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いつも通り妹に起こされ、朝だと気づく。なにか夢を見ていた気がしたが思い出せない。

いつも通り、1階へ下り洗面所で歯を磨き、顔を洗う。家族全員で朝ご飯を食べる。

「何時頃出るの?」

「お金は大丈夫?」

など母に聞かれる。

「11時半頃出る」

「まぁ大丈夫じゃない?」

と答える。朝ご飯を食べ終え、部屋に戻る。

早すぎる昼寝をしようとしたが朝ご飯を食べ終えて10時近く。

今から寝て起きる自信もないし。起きたところでギリギリだったら慌てるし。

大吉祥寺に行くのだから寝癖ついてたら嫌だし。など

本当に修学旅行前のときのような感覚になった。テレビをつけてテレビを眺める。

ニュースとバラエティー番組が混ざったような番組を眺める。

流行っているもの、ニュースなどが流れて

僕も出演者の皆さんのように笑ったり、深刻な顔になったりしていた。

テレビ画面の左上に表示される時刻表示をチラチラ見る。

時間が経つのが早いような、遅いような不思議な感覚に包まれる。

気がつけば11時を回り、過ぎてみれば一瞬だったような

1時間以上あっただろ。と思うほど長く感じたような気がした。

家を出る約30分前。ソワソワし始める。

充電していたサティスフィーをリュックに入れて。

あ、サティスフィーの充電器も必要か。てことはスマホの充電器も入れないと。

そう思いながらリュックにサティスフィー

サティスフィーの充電器、スマホに挿していたスマホの充電器のケーブルを外し

スマホの充電器を雑にリュックに入れる。

そんなことをしてもまだ11時10分にもなっていない。

「あ」

今さら自分がまだ部屋着でいることに気がつく。

部屋着を脱ぎ、濃い色のジーンズ、テキトーなTシャツ、淡い色のGジャンを羽織る。

ジーンズの後ろポケットに財布を入れ

右ポケットにスマホ、左ポケットにイヤホンを入れる。

「よしっ」

テレビの電源を消す。リュックを背負う。リュックが背中に触れる感覚

両肩に均等だけど、どちらかのほうが重い気がする感覚、その感覚に懐かしさを感じニヤける。

部屋のドアノブに手をかけ、ドアを開く。一度振り返る。部屋を指指しながら確認する。

「よしっ。よしっ。よしっ!」

ドアを閉める。廊下を進み、階段を下りる。一度リビングに寄る。

「じゃ、行ってくるわー」

声をかける。

「んー!いてらー。2人よろしくって言っといてー」

「はいはい」

「もう出るの?」

と母がキッチンに入る。冷蔵庫を開ける音が聞こえ

紙袋のカサガシャガサという音が聞こえる。

「これ持ってきなさい」

母が僕に紙袋を渡す。

「なにこれ」

「一応泊まらせていただくんだから」

「いいって言ったのに」

「いいから」

「…ん。あんがと」

そんな会話を交わし、玄関へ向かう。靴を履く。立ち上がる。振り返る。

「じゃ、いってきます」

「はい。いってらっしゃい。小野田くんと鹿島くんによろしくね。

ご両親に会ったらちゃんと挨拶するのよ」

「わかってるって」

「お兄ちゃんいてらぁ〜」

心配そうな母と眠そうなダルそうな妹に背を向け、玄関の扉を開く。

本当に修学旅行に行く朝のような感覚になる。

扉を開くと、春の鋭くも優しく淡い陽の光が差し込む。眩しくて目を瞑る。

目を開け、春の香りを鼻から吸い込み、いい天気の中、駅へ歩き出した。

ジーンズの右ポケットからスマホを取り出し、電源を入れる。11時22分。

電車に乗ろうとも考えたが、これは歩いても全然余裕があると思ったので

歩いて匠の最寄り駅に行こうと決めた。ジーンズの左ポケットからイヤホンを取り出す。

音楽アプリを開き「お気に入り」のプレイリストをシャッフル再生し歩き出す。

春の香りがいつもより鮮明に感じた。しばらく歩き、自分の最寄り駅が見え通り過ぎる。

中学、高校の頃よく歩いていた通学路を歩く。リュックを背負い、通学路を歩く。

青春の5月を思い出しながら歩く。4月に入学して、まだ緊張が解けきれていない頃。

2年生に上がり、クラスが変わって、後輩も入学してきて

修学旅行だって待っていて浮き足だっている頃。

最上学年に上がり、先輩がいなくなり、やりたい放題、彼女もいるしで

3年生では一番ウキウキして一番楽しい頃。

そんな同じ僕だけど三者三様の僕の背を追うように歩く。

いつの間にか道の先に駅が見える。駅に着く。周りを見渡す。鹿島の姿はない。

スマホを取り出し、電源をつける。11時47分。LIMEアプリを開き、グループLIMEを開く。

「おっはよー!こんな早起きしたの5年ぶりくらいだわww」

「みんな起きてないのー」

「これから電車乗りまーす」

「今起きたわ」

「おっそww」

「起きただけ褒めてくれ」

「( ๑´•ω•)۶”(ノω・。`)ヨシヨシ」

そこに僕も加わる。

「鹿島ー何時くらいに着きそ?」

すぐに既読が1つつく。

「あぁ〜どれくらいだろ。12時前?もしかしたらちょい過ぎるかも」

返信する。

「りょーかい」

トーク一覧に戻り、電源を切る。近くのコンビニまで歩く。コンビニに入る。

雑誌コーナーで雑誌をペラペラ捲る。

