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オブスペラはその場に立ち止まり、なお距離を保つウルトラ戦士たちを静かに見つめていた。
沈黙を破ったのは、ゆっくりと歩み出したウルトラの父の足音だった。
「オブスペラ。」
ウルトラの父は穏やかだが揺るぎない声で言った。
「そなたは多くのことを語ってくれた。ゆえに、我々はそなたにしばらく光の国に留まってほしい。これは命令ではない。我々からの願いだ。」
オブスペラは小さく息を吐いた。
その表情は変わらず、静かで無機質だった。
「申し出には感謝します。」
彼らは平坦に答えた。
「しかし、断らせていただきます。私はマレブランドへ戻らねばなりません。そこには守るべきものがある。……私にとって住処であり、同時に重荷でもある場所です。」
ウルトラ戦士たちは互いに視線を交わし、不安と戸惑いを隠せなかった。
ウルトラの父は深く息を吸い込み、オブスペラを包む闇の気配を静かに見つめた。
「分かっている……そなたの力には危険が潜んでいる。しかし、そなたにはそなたの道があると信じよう。」
彼はウルトラ兄弟へ振り返った。
「この件は後ほど協議する。」
「はい。」
ウルトラの母が応えた。
その声は温かく、それでいて厳かな威厳を帯びていた。
「行ってもよい、オブスペラ。しかし、そなたの行動を見守る者はこちらで決める。」
オブスペラはわずかに頷いた。
その目は正面を向いたまま、服従でも傲慢でもない無垢な静けさを湛えていた。
やがて年長のウルトラたちは立ち去り、重い足音と微かな囁きを残して、西翼の会議室へと姿を消していった。
その後ろを、ウルトラの母が静かに続いた。
*
再び静寂が空間を支配した。
新世代ウルトラと究極生命体ゼロの仲間たちは、ただ理解しようと息を潜めていた。
年長者たちの姿が完全に扉の向こうへ消えた瞬間、オブスペラはジードへ視線を向けた。
その瞳は深く、鋭く、しかし感情の色はなかった。
「ジード。」
低く、確かな声が響いた。
「お前は私と共にマレブランドへ来る。」
ジードは驚愕し、慌てて振り返った。
「ま、マレブランドに!? ど、どうして僕が──?」
オブスペラは答えなかった。
右手でギガバトルナイザーを持ち上げ、軽く振る。
暗い渦がゆっくりと開き、闇のエネルギーが静かに回転し始めた。
そのわずかな音ですら、数名のウルトラが思わず一歩退くほどの圧力を帯びていた。
「理由は必要ない。」
オブスペラは淡々と言い放った。
「これは命令だ。」
ジードは半歩後ずさり、渦を見つめた。
「ま、待って──オブスペラ! 僕はまだ──!」
言い終えるより早く、オブスペラは踏み込み、片手でジードを引き寄せた。
ジードの身体は抵抗する間もなく渦へと飲み込まれ、姿を消した。
*Illustration of Obspera’s portal
闇の光は静かに閉じ、ただ余韻だけが空気を震わせた。
誰もがその場で凍りついた。
「オブスペラ! 何をしているんだ!」
ゼロが叫ぶ。
しかしオブスペラはただ立っていた。
驚愕するウルトラ戦士たちを見渡し、何かを語らずに語るような、深い沈黙だけを残して。
そして無言のまま、渦の中へ一歩踏み込み、滑らかな動きでそれを閉じた。
その瞬間、息苦しいほどの沈黙が落ちた。
ウルトラ戦士たちは互いに視線を交わし、状況を理解しようと必死だった。
ゼロは前に踏み出し、怒りを隠さず叫んだ。
「ここで突っ立ってる場合じゃない! 今すぐ追いかける!」
しかしオーブが胸に手を当てて制した。
「待て、ゼロ。冷静になれ。焦れば状況は悪化するだけだ。」
ビクトリーも口を開いた。
「このことを年長のウルトラたちに報告しなければ。」
ギンガが頷く。
「行こう、ショウ。すぐ知らせるんだ。」
ビクトリーも短く返した。
