この作品はいかがでしたか?
5,604
この作品はいかがでしたか?
5,604
〜ストーリー内容〜
・朝菊
・大学生軸
・人名表記
・実際の国とは一切関係ありません
・短い
☆全年齢
『一目惚れ』 なんて、漫画やアニメの世界でしか起こらないと思っていた。
アニメや漫画で出てくるシチュエーションを体験するなんて、夢のまた夢の話だと思っていた。
「あ、あああの!こ、こここれ、おとし、まし、たよ…?」
不自然すぎるカタコト言葉で、相手にハンカチを押し付ける。
今思えば、あれは大分一方的だっただろう。
大学の講義中、懸命にノートを取る彼の背中を見つめながら、高校二年の思い出に思いを馳せた。
彼…アーサー・カークランドに惚れたのは、いつからでしたっけ。
初めて話したあの時に「ありがとう」って笑いかけられた時?
いや、それは彼への恋心を自覚するきっかけに過ぎない。
恐らく、「一目惚れ」だろう。
生徒会長という立場の彼は、綺麗な顔立ちや元ヤン(噂ではそうらしい)の荒い性格も相まって、それはそれは目立つ人物だった。
気づけば遠くから目で追っていたし、少しでも近づきたいと思うようになっていた。
「む、難しすぎる……カークランド会長はこんな大学を受験するんですかぁ……」
「菊はすげぇよな。好きな奴のためにそこまで頑張れるなんてよ」
「自分でもびっくりですよ…」
「まあ…頭の良い所に行って損は無いですし、一石二鳥じゃないですか?」
「はは!そんだけアーサーのことが好きなんだな。 頑張れよ、菊」
高校時代から共に過ごしてきたギルベルトさんは、笑いながらそんなことを口にしていた。
「一生に一度の華の大学生ライフを何もせずに過ごす気!?お兄さんが菊を大変身させてあげるから、ちょっとそこ座って!!」
無事にカークランド会長と同じ大学に通うことが決まった時、高校時代からの友人のフランシスさんは、私をイメチェンしてくれた。
「ほら、やっぱり目出した方がいいじゃーん!」
「わぁ…!あ、ありがとうございます」
伸びきった前髪を切り、メガネからコンタクトに変え、溜まったアルバイト代で新しい服を買い…いざ鏡に写る自分を見てみると、なんだかキラキラして見えた。
そんなこんなで、大学生としてカークランド会長と同じ大学に通い始めて約一ヶ月。
…今は会長ではないが、一度定着した呼び名を変えるのは少し難しいから、このままにしておこう。
相変わらず、私は遠目で見つめるばかりだった。
「(はぁ…って、いけませんね。今は講義中…集中しなければ)」
意識を変えるようにシャーペンを握り直すと、再び教授の声に耳を傾けた。
初めて会った時、「綺麗だ」と思った。
元ヤンと噂されて怖がられまくっている俺に初めて優しい目が向けられた。
「あ、あああの!こ、こここれ、おとし、まし、たよ…?」
「………」
「……ありがとう」
「!い、いえ…」
あの瞳を前髪で隠すのは、少し惜しいような気がしたが、柄にもない言葉は胸の奥に押し込んで、一言感謝だけを述べて去った。
「か、カークランドかい、ちょう…?」
「あ?なんだ?」
「え、えと…カークランド会長って、どこの大学に行くかって…決まって、たり…」
職員室へ書類を運んでいた時、「手伝います!!」とかなんとか言われて、二人で廊下を歩いている最中。
おずおずとした口調で聞いてきた。
「…?なんでそんなこと…」
「あ、ああいや!け、決して裏があるとかじゃなくてですね…」
めちゃくちゃ動揺していた。
両手は書類で埋まっていて、身振り手振りはできないから、アイコンタクトや態度で必死に否定する姿は少し可愛いと思ったのは、きっと気のせい…だと思う。…多分。
まあ、何か悪いことをする訳ではないだろうと思い、素直に行く予定の大学を教えた。
それだけ聞くと、彼は少し青い顔をしていたが、なんだか喜んでいたようにも見えた。
「(…名前、聞いときゃよかったな)」
なんて、今更なことを考える。
俺が行く大学を聞いてきたぐらいだし、もしかしたら彼もここにいたり…なんて。
初恋乙女は、まだ格闘前である。
お互いの存在に気づくのはいつになることやら…
To be continued…?
コメント
12件
うぎゃぁぁぁぁああああああああああ!!!朝菊だぁぁぁぁぁあ!!!!!好きもう大好き!!!あああぁぁぁぁ幸せな人生でした…😇
来ちゃああ!!!
あーら朝菊。私がヘタリアで1番最初に推したカプだわ