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会議の混乱を抜け、イタリアはトイレの個室に駆け込んだ。手鏡を取り出し、前髪を必死に直す。
イタリア(小声で)
「ああもう…ドイツってば、本当に口うるさいんだから…!僕がちょっと失敗しただけで、まるで世界の終わりみたいに怒るんだもん…」
鏡に映る自分の顔を見て、眉をしかめる。
ぺたんこになった前髪を指でふわっと直しながら、ため息をついた。
イタリア「ちょっとぐらいユーモアで流してくれてもいいのに…いつも冷たくて、まるで戦争そのものみたい…」
後ろで、ハンガリーが手を洗いながら小さく笑う。
ハンガリー「まあ…あの人は“指揮官様”だから、仕方ないわよ。でも、こういう時くらいは言いたいことを言っていいと思う」
イタリアは鏡越しにハンガリーを見て、ほっと肩の力を抜く。
イタリア「ハンガリー…ありがとう。でもね、どうしても前髪が決まらないんだよ…あんなに怒鳴られたら、髪も縮こまっちゃうよ!」
ハンガリー(くすっと笑う)
「あなたって本当に、戦争中でも女子なのね…」
イタリアは鏡に向かってもう一度前髪を整え、つぶやいた。
イタリア「うん…でも、ちょっとくらい弱音を吐いても…いいよね、ドイツには内緒で…」
鏡の前で、前髪を押さえながら小さく笑うイタリア。
戦場の塹壕では見せられない、少女らしい隙間――それが、今だけの小さな自由だった。