テラーノベル
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──────ルカさん視点──────
頭がクラクラとする。もう、感情が分からない。ぐちゃぐちゃとした感情───悲しみ、寂しさ、怒り、不安、罪悪感、後悔、絶望、無力感、孤独感、恐怖感、混乱、虚無感、安堵感、未練───何もかもがぐちゃぐちゃだ。現実感がない。だって、ひなは、ひなは…目から零れそうなそれを無理に引っ込め、冷静さを保とうとするが、頭はぼーっとして冷静さの欠片もありはしなかった。なんで、俺は躊躇わなかったのだろうか。なぜ、自分の手で妹を殺してしまったのか。ひなの感情を操る能力ときちんと向き合わず、己の感情と勘違いしてしまったのか。───ひなを引っ張ってるようで、引っ張られていたのは俺らしい。
「別に、泣いちゃえばいいじゃないですか。」
不意に、横から声が聞こえる。気配を感じない、その女性は生気すらも感じられない白い肌を持ち、海のような瞳が俺を真っ直ぐ射止めていた。めめさんは寂しげな笑みを浮かべながら話を続ける。
「大切な人を失ってしまう辛さ、…よく分かりますよ。辛くて、悲しくて、後悔がダラダラと心を覆って、信じられなくて…色んな感情がごちゃ混ぜになって、何がなんだか分からないんですよね。なら、感情を垂れ流しちゃいましょ。全部、洗いざらい話して楽になっちゃいましょ。」
「…ずるいですよ、めめさん…。」
人が、せっかく頑張って我慢しようとしてるのに。けど、そんな、温かい言葉が俺の心も、決心も溶かしてくれる。いつの間にか、熱い涙が頬をつたった。
「ッあ゛あ゛ッッ!!どぉ゛し゛、て゛ぇッ!!あいつがッ、、死なない、とッいけねぇんだよぉ…!!おかしいだろッ!!」
ダムが決壊したかのように、溜め込んだ言葉と涙を吐き捨てるかのように俺は無我夢中で泣き叫ぶ。実際に、こんなことを思っていたのか、と自分が言った言葉に対して驚いてしまう。けど、そんなことよりもひなが死んでしまったという事実が、泣いたことで現実感が増し、どこか、生きていると願っていたそんな、心の中の儚い希望がパキンッと音を立てて壊れた。
──────その後は無我夢中で泣き叫びたい声が枯れるまで悲しみを、どうしようもない怒りを叫んだ。めめさんは、否定することも、止めることも、肯定することもせず、黙って聞いてくれた。…少しだけ、気分が良くなった気もする。が、ぽっかりと空いた穴はどうしようもなく、もう一度塞がることはなかった。
──────メテヲ?視点──────
みんなが休んでいる間、メテヲは仲間から少しばかり離れた位置で瞑想していた。いや、瞑想などではなかった。
「これからどうするか、よね…。」
脳内で語りかけてくるのは菓子さんである。猫耳、ツインドリル、つり目。どことをどう切りとっても菓子さんである。原理はよく分からないが、メテヲは食べた魂と話すことが出来る。大抵は食べられたことによる恨みつらみや自身に勝ったことに対する賞賛などがほとんどでこんな長時間対話しない。と言うより、メテヲが話したい、と思わない限りそいつらは自然と話さなくなり、使う時にすっと中に入ってくるイメージだ。中々に文言に表すことが難しいな、なんて思いながら菓子さんの話を聞く。
「ぜんさん、あなたは神を食べたわけだけど他の神も食べれると思う?」
「思えないねぇ…」
中々に痛い所を突かれた。メテヲ──────つまり、時空の神であるメテヲを食べられたのはこいつが神になって日が浅かったからである。食べたことによって、メテヲに関するあらゆる情報を見たが、メテヲが生きているのはせいぜい1万年程度で、神になって600年ほど、という日の浅さ。経験値が圧倒的に低く、そして、生まれながらにして神になるために生まれたのではなく、神に仕えるために生まれたという、なんとも神らしくない経歴の持ち主だった。大分特殊な人生で、正直羨ましい。波乱万丈。僕が1度しか体験したことの無い景色。いつか、また──────
「…てか、なんでずっとメテヲさんの姿でいるのよ。普通にいつもの姿に戻るのはどう?」
菓子さんが呆れ気味にそういう。いつもの姿。というのは白熊のぜんこぱすのことだろう。しかし、その姿になれることはもう二度とない。だって、僕が生きるために2度、身代わりにしたのだから。1度目は、ぜんの死のとき。2度目は空間に圧縮されそうになっときだ。2度目の時に魂を確認することはできなかったが、恐らくないだろう。神の領土でもあるこの天界で、魂が突然落ちたのならばすぐに回収されるに決まっているのだから。
とりあえず、菓子さんには嘘を織り込んだものを伝えておく。僕が罪人だなんて知ったら協力してくれないかもしれない。別に、それでも構わないのだが、話し相手が居ないのは少々困る。
「…メテヲさんにぽれの魂を壊されました。だから、もうあの姿に戻れないです。」
「……悪いのことを聞いたわ。その格好で全然構わないわよ。…ごめんなさいね。」
「はは。もう大丈夫ですよ。…長年の体を失うのは辛いですが、生きてるだけマシですから。」
──────いつか、本音で話せる人はできるのだろうか。そんなことを思いながら、食した相手にさえ嘘を吐いた。
ここで切ります!昨日投稿できなくてすみません!!昨日は少し用事と疲れが溜まってしまいまして…。それを処理してたらいつの間にか9時くらいに…。まあ、今日ちゃんと書いたので許してください()
時間もないので!それでは!おつはる!
コメント
4件
時間無いよね〜