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怠惰な日曜日を過ごして、また月曜日はやってくる。
バレンタインボックスの見本が上がってきた。
Ryoさんのイラストはとても素敵で発色もよく特に問題はないようだ。
「やっぱ、いいすね」
私がボックスを組み立てていると里中くんが声を掛けてきた。
そう言えば、Ryoさんを紹介してくれたのは里中くんだ。何か関係があるんだろうか?凌太とRyoさんが兄弟だったり松本ふみ子と顔見知りだったりつながりが濃すぎる。
「里中くんってRyoさんとは以前からの知り合い?」
里中くんは一瞬不思議そうな表情をしてから「いえ、前にも話しましたがSNSでたまたま見かけてフォローしてたんです。で、このプロジェクトが始まった時に流れてきたイラストを見てコレだって思ったんですよ」
「なるほどね、里中くんには本当に助けられたわ」
「でも僕も自分で発掘できたのは楽しかったです」
席に戻って行く姿を見ながら、里中くんに関してはシロだとちょっとした探偵気取り思考を自分自身でちょっと笑ってしまった。
Ryoさんが会社の近くに現れることはないが毎晩ラインが来る。
特に何がということはなく、最近は庭の花の写真が送られてくる。
そして、松本ふみ子について聞かれるが、私としてはもう終わったことだ。だから、助けてもらったとしても話すことはないのに、蒸し返される感覚がなんとなくイラッとすることがあるが、耐えている。
こんなことは凌太には言えない。
凌太はRyoに父親を奪われた事でずっと苦しんできたのだから。
かといって、Ryoにとっても父親には変わらない。そう考えると不倫なんて幸せなのはお花畑の二人だけでまわりは何かしらの傷を受けて生きていく。
不倫なんてする奴はクズだ!
そして穏やかに時は流れていく。
スマホのアラームで目を覚ます。
今日一日頑張れば、明日は凌太とのデートだ。
八景島も行きたいけど、先週がっつりと生活感を出し始めた凌太の部屋で一日ダラダラまったりしてから二人で食事を作るのも楽しそうだ。
母の作った朝食を食べて家を出る。
そういえば、お母さんに明日は泊まるかもって言っておいた方がいいかも。
そんなことを考えながら改札を抜ける。側から見たら思い出し笑いをしている気持ち悪い人みたいだと必死に通常モードの顔を作りながら会社に向かった。
昼食から戻ってパソコンに向かっていると受付から私の内線に電話がかかってきた。
『ヌマタ様という方がお見えになってます』