🎖️ 第十六章:新兵入団、公然となった「溺愛」新兵たちの目線
壁外調査の成功と、調査兵団が握る情報の重要性が高まる中、104期訓練兵団の卒業生たちが調査兵団に入団する日が来た。彼らは、調査兵団の英雄たち――エルヴィン・スミス団長、リヴァイ兵士長、そしてハンジ分隊長に対し、尊敬と畏敬の念を抱いていた。
新兵たちが最初に目にしたのは、整然と並ぶ団員たちの前で、壇上に立つエルヴィンと、その傍らに立つリヴァイの姿だった。
その中央には、彼らが噂で聞いていた**「異世界の天才」**、サクラの姿があった。サクラは、身長150cmと小柄ながら、調査兵団の制服を完璧に着こなし、その視線は鋭く、もうただの「迷子」ではない。彼女は、エルヴィンとリヴァイの隣という、本来なら団長直属の副官しか立てない位置に立っていた。
新兵たちは、この異例の配置にざわついた。
エルヴィン団長の「特別な挨拶」
入団式が始まり、エルヴィン団長が威厳に満ちた声で演説を行った。人類の自由と未来への重い決意を語る彼の姿は、新兵たちを圧倒した。
そして、エルヴィンは演説の最後に、壇上に立つサクラの方へ静かに向き直った。
「…そして、新兵諸君。君たちには、我々の**『未来』、そして『希望』**の象徴である、サクラ兵士を紹介したい」
エルヴィンは、その体躯をかがめ、サクラの肩に手を置いた。
「彼女は、我々の持たない**『世界の真実』という知識と、君たちを凌駕する類稀な才能**を持っている。君たちが命を賭して守る価値がある、最も大切な存在だ」
彼の言葉は、公的な演説の場にもかかわらず、まるで婚約者を紹介するかのような、私的で強い庇護の感情が込められていた。彼の視線は、サクラへの深い信頼と、誰にも触れさせないという独占欲を隠そうとしなかった。
「彼女は、今後、私の直属として、戦略の全てに関わる。彼女の指示は、私の指示と同等であると心得よ。…そして、彼女に不利益をもたらす者は、誰であろうと、私が許さない」
その言葉は、新兵たちに対する命令であると同時に、サクラへの**公然たる「愛の宣誓」**だった。
リヴァイ兵士長の「公的浄化」
エルヴィンの演説が終わると、今度はリヴァイ兵士長が、サクラの前に進み出た。彼は、サクラの制服の襟を、微細な塵が付着していないかのように、指先で払った。
その行為は、公の場にもかかわらず、あまりにも親密で、異様だった。
リヴァイは、新兵たちを、冷徹な視線で見据えた。
「おい、新兵ども。よく聞け」
「このサクラ兵士は、俺が個人的な指導を担当する。お前らが想像する百倍も強く、そして**『清潔』**な存在だ」
彼は、サクラの肩に手を置き、そして、サクラの制服を掴んでいた自分の手に、ついた微細な埃を払う。
「今後、俺の許可なく、彼女の体に指一本でも触れることは、許さん。その汚い手で、彼女の持つ純粋な才能と、俺の指導の成果を汚すな」
そして、リヴァイはサクラにだけ聞こえるように、非常に小さな声で囁いた。
「…演説は、埃が舞うから嫌いなんだ。終わったら、すぐに手を洗いに行こうな。誰もいない、清潔な場所で」
リヴァイの行動と発言は、エルヴィンの「公的な宣誓」とは対照的に、私的な「溺愛と独占」を公然と示したものだった。
新兵たちは、その光景を呆然と見つめた。リヴァイ兵士長とエルヴィン団長。人類最強の二大巨頭が、一人の小柄な少女に対して、公然と、過剰なまでの庇護と愛情を示している。
兵団内に渦巻いていた「溺愛の噂」は、この瞬間、揺るぎない真実となり、新兵たちの間に深く刻み込まれた。
サクラは、二人の間に立ち、この重い愛を、人類の希望という重圧と共に、公に背負うことになったのだった。
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