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📖 第七章:「名前の秘密」
放課後。
教室にはもう、数人しか残っていなかった。
○○は机に肘をつき、ノートに軽く落書きをしているふりをしながらも、視線は自然と教室のドアの方へ向いていた。
——凛は今日も、放課後練習のために運動場に向かう。
その背中を見て、○○の胸は少しだけざわつく。
○○:(……やっぱり、見ちゃうな)
そんな時、後ろから声がした。
友達の声:「なに、また見てるの?」
○○は振り返る。
そこにはニヤニヤと笑う、○○の友達が立っていた。
○○:「……見てない」
少し顔を背ける。
友達:「嘘つけー。まるで恋する女子だよ、あんた」
○○:「ち、違うし!ただ、気になるだけ……」
友達は肩を揺らして笑う。
○○は思わず顔を真っ赤にして目を逸らす。
でも、視線は無意識に再び運動場の方へ。
——凛は一人でボールを蹴っていた。
さっきまでと同じ練習風景なのに、なぜか
今日は少し違って見える。
○○は、少し勇気を出して歩み寄る。
教室の端に置かれたボールを手に取る。
そっと、凛の足元に転がす。
コツン。
凛は少し目を細めてボールを受け取り、足元で軽く止める。
そして、静かに顔を上げ、○○を見た。
○○:(……今だ)
深呼吸して、緊張しながらも、小さく声を出す。
○○:「…あたし、○○」
凛は少し目を見開く。
その瞳の奥に、驚きと、ほんのわずかな柔らかさ。
凛:「……○○か」
少しだけ、口元が緩む気がした。
○○:(……反応した)
小さく胸をなでおろす。
○○:「……今日も練習するの?」
勇気を振り絞って、少しだけ話しかける。
凛:「ん…」
短く、でも確かに頷く。
○○は心の中で小さく笑う。
返事は短いけれど、前よりも少し近くなった気がした。
その時、後ろから友達の声。
友達:「ほらー、やっぱり!話してるし!あんた、完全に凛に夢中じゃん」
友達: 「名前教えるし!笑」
○○:「だから、違うってば…!」
顔を真っ赤にしながら、ボールを握り直す。
凛はそんなことには一切触れず、またボールを蹴り始める。
○○はその横で、静かにその姿を見守る。
夕陽が二人の間に差し込み、教室の外に柔
らかく光を落とす。
名前を伝えた瞬間——
○○:(……なんだか、少し、変だ)
でも、それが悪い気はしなかった。
——最悪だった第一印象とは、全然違う、微かに温かい距離感。
コメント
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2人の恋をそっと見守りたい…