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#PB
トールサイズのあじふらい
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#カン腐
side イタリア
一体全体、どうしてこんなことになったんだろう。
何一つ理解が追いつかなくて、頭がおかしくなりそうだった。
怖くて、恐ろしくて、身体の震えが一向に収まらない。
「イタリア、大丈夫か?」
「うん……大丈夫。ドイツは平気?」
「あぁ……日本の様子はどうだ?」
「……ショックが大きいみたいで、しばらくは一人にさせてあげた方がいいかもなんね」
そう言うと、ドイツは部屋の隅にいる日本へちらりと視線を向けた。
壁にもたれ掛かり、小さく身体を震わせている日本。
……それもそうだ。
目の前で、あんな光景を見せられたら。
誰だって、平気でいられるはずがない。
あの時。
襲いかかってきた人たちからドイツと一緒に逃げようとした時、呆然と立ち尽くしている日本を見つけた。
このままじゃ危ない。
そう思った瞬間には、日本の腕を掴んで走り出していた。
逃げ場所なんて考える余裕はなかった。
ただ、生きるために必死で走り続けた。
だから、この資料室へ逃げ込めたのは本当に運が良かったんだと思う。
「これからどうするんね……?」
「さぁな。外はゾンビだらけで逃げ場もない。おまけに電波も悪く、他の仲間とも連絡が取れない状況だ。絶望的だな」
「うーん……だよねぇ。パパの助けも呼べないし……ドイツ、武器は何かある?」
「銃が二丁。どちらも残弾は二十発だ」
「ioは一丁。でも護身用だから五発しかないんよ!こんなことならもっと持ってくれば良かったんね!」
「お前、銃の腕前だけは良いもんな」
「ちょっとぉ!『だけ』って何なんね!イタリアンマフィア舐めないでほしいんよ!」
「はは」
ドイツが小さく笑った。
その穏やかな笑顔があまりにも温かくて、胸がどきりと鳴る。
ぶわっと顔まで熱くなってしまった。
こんな状況なのに。
ドイツが隣にいてくれるだけで、大丈夫なんじゃないかって思えてしまう。
だから――
「あの、こんな状況で言うのもやぶさかではないんですが……目の前でいちゃつかないでいただけます?」
「へぁ!?!?」
「おぉ、日本。もう大丈夫か?」
「お陰様で、少し落ち着きました。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
「構わない。そんなことより、これからどうするか考えよう」
「あ、ちょっと待っ──」
ioを置いて、二人はどんどん話を進めていく。
さっきまで震えてたのに、酷いんよ日本!
……いや、元気になったのは嬉しいんだけどさ。もう少しだけ、ioにも優しくしてほしいんよ……。
「日本は武器を持ってるか?」
「刀なら持っています。助けを呼べたら良いのですが……」
「そうだな……」
助け。
助けを呼ぶ……。
あっ!!
「それなんよ、ドイツ!!」
「なっ、何がだ?」
「助けを呼ぶなら管理室なんよ!あそこなら通信設備があるから、外へ救援を要請できるんね!」
「確かに!それに監視カメラも確認できますから、生存者を見つけられるかもしれません!」
「放送設備もあるな。呼びかけもできる」
「それなんね!」
「……イタリアにしては、珍しく冴えてるな」
「一言余計なんね、ドイツ!!!」
とはいえ……。
方針が決まったのは大きい。
問題は、どうやって管理室まで辿り着くか。
管理室は資料室を出て右へ真っ直ぐだ。
距離はそこまで遠くない。
でも、その道中にどれだけゾンビがいるのか分からない。
そこが一番の問題だった。
「隙間から様子を見てきたが、今のところ数は少ない。……走れるか、イタリア」
「ぅえ!?本当に行くんね!?」
「お前の提案だろう。安心しろ、必ず三人で辿り着く」
「そうですよ、イタリアさん!」
「わ、分かったんよ!!」
こうなったら、行くしかないんね!!!
イタリア!!
勇気を振り絞るんよ!!!
ピッツァとパスタのために!!!
「そうだ、イタリア。銃を一丁持っていけ」
「えっ、良いんね!?」
「さすがに五発じゃ心許ないだろ」
「じゃあ、ありがたく貰うんね!」
ドイツから受け取った銃を構え、手早く動作を確認する。
……うん。
これなら大丈夫なんね。
日本へ視線を向けると、ioに向かって静かに頷き、腰の刀を抜いていた。
後は、ドイツの合図を待つだけ。
「行くぞ」
ドイツがゆっくりとドアノブに手を掛ける。
「三……二……一……」
一瞬の静寂。
そして――
「走れ!!!!!!」
合図と同時に、一斉に駆け出す。
先頭を走る日本を追いかけながら、襲いかかってくるゾンビの頭へ照準を合わせる。
パンッ!!
放たれた弾丸は正確に額を撃ち抜き、一体、また一体と地面へ崩れ落ちた。
ヘッドショット。
弾はまだ18発。
……いや。
もう18発しかない。
この先のことを考えれば、一発たりとも無駄にはできない。
日本が鮮やかな刀さばきで次々とゾンビを斬り伏せていく。
その刃をすり抜けた奴だけを狙い撃ちにしながら、右へと曲がった。
ちらりと後ろを見ると、ドイツが迫るゾンビを冷静に撃ち続けている。
「日本、早く!」
「分かってますよ!!ドアに鍵が掛かってるんです!!」
ようやく辿り着いた。
なのに――開かない。
管理室の扉は、固く閉ざされたままだった。
前からも。
後ろからも。
ゾンビがどんどん迫ってくる。
日本もドイツも必死に食い止めている。
でも、このままじゃ限界が来る。
ioは夢中で扉を叩いた。
「誰か!!誰か居ないんね!?お願いだから開けて……!!」
ガチャリ。
その音が聞こえた瞬間だった。
「入れ!!」
勢いよく扉が開く。
ioはその隙間へ滑り込むように飛び込み、すぐに日本とドイツの腕を掴んで中へ引っ張った。
バタンッ!!
ほぼ同時に扉が閉まり、鍵が掛けられる。
「はぁっ……危なかったぁ……」
「本当に……ギリギリでしたね……」
「よ、良かったんねぇ!!二人とも!!」
安心した途端、力が抜けた。
気付けば二人へぎゅっと抱きついていた。
生きてる。
三人とも、生きてる。
その事実だけで胸がいっぱいになって、勝手に涙がぽろぽろと溢れてきた。
しばらく三人で安堵した後、ようやく助けてくれた人物の存在を思い出す。
「助けてくれてありがとうなんね!……って」
振り返った瞬間、ioは目を見開いた。
「君は……っ!?」
コメント
1件
イタリア視点でゾンビ物語、めっちゃ良かった! 「ピッツァとパスタのために」って自分を奮い立たせるイタリア、可愛すぎるw あとドイツにデレてるイタリアも推せる。 銃弾の残数をちゃんとカウントしてるのもリアルで好印象。 ラストの助っ人の正体が気になるし、続きはよ!