《 午前8時になりました、朝ですよ 起きてください。 》
アラームのように鳴ったその放送で バッ と目が覚めた。
朝だ、朝。風景は変わっていない。夢じゃなかったんだ、昨日の事は。
自分の中で、フラッシュバックするように昨日の出来事が駆け巡る。
ギリ と歯を噛み締めた。まだ終わってないんだって 知らされた気がしたから。
葛葉 「 … ックソ、 」
ぐ、と右目の目頭辺りに手の根元を当てて 溜息混じりに、
この無力感と 悔しさと 悲しさとを 絞り出すように呟いた。
そういえば 裁判前に食ったあのやしきずの焼きそば、何か可笑しかった気がする。
味もそうだが、あの後急に眠気がしたんだよな。
………後で確かめてみるか。
葛葉 「 … 朝から最悪な気分だよ。 」
はーぁ、と1つ溜息を吐いて、部屋を出た。
取り敢えず食堂にでも行くか、と 足を進めていると、奥の方で話し声が聞こえてくる。
誰だろう と思いつつ、少し耳を澄ませてみた。
? 「 動機のカードっていつ配られるんだろうね 」
? 「 あー 確かに …… あれさえなければ 相当人死なない筈っすもん。 」
? 「 それも無しに起きてますけど? 」
? 「 それはー … えぇと …… 、 」
そんな会話だった、男性二人の会話。
トトト、と足を進めて、挨拶だけしておこうと顔を出す。
葛葉 「 おはよー御座いまぁす、もちさんガクさーん。 」
剣持 「 あ、おはようございます 」
伏見 「 おはよーございますッス! 」
元気な彼の挨拶に少し元気を貰って、うぇーい と ピースをし合った。
その2人の表情は いつも通りで、無理に繕っているようにも見えなかった。
それは彼らのメンタルの強さなのか、あの2人だからこそ この状況下でも楽しく居られるのか。
彼らに別れを告げて、食堂へと向かう中、
葛葉 「 どっちでもいーけど、すげーなぁ。 」
なんて 呟いた。
自分にだって 頼れる仲間が居る、相方が、相方の叶が居る。
俺も 今横に叶が居たなら 明るく振舞っていた、自然と何もかもが明るくなっていたはずだ。
そう足を進めていた後、食堂に足を止めた。
まだ人は居なさそう? まぁそれもそうか。
まだ8時15分で、昨日あんな事があったばかりなんだから。ショックで起きれない奴だって居るはず、そう考えると 尚更もちさんとガクさんが 凄いように思えてくる。
葛葉 「 とりま 飯 … 。 」
そう言うと、冷蔵庫をパカと開いてみた。
そこには色々な飲み物やら食べ物やらが ズラリと並んでいる。
もしや あれもあるんじゃ … そう考えて 視線を移動させる。
葛葉 「 … お、あったぁ! いちごミルク! 」
よっしゃ とガッツポーズをすると、上機嫌にそれと適当なパンを手に取って椅子に座る。
葛葉 「 …んん! 美味い! 」
ここに来てから まともな飯をするのは初めてだ。……前の焼きそばは一旦抜いて。
取り敢えず 動機が配られるまでは ゆっくりする事にしよう。それを踏まえた上で、あの焼きそばについての手がかりとかも探したい所だ。
もぐもぐ と パンを頬張りつつ 今後の予定を立てていると、ガチャと音を立てて食堂の扉が開いた。
三枝 「 …うわーっ! ずはじゃん! 」
ぱぁっと明るい表情を浮かべて此方に手を振る彼に、おぉと軽く笑いながら手を振り返した。
三枝 「 ってか いちごミルクあんの?! 色々揃い過ぎでしょ、俺も飲も〜! 」
バタバタとした足取りで 冷蔵庫へ走って行くと、いちごミルクとパンを持って彼は俺の前の席に着いた。先日に何かと物事が積み重なった訳だが、案外平気なのだろうか。それとも隠してるだけなのか。
パンを頬張る明那を じっと見詰めて観察していると、彼がパンを詰め込んだ口で言葉を発した。
三枝 「 んぁ? なんは はっあぉ ふずは、 」
葛葉 「 あ? なんて言った?w 」
三枝 「 ン … ッ、なんか俺のことめっちゃ見てたから何かあったのかなってさ、どしたの? 昨日の事? 」
葛葉 「 …まぁな、 」
案外 勘が鋭い彼に 動揺して 吹き出しそうになったがそういう事だ。
三枝 「 別に 気にしてな … い事は無いけどさ、勿論ね?
気にし始めたら負けじゃねって思うんだよ、俺らだってああなる可能性があるんだし
全部重く受け止めちゃ … 終わりだと思うんよ。殺し合いが起きない事が一番だし、止めたいけど。」
葛葉 「 …… 案外 色々考えてんだ、偉いねえ〜 」
三枝 「 何その反応?! こっちは真剣なんだけど!! 」
わぁっと声を上げる彼に笑いながら、平和な時を過ごした。
コメント
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神作だ。。。 一話から見てきました! 続きが楽しみです♪