「ああ、ヒカル。急ぐぞ。」
その間、湊兄妹は動揺していた。
「カツ兄、今の何!? ジードどこ行ったんだよ!?」
ブルが慌てて問いかける。
ロッソは弟の肩を押さえ、落ち着かせようとした。
「落ち着け、イサミ。必ずジードを連れ戻す。」
グリージョは不安げに兄を見上げた。
「カツ兄……ジード、大丈夫だよね? 私……怖い。」
ロッソはゆっくりとかぶりを振り、優しく頭を撫でた。
「心配するな、アサヒ。みんなで必ず助ける。」
オーブは全員へ向き直った。
「今必要なのは団結と冷静さだ。共に動けば必ず道は開ける。」
仲間たちは深く頷いた。
それぞれ胸に湧き上がる不安を押し込み、決意だけを残して。
ずっと黙っていたゼットが、いつもの調子でようやく声を上げた。
「ゼロ師匠! 今回の件はウルトラ危険でウルトラ大変ですけど、ウルトラ落ち着いてウルトラ賢く動きましょう! 一緒にジードを助けるっす!」
ゼロはゼットを見つめ、徐々に呼吸を整え、静かに頷いた。
「……ああ。その通りだ。すまない、感情的になった。」
ゼットは勢いよく頷く。
「大丈夫っす師匠! じゃあ次の作戦をウルトラ慎重に考えるっす!」
仲間たちは再び頷いた。
これから訪れる困難を理解しながら、それでも前へ進む意志を固めていた。
*(ウルトラ上層部の視点)
ウルトラ評議会本部の空間は重苦しく沈み、薄暗いホログラフの光が厳粛さを一層際立たせていた。
ウルトラの父は中央に立ち、静かでありながら重みを宿した声で周囲の視線を受け止めた。
「結論を急ぐべきではない。オブスペラはベリアルそのものではない。だが、その血が流れている。諸君は、彼らの意図と行動をどう感じたか。」
メビウスは落ち着かず、しかし意を決して口を開いた。
「……僕は、オブスペラに悪意は感じませんでした。」
弱々しくも確かな声だった。
「彼らは破壊をもたらさずに現れました。かつて対峙したベリアルとは違い……着地した大地さえ傷つかなかったほどの力を持っているのに。」
沈黙していたヒカリがゆっくり顔を上げた。
「メビウスの感じたこと……私も同じだ。」
落ち着いた声には慎重な思考がにじんでいた。
「オブスペラには、私がよく知る気配がある。彼らは……ベリアルとは違う。」
タロウが真剣な面持ちで問いかけた。
「それは……トレギアのことか?」
ヒカリは静かに頷いた。
「そうだ。その類似は無視できない。」
彼は遠い記憶を辿るように目を伏せる。
「だが……それが闇を隠しているのか、それとも別の道を選んだのか……まだ判断できない。」
ゾフィーが重みのある声で答えた。
「警戒は必要だ。」
厳しくも揺るぎない言葉。
「ベリアルの遺したものを継ぐ者である以上、油断した瞬間に破滅が訪れる可能性を忘れてはならない。」
ウルトラセブンは鋭い眼差しを向けながらも抑制した声で言った。
「ゾフィーの言う通りだ。だが、過去だけを基準に裁くこともできない。オブスペラが何を求めているのか……それを知らねばならない。」
長らく沈黙していたレオが、力強い声で口を開いた。
「いずれにせよ、ゼロが最適だ。」
確信に満ちた言葉だった。
「ゼロは何度もベリアルと対峙し、誰よりも闇を理解している。もしオブスペラが危険な存在なら、彼が抑えられる。」
ウルトラセブンは息子の名が出た瞬間、数秒黙り込んだ。
その表情には父としての葛藤が滲んでいた。
「……なぜゼロだ?」
声は静かだが、深い重みを含んでいた。
「ゼロの力は認めている。だが、これは簡単に背負える役目ではない。」
レオは迷いなく答えた。
「ゼロは知っている。血に抗い、自分の道を選ぶことが何を意味するのか……オブスペラと同じようにな。」
ウルトラの父はウルトラセブンへ視線を向けた。
「どう思う?」
ウルトラセブンは短く沈黙し──そして小さく頷いた。
「……いいだろう。信じる。」
場が静まり返る。
