アドラ寮204号室!フラン・ワトンソン、レモン・アーヴィン」
と、寮編成後に部屋編成もあり名前を呼ばれた。
(レモン・アーヴィン…良い人ならいいな…)
若干の不安を抱えつつも今日の始業式が終わって部屋に帰るまで会うのは確率的にほぼ不可能なので特に気にしないようにする。
「ここがあなたたちの教室よ。」
この学校は大きい。そのため今は新しい担任の先生にみんな学校案内をしてもらっている。外部編入の人は覚えるのが大変そうで戸惑っているものもいるが、時期に慣れるだろう。そう考えていると列の前に並んでる人に声をかけられた。
「あの…もしかして内部進学の子ですか?(こんな広い場所覚えられないよ、友達だっていないし…どうしよう)」
(あぁ、外部の子なんだな。しばらくは案内しよう。)と相手の心を聞いたフランはそう思いながら会話を続ける。
「うん!ここ広くて覚えるの大変でしょう?しばらく一緒にいようよ。案内するよ!」
「ありがとうございます!不安だったんです、友達もいないくて…。」
「私だって内部進学なのにそんなに友達は多くないよ。これからできるよ、大丈夫。名前なんて言うの?」
「レモン・アーヴィンっていいます!」
(レモン・アーヴィン!?この子か!)
フランは驚いた。同じ部屋の相手が話しかけてくるなんて。金髪にリボンをつけた可愛らしい感じの人で安心した。変な人じゃなさそうだ。
「同じ部屋の子じゃないの!すごい偶然ね。私はフラン・ワトンソン。改めてよろしくね。」
「本当だ!フラン・ワトンソンさん!よろしくお願いします!(優しそう〜よかった〜…)」
(優しそうに見えたならよかった)と思いながら早くも友人ができ、ほっとしている。
(私、友達を作るのが得意じゃないんだもの…)とふと心を読める自分の能力を思い出してしまう。けれどもう悩んでも仕方がないことなのでこれからの生活が穏便であることを祈るしか…
バキッッッッッ!!!!!!
ありえない音にハッとして振り返ると廊下の壁にヒビが入っている。
(急に…?喧嘩でもあったのか…?あの人誰だ…?)
「コラァァァァァ!急に壁にヒビ入れるやつがおるか!」と先生が怒る。
「すみません…転びそうになって咄嗟に手をついたら…」
(え…それでヒビって入るものなの!?とんでもない生徒が…手ついただけで…?そんな魔法あるの…?)とフランは驚き興味を持った。
しばらく進み案内も終盤というところで興味を持った壁を壊しかけたあの生徒にフランは話しかけた。
「あの…名前なんていうんですか?」
「え、僕?マッシュ・バーンデッドです。何か?」
(バーンデッド…聞いたことない、有名な一家の子ってわけではないのね。)
「マッシュさん、よろしくね。私はフラン・ワトンソン。その…手大丈夫かなって思って。」
と言い、フランは愛想の良い笑顔を見せる。新しい環境で友人関係を広げていて損はない。
「フランさん、これくらいいつもあるし大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」
「そう…なんだ。」
いつもというところに引っかかるが話を続ける。
「ねぇ、マッシュさんの固有魔法って何?」
「コユウマホウ?(なんだ、それ。なんかの食べ物の名前かな?)」
「僕はシュークリームが好きだよ。一個食べる?」
とマッシュはシュークリームを差し出す。
「えっ?あ、ありがとう…?(もしかしてこの人固有魔法を知らない!???)」
「いいってことよ、君いい人そうだし。これからよろしくね。」
「うん…。」
(この人本当に知らないのか?知られたくなくて警戒してるだけ?踏み込みすぎた?それにしては心の声がそのまますぎたけど…)
とフランが混乱している横でマッシュはシュークリームを食べている。
(なんなの、この人…)
と悩んでいるとふと前から圧を感じる。不思議に思って前を見るとレモンがすごい顔でこちらを見ている。
(なんだ…どうしたんだ…?何かあった?)
と思いレモンの心を読むと…
(なんなのフランってやつ!!!!!私のマッシュくんと仲良さそうに喋っちゃって!!しかもフランの方から!!私のなんだからね!絶対惚れないでね!フランって人も悪い人じゃないんだろうけどさ!私の未来の旦那さんなんだから!!)
(…なんだこの暑苦しい心の声は。私に嫉妬してる?いつ知り合ったんだろうこの2人。マッシュさんのことが好きなのかな?あんまり関わらない方がいいかもな…)
隠す気があるのか!とつっこみたくなるほど嫉妬を剥き出しにした顔でこちらを見てくるがレモンは盲目で気づいていないのだろう。いや、バレたとしても気にしなさそうだ。とりあえず同室の人との友情を築かなければ穏便な生活がない、と思いながら教室に戻って行った。