特段大きな事件も無く毎日穏やかに過ごしているように見えて、ぺいんは数週間前からとある悩みを抱えている。
「入ってきます。」
「はーいごゆっくり。」
ぐち逸が浴室に入ったであろう時を見計らってトイレに篭る。ぺいんにはそっちの欲も当然あって、それも抑えが効かなくなってきた。ぐち逸に気付かれないようこっそり自己処理して発散している。
「はぁ、はぁ…そろそろ出ないと…」
最初は数日毎に1回で済んでいたのが今は毎日、日によっては数回しないと治まらなくなってしまった。
「ゎっビックリした。」
「おわっ、ごめんごめん。ちゃんと温まった?髪乾かそっか。」
「なんかぺいんさん顔赤くないです?熱ある?」
「えっ!?あーいや?そんな事ないよ、大丈夫。寒いから早くリビング入ろ。」
急いでトイレから出るとちょうど鉢合わせたぐち逸に要らぬ心配をさせてしまった。理由を話す訳にもいかなく誤魔化して手を引く。
「水飲みな。」
「ぺいんさんも。あとちょっと診察させてください。」
「俺はほんとに大丈夫だよ、なんともない。ありがとね。」
理由が理由なだけに申し訳なさが募り、謝罪と感謝の意を込めていつもより丁寧に髪を乾かしたのがいけなかった。治まったはずなのにぐち逸から香ってくるシャンプーと混ざったほんのり甘い匂いに充てられ、また昂ってしまった。
「ありがとうございます。」
「ぅ、うん。ごめん水飲んでくるね。」
「やっぱり大丈夫じゃないですよね。暑いですか?」
「暑く…はないよ?」
「ちょっと診ますよ。」
あんまり拒みすぎるのも良くないだろうと診察を受けた。真剣に診てくれてるのにいけないと頭では分かっていても、目が合い、触れられると高揚してしまう。
「至って健康ですね。暖房消しますか。」
「ううん、平気だよ。めっちゃ元気だし!」
「それは何よりです。」
「ごめんね、ありがと。」
安心したぐち逸がぺいんの胸元を見る。これ以上触れ合ったらますます不味い事になるけどいきなり断るのも変だし…と悩んでいるとぐち逸のほうから寄りかかってきた。
「!?どっどうしたの?」
「…いえ別に。」
「……ぐち逸、さぁ…」
「どうも、してないですから///」
「ぁーうんそうね、どうもしてないよね…」
大きく息を吸って頭の中を真っ白にして必死に平静を取り戻そうとするも、ふと目が合い穏やかに笑いかけてくるぐち逸にもう無理だ、と意を決して話し始めた。
「ぁ、あのさ、ぐち逸って…そのさ…」
「はい、どうしたんですか?」
「えっとーその、さ…ぇ、っちな事とか、興味ある…?」
「…へ?」
予想だにしない質問をされて間抜けな声が出てしまった。ぺいんを見ると真っ赤になって目が泳いでいる。
「やっぱなんでもない!今の忘れてっ!」
「………えと、その、それは所謂……性…行、為…という認識で合ってますか…?///」
「う、うん。そう…///」
「…聞いてきたという事はぺいんさんは興味がある、と…」
「きょ、興味っていうか、まぁそりゃ恋人だからさ? もし、もしもぐち逸が俺と同じ気持ちだったらそういう事もしたいなって思うけど…」
「そう、ですか///……ぺいんさんと、だったら、興味あります…///」
「えっうそっほんとに!?嘘ついてない!?俺に気遣ってない!?」
「その、なんて言うか……私そういう知識とかほとんど無いんですけど、それでも良ければ///」
「いや俺もネットで調べた情報しか無いんだけど、絶対大事にするから!嫌な事とかしないから!」
言いながら頭を撫でた後は沈黙が流れた。どちらも緊張で身体が固まり、汗をかいている中ぐち逸が声を絞り出した。
「…ぇと、あの、ベッド行きま、す…?///」
「えっ今から!?良いの!?」
「ちっ違うんですか!?てっきりその、…///」
「いや俺は正直言うと今すぐにでもしたいんだけど、ぐち逸大丈夫?心の準備とかさ…」
「だいじょぶ、です。たぶん…」
その返事を聞いたと同時にぺいんはぐち逸の手を取り立ち上がった。ぐち逸の意志を確認するようにゆっくりゆっくり、ぺいんの部屋へ向かう。