ウルトラの父は右手を上げ、結論を告げた。
「では……オブスペラの監視と対応はゼロに任せる。異論はあるか。」
ウルトラ兄弟は揃って頷いた。
「異議なし。」
ゾフィーが力強く宣言した。
「ゼロを信頼する。」
…
静寂がゆっくりとウルトラ上層部の評議室を包み込んだ。
プラズマスパークの輝きがその沈黙を深め、動かぬまま立つウルトラ兄弟たちの鎧に反射していた。
ヒカリは少し横へと身を引き、データスクリーンを手にしていた。
そこには高度な投影が浮かび上がり、エネルギーの推移、オブスペラの行動パターン、そして先ほど光の国で起きた出来事の短い映像が映し出されていた。
青い光が波のように脈打つエネルギーを示していた——かつて彼がベリアルとトレギアの残滓を追跡した時に研究したものだ。
しかし、その画面にはこれまでに見たことのない、唯一無二の周波数が現れ、ヒカリの視線は鋭さを増した。
彼はスクリーンの位置を調整し、指先がホログラフに触れると、小さく息を吐いた。
「ウルトラの父。」
ヒカリは静かだが確かな声で言った。
「次の報告が届く前に、私から申し上げたいことがあります。」
全員の視線が彼へ向いた。
ウルトラの父はヒカリをじっと見つめ、静かに頷いた。
「話しなさい、ヒカリ。」
ヒカリはもう一度データを見つめ、それから投影を消した。
青い光が彼の瞳から静かに消えていく。
「私も……ゼロがオブスペラの監視役として最適だと理解しています。」
その声は穏やかだが、揺るぎない確信を帯びていた。
「ですが——」
彼は仲間一人一人を見回し、続けた。
「私も同行すべきだと感じています。観測者として。研究者として……彼らの本質を理解するために。」
ヒカリはウルトラの父へ向き直った。
「このデータの中に、オブスペラのエネルギーに関するいくつかの異常が確認されました。
これまでに一度も見たことのない固有の周波数です。
これは何か——より大きな可能性を示しています。学ぶべき“差異”が存在するのかもしれません。」
彼はゆっくりと息を整え、静かに続けた。
「私は同行し……光の国との“橋渡し”を務めたい。
もしウルトラの父とウルトラ兄弟が許可してくださるなら、観測し、そして——
かつてベリアルに起きた悲劇を、再び繰り返させないために。」
数秒、部屋は再び沈黙に沈んだ。
タロウは心配そうな表情でヒカリを見つめた。
「ヒカリ……お前は、ベリアルの襲来よりも、トレギアの闇堕ちを思い返しているのか?」
ヒカリは反射的に振り向き、驚きを滲ませた体の動きで答えた。
だがすぐに落ち着きを取り戻した。
互いに言葉を交わさずとも理解できる関係であることを思い出したからだ。
タロウは続けた。
「本当に……その決断に迷いはないのか?」
ヒカリはゆっくりと頷き、データスクリーンを下げた。
「迷いはありません、タロウ。これは監視や命令の問題ではありません。
これは……悲劇を未然に防ぐための“理解”の責任です。」
ヒカリは皆を見渡し、その瞳には否定できない誠意が宿っていた。
「私はもう……同じ過ちを繰り返したくありません。」
遠くから足音が近づき、張り詰めた静けさを切り裂いた。
ビクトリーとギンガが急ぎ足で入室した。
少し乱れた呼吸が、彼らが急を要する報告を持ってきたことを示していた。
ウルトラ上層部の視線が二人へと移り、説明を待った。
最初に口を開いたのはビクトリーだった。
その声は真剣でありながら礼を尽くしていた。
軽く頭を下げ、はっきりと言う。
「突然のご無礼をお許しください、ウルトラの父、ウルトラ兄弟の皆様。
至急お伝えすべき重要な報告があります。」
続いてギンガが、不安を押し隠しながらも落ち着こうとする声で言った。
「そうなんです。オブスペラとジードに関する件で……たった今起きた出来事です。」
ウルトラ上層部の表情が一気に険しくなる。
