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雨で濡れた石畳の音が、夜の静寂に響く。騎士団は息をひそめ、闇に紛れながら魔術師の屋敷に迫った。「全員、注意して進め!」隊長の低い声が、冷たい空気を裂く。その中で、ひときわ目立つ白銀の鎧。長髪を風に靡かせながら、凛とした姿勢で剣を握る一人の騎士――セレイン。その瞳には決意が光っていた。「ここから先は…私一人で行く。」仲間たちの驚きの視線を背に、彼は屋敷の扉へと向かう。
「待て!無茶だ!」隊長の声が叫ぶが、セレインは振り返りもしない。「大丈夫、私が…」言いかけた声が、夜風にかき消される。
扉を押し開けると、そこは薄暗い広間。ろうそくの光が揺れ、壁には奇怪な紋章が浮かんでいた。魔術師――カルディアスが椅子から立ち上がる。黒いマントの裾が床を滑るように動き、冷たい笑みを浮かべた。「ふふ、よく来たね、勇敢な騎士くん」
セレインは剣を構えたが、一歩踏み出すごとに重い魔力の圧が体を押し戻す。攻撃を仕掛ける前に、暗黒の光が彼の身体を包み込む。思わず後ずさるも、すぐにカルディアスの手が鋭く空を切ると、呪文の力が空気を震わせ、セレインを襲った。
「――くっ!」
次の瞬間、セレインの身体が光に包まれる。眩しさの中で視界が歪み、己の力が奪われていく感覚。
目を覚ますと手首には拘束具がつけられており、屋敷の一室へ監禁されているようだった。鎖は重すぎず、動けば軋むが、皮膚を傷つけることはない。治療痕は丁寧に塞がれ、食事は身体を回復させる内容だった。
――すると、扉の向こうで気配がした。
「目は冴えたか」
カルディアスは、急ぐ様子も警戒もなく部屋に入ってくる。まるで、客人の様子を見に来たかのように。セレインは、少しだけ間を置いてから口を開いた。
「私を監禁をしてどういうつもりだ。殺すなら早く殺せ」
それは命乞いではない。助けを求める声でもなかった。剣を握っていたはずの手は、今や冷たい床に伏せられている。力も、誇りも、奪われた。それでも、選ぶ権利だけは手放したくなかった。
「いいや。殺さない」
その声に、思わず顔を上げてしまう。自分でも驚くほど、反射的な動きだった。
「……なに?」
喉がひくりと鳴る。理解できない言葉を、頭が必死に噛み砕こうとしていた。
殺さない?
なぜ?
ならば、なぜ捕らえた。覚悟したはずの終わりを、あっさり否定された。胸の奥で、何かが音を立てて崩れる。それが恐怖なのか、怒りなのか――セレイン自身にも、まだ分からなかった。
「壊す理由が、どこにもない」
「……なにを、言っている」
即座に否定できない。怒鳴ることもできない。剣を失ったセレインの指が、わずかに強張る。セレインは、ほんのわずかに顎を上げた。鎖に繋がれ、膝をついたまま――それでも、視線だけは逸らさない。
「……ではなぜ、生かす」
声は低く、抑えられている。怒りも、懇願もない。ただ、答えを求める騎士の声だった。殺さないというのなら、理由が要る。目的もなく、生かされるなど――セレインには、耐えがたい。カルディアスの返答を待つ間、胸の奥で、誇りだけが静かに燃えていた。
「生かす理由か?」
カルディアスは、静かに首を傾けた。まるで、答えが決まりきっているかのように。
「君は、最も適していた。高潔で、安定していて、無駄に力を使わない」
カルディアスは淡々と言う。
「君の中にある魔力は、壊すには惜しい」
指先が、セレインの胸元へと向けられる。触れられていないのに、心臓の奥がひくりと震えた。
「精錬すれば、宝石になる。形を与えれば、永久に使える力だ」
それがどういう意味か――セレインは、すぐに理解してしまう。自分は、生かされているのではない。“採取される”のだ。
カルディアスが、静かに杖を床へと突いた。低い音が響いた瞬間、セレインの足元に魔法陣が広がる。
