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#秘密
はおと/因幡てゐを愛す者
109
Kenri
1,074
柑橘系の人
5
ユウは地面を蹴った。
迫り来る異形の腕を紙一重でかわし、そのまま懐へ潜り込む。
「チッ…!」
目の前のそれは、確かに″人だったもの″の形をしている。
だが、その動きはあまりにも異質だった。
ナイフを振り抜く。
確かな手応え――のはずだった。
だが…
「はぁ!?」
斬ったはずの箇所が、ありえない速さで蠢き塞がっていく。
その瞬間、感染体の顔が僅かに歪んだ。
まるで痛みを耐える″人間″のように。
「ア゙ァ゙ア゙ア゙……!!」
感染体が悲鳴を上げ腕を振り上げる
(やべっ)
ユウが一歩後ずさると同時に
乾いた銃声が鳴り響いた。
直後、感染体の頭部が弾け、その場に崩れ落ちた。
「…は?」
ユウは一瞬遅れて動きを止める。
遅れて無線が入った。
『あー、ごめんユウ。大丈夫だった??』
間伸びした声。
ユウは眉をひそめながら、弾の飛んできた方向へ振り向く。
少し離れた建物のベランダ。
そこに――
ヒラヒラと手を振る影が、 にこやかにコチラを見下ろしていた。
無線の先には、この部隊でただ1人の狙撃士レンの姿があった。
「今の俺に当たったらどうするんすか!?」
『大丈夫、大丈夫』
軽い笑い声。
『僕、射撃得意だからさ』
「そういう問題じゃねぇ!!」
ユウの叫びが響く。
「…騒ぐな」
低い声がすぐ近くから聞こえた。
「っ!?」
ユウが振り向く。
いつの間にか、ジンが背後に立っていた。
ジンの視線は、倒れた感染体に向けられている。
微動だにしないその死体を、じっと見据えていた。
「…戻るぞ。まずは報告だ。」
それだけ告げて、ジンは背を向ける。
迷いのない足取りでその場を離れていった。
「ッス」
ユウも短く返し、その後を追う。
「僕も帰るか〜」
レンは肩をすくめ、ライフルの銃口を布でひと拭きする。そのままスリングを肩に掛け直し、誰もいない室内を抜けた。
「お邪魔しました〜」
気の抜けた声だけを残して、玄関の扉がパタンと閉まる。
コメント
1件
ぱるをさん、第3話読みました! この話のテンポ、めっちゃいいですね〜。ユウとレンの掛け合いが軽快で、シリアスな戦闘シーンとのギャップが効いてる。ジンの「騒ぐな」の一言も渋くて好きです。 感染体の再生する描写とか「人だったもの」の表現もゾクッときました。続きが気になる〜!次の戦闘シーンも楽しみにしてます🔥