データを見つめていたヒカリはゆっくりと端末を下げ、二人を鋭く観察した。
ゾフィーが声を発した。
賢明さと緊迫を孕んだ低く落ち着いた声音だった。
「落ち着きなさい、ギンガ、ビクトリー。
状況を明確に話せ。
急いで来た以上、ただ事ではないのだろう。」
ビクトリーは一瞬ギンガと目を合わせ、発言の順を確認するようにしてから、再び向き直った。
「先ほど……我々が他の者たちと共にいた時、オブスペラが——ジードを強制的に連れて行きました。」
ギンガはウルトラ上層部全員を見渡しながら続けた。
「オブスペラはギガバトルナイザーでポータルを開き、ジードをその中へ押し込みました。
誰も反応できないほど突然で……ジードには拒む時間もありませんでした。」
衝撃の色が否応なく広がり、隠しきれなかった。
ヒカリは眉を寄せ、レオは拳を握り締め、怒りを必死に抑えていた。
ゼロの父であるウルトラセブンは沈黙したまま鋭い視線で可能性を分析していた。
タロウが声を荒げた。
「何だと? ジードが力づくで連れ去られたというのか?
どこへ行った?」
ビクトリーはわずかに俯き、しっかりとした声で答えたが、その奥には罪悪感が滲んでいた。
「マレビランデスへ……少なくとも、オブスペラがポータルを閉じる前にそう言っていました。」
ウルトラの母が穏やかだが揺るぎない母の声で場を鎮めた。
「皆さん、落ち着きなさい。賢明であり続けるのです。
ビクトリー、ギンガ……オブスペラが去る直前、そこで見聞きしたすべてを詳しく話してください。」
ギンガは深く息を吸い、より明確に説明し始めた。
オブスペラが終始落ち着いていたこと、ジードが抵抗する間もなく引き込まれたこと、新世代のウルトラたちがただ呆然と立ち尽くしていたこと——。
評議室の空気は再び深い沈黙に包まれた。
事態が彼らの想像以上に深刻であることを全員が理解したのだ。
部屋の緊張感はさらに高まっていった。
ウルトラ上層部の表情には、張りつめた覚悟が滲んでいた。
室内のホログラフィック装置には、ヒカリが収集したデータとオブスペラに関する記録が映し出されていた。
淡い青色の光が部屋全体に広がり、その重苦しい空気をさらに強めていた。
ウルトラの父は声を低くしたが、その言葉には揺るぎない指導者としての威厳が宿っていた。
「我々は裁くためだけにここにいるのではない。守るためでもある。
すべての戦力を宇宙警備隊本部へ集結させる。
新世代の者たちとウルティメイトフォースゼロを召集し、状況を直接伝える必要がある。」
ウルトラの母はヒカリへ視線を向けた。
彼はまだデータスクリーンを手に握ったまま立っていた。
「ヒカリ、最新のオブスペラに関する情報をすべて宇宙警備隊本部へ送ってください。
正確でなければなりません。」
ヒカリはゆっくりと頷いた。
スクリーンを見つめたまま、落ち着いて、しかし確かな声で答えた。
「了解しました。すぐに同期し、直接送信します。
この情報は極めて重要です。」
レオが重苦しい空気を割るように、力強く声を上げた。
「任せろ! すぐに前線にいるウルトラたちへ連絡する。
できるだけ早く到着させる!」
タロウは他の兄弟たちを見渡しながら言った。
「宇宙警備隊本部の調整室はすでに準備してある。
そこで待機し、作戦を立てよう。」
ウルトラセブンは深く息を吐き、低く重い声で言った。
「警戒を怠るな。オブスペラはジードをマレビランデスへ連れて行った。
あの場所がどれほど危険かは皆知っている。
ゼロが最適なのは間違いないが……彼一人で背負わせるべきではない。」
ウルトラの父は再び力強く頷いた。
「その通りだ、セブン。
すべての者は直ちに宇宙警備隊本部へ向かえ。
状況を見失うわけにはいかない。」
ウルトラの母は兄弟たち一人ひとりを見つめながら、確信に満ちた声で告げた。
「私たちはこれまでも多くの脅威を乗り越えてきました。
