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ピピピピピピッ⋯⋯
翌日、朝。
いつもより三時間早い目覚ましで目を覚ます。
今までは早起きな千夏に起こされていたのでこの音を聴いたのは久しぶりだった。
今日は発現検査の為の試験の日だった。
「ここか、会場」
四六時中やっているこの試験は、セルヴィア学園に入学するための試験にもなっている。
試験内容は実践のみ。自分の能力名をつけるのも、この試験の後になる。
『試験番号 N 333、ご予約の 入間 千冬 様、会場Dにて試験を行います』
アナウンスが流れる。僕は会場Dに向かった。
「こんにちは、本日試験管を担当する柳本です」
気の良さそうな女性職員が笑顔で言い、会場Dの重そうな扉を開けてくれた。
「まず、ここに来たきっかけを教えてください。上からあまり聞かされていないもので」
表情筋が固まったように、目を、口を開けず話す柳本さん。手元には代わりに口を動かす人形がいた。
「昨日、遠隔で物を引っ張れたんですよ。照明の紐を」
「なるほど、了解です。では、様々な動作をしてみましょうか」
引っ張る、ずらす、持ち上げる、鉛筆で紙に文を書く。
この能力は、結構色々な動作ができるらしい。
「次は、距離の確認です」
距離については、限界が計り知れなかった。
だが、距離を増す毎にコントロール力が落ちていくらしい。
その後も様々な試験をして、手で動かすものが近くにある場合と同じ動きをしなければいけないことと、遠くのものでも軽々と動かすことができる、ということも分かった。
「おめでとうございます。無事、王立セルヴィア学園に入学許可がでました。少々写真をば⋯⋯」
「?」
僕は、よく分からないまま証明写真のようなものを撮られて帰った。
──翌日、早朝。
玄関先に置き配の荷物があった。
それは、王立セルヴィア学園の生徒証と、制服だった。
そして、登校は七月十九日からです、という紙も。