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「ん……っ、あ……っ」
いつものようにお互いを求め合い、絶頂を迎えた二人は、心地良い疲労感に身を委ねていた。 ヘッドレストを背もたれ代わりに座った瀬名に、後ろから抱きかかえられるような格好で。理人が彼の肩口に頭を預けていると、ちゅっと旋毛に優しく唇が触れた。
「理人さん、好きです」
「……知ってる」
「あれ? 理人さんは言ってくれないんですか?」
「……っ、好きじゃなかったら……わざわざお前のために料理なんかしねぇ!」
「ふふ、そうですね」
理人の言い分が可笑しかったのか、瀬名が楽しそうに笑い声を漏らした。気恥ずかしさを覚え、むすっとした表情で脇腹を軽く肘で突いてやると、瀬名はわざとらしく顔を歪めて見せる。
「もー、痛いなぁ……」
勿論、本気で肘鉄を食らわせたわけではない。瀬名もそれはわかっているのだろう。クスクスと笑いながら、今度は首筋に熱い息を吹きかけてくる。
「っ、おいっ!」
「あれ? 感じちゃいました?」
「ち、ちが……少し、くすぐったかっただけだ……」
「ふぅん、本当に?」
瀬名は意地悪そうな表情を浮かべると、理人の身体を後ろから抱き締めたまま、首筋に吸い付いて赤い痕を残し、滑らかな肌を堪能するように指先で背骨を辿っていく。
「……っ、んん、おい……痕は付けるなっていつも言ってんだろうが」
「大丈夫。見えるところには付けませんって」
「そういう問題じゃ……っ」
瀬名は背後から覆い被さるようにして、理人の胸の突起を摘まみ上げた。くりくりと刺激してやると、未だ火照ったままの身体は敏感に反応し、理人の口から甘い吐息が零れる。
「ぁ……ん……瀬名……ダメだって……」
「ん? どうして?」
「どうしてって……お前……っ」
「ふふ、乳首弄られて感じてるんでしょう? 理人さんのここ、固く尖ってきてる」
「っ、や……ぁ……」
カリッ、と爪を立てて掻かれ、堪らずビクビクと身体が跳ねた。治まりかけていた熱がじわじわとせり上がってくるのを感じ、理人は慌てて膝を擦り合わせる。
「やだやだばっかり……。理人さん、本当は嫌じゃないでしょう? こうされるの大好きなクセに」
「違ッ……」
否定の言葉に説得力など皆無だった。ツンと主張する二つの粒を押し潰すようにして捏ね回されれば、否応なしに快感が高まっていく。
「理人さんはここ弄られるの好きだもんねぇ? 気持ちよさそうな声出して」
「ちがっ……んんっ」
「違わないでしょう? ほら、また勃ってきた」
瀬名は片方の手で右の突起を転がしながら、もう一方の手を下腹部へと滑らせた。既に熱を持ち始めているそこを掌で包み込み、ゆっくりと扱いてやると、理人のモノはすぐに硬度を増していく。
「っ、あ……やだっ……」
「嫌じゃないくせに。……あ、そうだ理人さん。チョコレート、食べませんか?」
「あ? 急になんだ?」
唐突な提案に、理人は訝しげな視線を向けた。
「疲れたときって、甘いモノ食べたくなりません?」
言いながら、瀬名はサイドボードからお菓子の箱ほどの大きさのケースを取り出した。
「……っ」
それを見た理人の表情に、驚愕の色が浮かぶ。
「おい、これってまさか……」
「はい、例の媚薬入りチョコです。一昨日届いてたんですよ。人気商品みたいで、出荷までだいぶ時間かかっちゃいましたけど、間に合ってよかった」
皆スキモノなんですねぇ、なんてニコニコと笑う瀬名とは対照的に、理人は複雑な面持ちでその箱を凝視する。
「あのなぁ、お前……」
呆れたように溜息をつく理人を横目に、瀬名は丁寧に包装紙を破っていく。そして、蓋を開けると中から現れたハート型のチョコを一つ摘まみ、理人の唇に差し出した。
「ほら理人さん、あーんして?」
「っ、誰が食うか! アホッ!」
「えぇ、なんでですかぁ? 美味しいのに……」
「んな怪しいモン、普通に食えるか! バカかお前は!?」
「でも、理人さんだって興味あるでしょう? 今よりもっと気持ち良くなれるかもしれないんですよ?」
「……」
瀬名の一言に、理人の心が大きく揺れ動く。確かに、この前の一臣との一件での感覚は凄まじかった。正直に言えば、もう一度あの快感を体験したいと思ってしまう自分がいる。
「理人さん……ね、試してみたくないですか?」
瀬名が耳元に唇を寄せ、甘ったるい声で名前を呼ぶ。その蠱惑的な囁きだけで、理人の腰は疼いて仕方がなかった。
「それに、もしかしたら誇大広告かもしれないし。何も効果がなかったら、ただのチョコでしょう?」
確かに、その通りかもしれない。興味がないと言えば嘘になるし、もしこれが本物なら、もっと深い悦びに辿り着ける可能性がある。
「……」
葛藤する理人の耳たぶを、瀬名はニヤリと笑ってペロッとなぞった。
「ぅ、ひぁっ!?」
「ふふ、可愛い」
「~っ、うっさい! つーか耳舐めんな! くすぐったいだろうがっ」
「くすぐったいだけ? ……本当に?」
瀬名は再び耳元へ唇を寄せると、吐息を吹きかけるように囁いた。瞬間、ゾワッとした感覚が身体を突き抜け、理人の肩が小さく震える。
「っ、あ……ちょっ……」
「ふふ、やっぱり。理人さん、耳弱いですよね。可愛い……。こんなに敏感なのに、薬を食べたらどうなっちゃうんだろう。考えるだけで興奮しちゃいますね」
瀬名はうっとりと呟くと、既に硬く反り勃った自身を理人の腰に押し付け、耳に何度もキスを落とした。ガチガチになったモノの存在を感じながら、耳に舌先が触れるたび、理人の頭は真っ白になっていく。
「っ、この、変態っ……。もう、わかった、食う、食うから……っ耳はやめろっ!」
「本当? 嬉しいなぁ。じゃあ、はい、どうぞ」
瀬名は満足げにほくそ笑むと、手に持っていたチョコを再び理人の口元へ差し出した。鼻腔を擽る香りは、至って普通のチョコレートだ。これを食べたら、自分は一体どうなってしまうのか。
得体の知れない恐怖。けれど、それを上回る期待。 理人はごくりと唾を飲み込むと、覚悟を決めてその小さなハートに牙を立てるべく、ゆっくりと口を開いた。