皆さんの力を信じています。
団結して進みましょう。」
…
*宇宙警備隊本部
…
ビクトリーとギンガからもたらされた衝撃的な報告により、宇宙警備隊本部のブリーフィングルームは一層深刻な空気に包まれていた。
ウルトラ上層部は互いに視線を交わし、得られた情報を整理しようとしていた。
一方、新世代のウルトラたちとトライスクワッドは緊張した表情で立ち、上層部からの指示を待っていた。
ウルトラの父は深みのある声で、否応のない権威をもって言った。
「このまま看過することはできない。
オブスペラは限度を超えた。
もはやただの脅威ではない。」
経験を重ねたエースが重い声で続けた。
「一刻も早く作戦を立てるべきだ。
ジードは我々の仲間だ。
これは彼一人の問題ではない。」
タロウは真剣な眼差しで新世代の者たちを見据えた。
「その通りだ。
状況がさらに悪化する前に動かねばならない。」
議論が激しさを増す中、ヒカリは少し離れた位置でただ一人、タイガの落ち着かない様子に気づいた。
ヒカリの手にある画面から漏れる青い光が彼の顔に反射し、神秘的な雰囲気を作り出していた。
ヒカリは静かに歩み寄り、やわらかいが明瞭な声で問いかけた。
「タイガ、様子がおかしいな。
何か感じているのか?
隠していることがあるのか?」
タイガはわずかに顔を伏せ、それからタイガスパークを持ち上げた。
それは淡い脈動の光を放っていた。
「タイガスパークが……何か異常を起こしているみたいなんです。
何が起きているのか分からなくて。」
ヒカリは手を差し伸べ、丁寧に尋ねた。
「詳しく調べてもいいか?」
タイガは黙って頷き、装置を手渡した。
青く震える光がヒカリの操作するホログラフに映し出された。
データが重なり、不明なエネルギーの痕跡が浮かび上がる。
ヒカリは分析しながら言った。
その声には冷静さの中に深い思考が滲んでいた。
「これは別の装置と連動している可能性がある。
単なる故障ではない。」
タイタスが素早く近づき、問いかけた。
「本当か?
この信号はオブスペラから来ているのか?」
フーマはぼそりと言い、皮肉めいた声で続けた。
「おいタイタス……タイガスパークってタイガ専用だろ?
どうやってオブスペラが同じものを持つんだよ?
名前からして『タイガ』スパークなんだぞ。」
ヒカリはさらに分析を続け、ホログラフ操作に指を滑らせた。
データは増え続け、彼の疑念を強めていった。
「内部システムの構造が……完全に一致している。
まるで二つのタイガスパークが同じ手によって造られたかのようだ。」
タロウは深刻な表情でヒカリを見ると、記憶の痛みを滲ませながら言った。
「ヒカリ……
私とトレギアがまだ同じ道を歩んでいた頃、タイガスパークは一つしか作っていない。
二つ目など存在しないはずだ。」
ヒカリは鋭い目でタロウを振り向いた。
「トレギアが密かに複数作った可能性もある。
あるいは……トレギアから学んだ技術を、オブスペラが独自に再現したのかもしれない。」
ウルトラセブンが低く警戒しながら呟いた。
「もしオブスペラが同じ技術を所持しているのなら……
我々の知らない領域にまで踏み込んでいる可能性がある。
これは想定以上に厄介だ。」
ウルトラの父はゆっくりと言葉を発し、確固たる指導者の声で締めくくった。
「この件は徹底的に調査する必要がある。
オブスペラとトレギアの関係、そしてこの技術がどのようにオブスペラに渡ったのか。
そこに彼らの真意を知る鍵があるはずだ。」
ブリーフィングルームの空気はさらに重くなった。
まるで黒い雲が頭上に垂れ込めたかのようだった。
ヒカリはデータ画面から目を離さず、ウルトラ上層部と新世代の者たちはただ沈黙し、理解しようとしていた。
——これまでにない、遥かに大きく、そして深い謎を前にして。
*To be continued.