「――っ!」
逃げようとした身体が、見えない力に押し戻される。背が床に叩きつけらた。触れられていない。それなのに、逃げられない。空気そのものが、鎖になったようだった。
「抵抗する必要はない」カルディアスの声は、驚くほど淡々としている。「これは、初めてだからね」
セレインは歯を食いしばる。視線だけで睨み返し、声を絞り出した。
「……私を、弄ぶつもりか」
「違う」即座に否定される。カルディアスは一歩近づき、セレインの腹に手をかざした。
「取り出すだけだ」
次の瞬間、腹の奥が――熱を持った。息が詰まり、声が漏れそうになるのを必死で堪える。
「……くっ、何を……何をした……っ!」
床に横たわったセレインの股間に、魔術の残光が蛇のように這い回る。激痛ではない。だが、内臓を裏返されるような、吐き気を伴う熱い「蠢き」がそこにあった。
次の瞬間、確かな重みとして感じていた「騎士の証」が、嘘のようにふっと消えた。
「あ……っ」
呆然と股間を見下ろす。金属の甲冑が触れ合う冷たい音だけが、静まり返った部屋に響く。先ほどまで太腿を圧迫していた肉の質量は消え失せ、代わりにそこには、不自然なほど滑らかな「裂け目」が刻まれていた。自分の身体の「芯」が引き抜かれ、代わりにぽっかりと空洞が空いたような、頼りない感覚。鎧の隙間から入り込む冷気が、無防備に晒された柔らかな粘膜を執拗になぞる。いたたまれないほどの心細さが、脳を直接かき乱した。
「馬鹿な……剣も、この身体も、王に捧げたはずなのに……」
鍛え上げた筋肉や硬い鎧の下で、そこだけが瑞々しく、湿り気を帯びて呼吸している。誇り高い騎士としての自己イメージが、股間の「空虚」から音を立てて崩れ去っていく。カルディアスの嘲笑を浴びながら、彼は生まれて初めて、自分の身体が自分のものではないような、底知れない恐怖に震えた。
カルディアスの手が、セレインの震える下腹部を愛撫するように撫でる。
「お前の誇り高き魔力だ……そんなところに溜め込んでいては、身体が壊れてしまうよ?」
呪文と共に、セレインの新しい「内側」に異様な熱が灯った。
何かが、膨らんでいく。
鍛え抜かれた腹筋の奥、本来は空洞だったはずの場所に、硬く、冷徹な質量が形を成していく。
「く……あ、が……っ!」
セレインの口から、無様な悲鳴が漏れた。
宝石が内壁を擦り、無理やり出口へと押し下げられていく。かつては剣を振るうためにあった筋肉が、今はただ、カルディアスに捧げる宝を産み出すために、屈辱的なほど規則正しく波打っている。
ついに、熱を帯びた「裂け目」が限界まで押し広げられた。
――カラン、と。
セレインの股間から、彼の魔力の結晶である深紅の宝石が、床に転げ落ちる。
産み落とした瞬間の、内側が空っぽになるような虚脱感。そして、開いたままのそこを通り抜ける、冷ややかな空気が運ぶ喪失感。
「ほう……実に見事な輝きだ。これ一粒で、城が一つ買えるぞ」
涙に濡れた瞳でそれを見つめるセレインには、もう抗う力は残っていない。一粒産むたびに、自分の中の「男」としての力が、そして「人間」としての尊厳が、美しく光る石に変わって奪われていくのだ。
最後の宝石が床に跳ねる硬い音が止むと、広間にはセレインの荒い呼吸だけが響いた。
「……っ、は、あ……」
セレインの脚は力なく投げ出され、痙攣するように細かく震えている。
宝石を産み出すために極限まで押し広げられていた「裂け目」は、異物が去った後もすぐには閉じず、だらしなく熱を逃がしている。そこを通り抜ける空気の冷たさが、今さっきまでそこを硬い石が通り抜けていたという生々しい記憶を、否応なしに脳に刻みつけた。
身体から魔力を絞り出されたことで、鎧を支えることすらままならない。
誇り高き騎士の象徴であった鋼の胸当てが、今はただの重苦しい枷となって彼を床に縫い付けている。
