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プロムナード

1 - 一話完結

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2022年04月22日

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「そろそろだ」


駅のプラットホームに、古びた電車が到着した。


彼女と私は、十年来の付き合いである。

青春を共にした人であり、大切な友人だ。

その友人が今、遠い地へ旅立とうとしているのだ。



昨年の春、私たちは同じ大学に進学したいと話していた。しかし、お互いにやりたいことが見つかり、それぞれ違う大学を選ぶことになったのだ。

なかなか言い出しづらかったものの、自分の本心を伝えることができたのはやはり、他の誰でもない彼女だったから。私にとって彼女は、本当に大切な友人なのだ。

頑張ろうと手を取り合ってそこから一年、ついに別れる日が来てしまった。


「またね。絶対会いに行くから」


朗らかに笑った私の誇れる友人はそう言って電車に乗り、大きく手を振った。

彼女はどんどん遠ざかっていく。

電車が出発してから数秒後、ホーム風が通り抜けた。それは、私の濡れた頬を乾かした。


彼女と過ごした日々を振り返れば、たくさんの笑顔が溢れ出てくる。

私たちは糸のように、紆余曲折を繰り返しながらも進み、絡みあい、固い絆を築いてきた。それが今、距離が離れると共に解けていってしまっている。物理的距離が遠くなることはすなわち、心の距離が遠くなることだろう。すごく寂しい。こころに穴が会いたようだ。


その時、スマホの画面が明るくなり、メッセージが一件入った。


「私たちなら大丈夫」


その一言に救われた。

そうだね。どんなに離れようとも、大丈夫。私たちなら、きっと。


どこからかどんできたのか、桜の花びらが一枚、目の前をふわふわと舞っている。

この瞬間を切り取ったならば、それは名画と呼ばれるだろう。

美しく、儚いこの瞬間は、新しい生活の始まりである。

春である。

別れと出会いが連なり、そうしてまた自分が形成されていく、春である。

心地よい日差しとうららかな空気の中、明るいプロムナードが見える。

歩いて行こう。


お互いに成長して、また会った時には変わらないあの笑顔で笑ってね。


そよ風に背中を押され、私は一歩を踏み出した。



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