「あぁ、ひどい顔だ。そんなに中が空っぽになったのが寂しいのかい?」
カルディアスの嘲笑混じりの指先が、まだ熱を持ったままの場所をなぞる。
セレインはそれを拒絶する力も、あるいは拒絶しようという意志さえも、宝石と一緒に産み落としてしまったかのようだった。
自分の内側をかき回され、大切なものを奪い尽くされた後の、絶望的なまでの「軽さ」。
男性としての尊厳も、魔力という戦う糧も失い、ただの「宝石を産むための器」へと作り変えられた自分。涙で視界がにじむ中、彼は床に転がる自分の分身――美しく輝く宝石――を、憎しみと、そして得体の知れない依存心が混ざり合った複雑な眼差しで見つめることしかできなかった。
カルディアスが、床に散らばった宝石の一つを拾い上げ、セレインの目の前で弄んだ。
「一回でこれほど見事な石が取れるとは。……お前の『中』は、よほど宝石を育てるのに向いているらしい」
その言葉に、セレインの背筋に氷を押し当てられたような戦慄が走った。
「や、めろ……もう、魔力なんて、残って……っ」
「いいや、まだあるさ。次はもっと純度の高い、大きな結晶を産んでもらわなくては」
カルディアスの視線が、だらしなく震える騎士の股間へと向けられる。
セレインは本能的にそこを隠そうとしたが、力が入らない。一度無理やり押し広げられた場所は、今もなおヒリつくような熱と、空気が通り抜ける余韻を刻みつけている。
(また、あんなものが、あの中に……?)
想像しただけで、下腹部がキュンと収縮する。
内壁を削り取るような硬い宝石の感触。それが無理やり出口をこじ開けていく際の、裂けるような痛みと――そして、抗えぬほどの充満感。
「ひっ、あ……あぁ……っ!」
カルディアスの指先が、まだ開いたままの入り口を軽く弾く。それだけの刺激に、セレインの身体は跳ねるように反応した。
恐怖しているはずなのに、身体は次の異物を受け入れる準備を始めているかのように、熱い蜜を滲ませ始める。
「嫌だ……来ないでくれ……っ!」
鉄の誇りを誇ったセレインが、子供のように首を振って懇願する。だが、その声は以前の猛々しさを失い、どこか甘えたような高い響きを帯び始めていた。次に産まされる石が、自分を完全に「女」へと作り変えてしまうのではないか。そんな底なしの恐怖に、彼はガチガチと鎧の関節を鳴らして怯え続けることしかできなかった。
数週間後、そこにはかつての気高き騎士の面影はなかった。
騎士の鎧は、今や彼を保護するためではなく、カルディアスが「収穫」しやすくするために細工された、辱めとしての装具に成り果てている。
「さあ、今日の分を見せてごらん」
カルディアスの低い声に、セレインの身体がビクンと跳ねる。
恐怖はすでに、深い「服従の愉悦」へと変質していた。
彼は自ら膝をつき、慣れた手つきで腰を浮かす。かつては剣を握っていた指先が、今は自分の「裂け目」を広げ、中に詰まった重みを差し出すために動く。
「く……あ……っ、は、ぁ……!」
鈍い重圧が内側から押し寄せ、透明な宝石が一つ、また一つと、湿った音を立てて産み落とされる。
出口を通り抜ける際の冷気は、今や彼にとって「役目を果たした」という解放の合図だ。
すっかりカルディアスの魔力に馴染まされた肉体は、宝石が中にある状態が「日常」となり、空っぽになると逆に不安で震えてしまうほどに作り替えられていた。
「いい子だ。お前の中は、今日も最高に美しい石を育ててくれたね」
産みたての宝石を愛でるカルディアスの膝に、セレインは自ら頭を擦り寄せる。
騎士としての誇りも、男としての記憶も、すべては産み落とした石の中に封じ込めて捨ててしまった。
彼はもう、戦う術を知らない。
ただ、カルディアスの気まぐれな愛撫を受け、その内側に新しい「輝き」を宿されるのを、期待と恐怖の混じった溜息をつきながら待ち続ける――主の欲望を満たすためだけの、生きた宝物庫として。