しばらく雑誌を眺め、コンビニの時計に目を向ける。11時56分。

スマホを取り出し、電源をつける。鹿島と匠と僕のグループLIMEの鹿島の通知が来ていた。

「次でごわす」

僕は雑誌を閉じ、元に位置の戻し、飲み物の並ぶガラスケースから

ココティー(心の紅茶の略称)のストレートティーを取り

レジに向かう。イヤホンを片方外し、レジ袋は入りませんとお金を払い、裸で受け取り

イヤホンを付け直し、コンビニを出る。

バリバリバリと真新しいペットボトルの蓋を開ける。

飲み口に口をつけ、ストレートティーを1口流し込む。

紅茶のストレートな香りが鼻から抜け、甘さの中撫でるようにほのかに苦味を感じる。

蓋を閉め、歩き出す。すぐに駅につく。まだ鹿島の姿はない。と思っていると

すぐにホームに電車が来て、改札から人が出てくる。

その中に鹿島の姿が見てとれた。僕は音楽を止めようとスマホの電源を入れる。

鹿島からの鹿島、匠、僕、3人のグループLIMEでの通知。

「ついたーぜ」

「わかってるわかってる」

呟き、音楽を止め、イヤホンを外す。

「おいーす!」

元気の良い鹿島の声が聞こえてくる。鹿島はワイヤレスイヤホンを外しながら近寄ってくる。

「おすおす〜」

「待った?」

「今来たとこ」

「お決まりのやり取りぃ〜」

「デートでしか言わんやろ」

「いや、デートでも言わん」

そんないつも通りバカでなんの実りもない話を繰り広げる。

「いやぁ〜楽しみで寝れんかったわ」

「マジ?何時間寝た?」

「8時間くらい?」

「充分だろ」

「なんかなんてーの?旅行前感?」

「あぁ〜。オレはね、修学旅行前感だった」

「なるほど!そっちか!」

「このリュックに荷物詰めてる感とかね」

「でも修学旅行感はわかるけど、修学旅行にリュックは小さいよね」

「たしかにな。修学旅行ー…。キャリーだったか」

「キャリーだったね」

しょうもない会話をしているといつの間にか、匠邸が見えてくる。

「あ、匠ちゃんの豪邸見えた」

「目立つよなぁ〜」

「会社だと思うよね」

「思うね」

恐らく車用の門を通り過ぎ、人用の両開きの扉の横についているインターフォンを鳴らす。

返事もなにもなくウィーン、カチャンと鍵が開く。両開きの扉を開き中に入る。

飛び石のように置かれたタイルの道を進む。前からカッチャンと鍵が開く音が聞こえる。

玄関の扉のドアノブに手をかけ、引き開ける。

「お邪魔しまーす」

「お邪魔しまーす!」

「どぞー」

奥から匠の声が聞こえる。靴を脱ぎ、廊下に上がる。

相変わらず天井の高い、広いリビングに入る。

「あ、テキトーに荷物置いて待っててー」

2階から声が聞こえてくる。僕と鹿島はソファーに座り横にリュックを置く。

「旅行来た感パナい」

「わからんでもない」

「この広さ、1泊いくらかな」

「1人10万とか?」

「うわぁ〜」

「この家全部ってなったらもっとだろうね」

「はぁ〜。ただで泊まれてよかった」

「しかも2泊な」

「それな」

「おまたへー」

2階から声が聞こえてきて、匠が1階に下りてくる。

「わーお派手」

「どこが」

「主に耳」

部屋着から着替えた匠の服装は太ももの辺りまで丈のある白いYシャツに

少し胸の辺りにプリントがあるTシャツ。

僕と似た色の濃い色のジーンズと割とシンプルな服装ではあったが

この間家に来たときのようなファーストピアスではなく

いつも大学に来るときのような様々なデザインのピアスを耳につけていた。

「ピアス変えるの大変じゃない?」

「あぁ、うん。めっちゃ大変。特にインダストリアルが大変」

と耳を貫通するようにつけている棒状のピアスを見せる。

「わお!かこいい!」

「アリガト」

「あ、そうだ」

と僕は紙袋を匠の差し出す。

「これ母親が渡せって」

「おぉ、どもども」

と言い僕から紙袋を受け取った匠は紙袋を開いて中を見る。

「バームクーヘンだー」

僕も今知った。

「冷蔵庫入れたほうがいいよね」

「まぁ?」

「じゃあ、わたくしも」

と今度は鹿島が紙袋を匠に差し出す。

「京弥も?どもども」

匠が受け取り、キッチンの前のイスは4つだが

とても4人用とは思えない大きなダイニングテーブルに紙袋から出した箱を置く。蓋を開く。

「おぉー。ゼリーだ。これも冷蔵庫だな」

「家族でどうぞだって」

「あぁ、バームクーヘンもそう。あと鹿島と匠のよろしくって」

「あら私も?」

「母親がね。妹は鹿島とひさしぶりにちゃんと話してみたいって言ってたけど」

「マジ!?じゃ、いろいろお喋りしに可愛い夢香ちゃんに会いに行こー」

「言ってたけど!教育に悪いからやめなさいって言っといた」

「おいー!どこがやねん」

「なんとなく?」

そんな話をしている間に匠は冷蔵庫にバームクーヘンとゼリーをしまっていた。

「じゃ、そろそろ出る?」

と言うと

「あーいよ」

「おけー」

とスマホ、財布と最低限のものだけを持って匠の家を出た。

3人でワイワイ駅までの道を歩き、電車に乗り、終点の大吉祥寺駅で降りる。

ワクデイジーのある通りに続く出口から外に出る。

「いやぁ〜匠ちゃん見る人多いねぇ〜」

「イケメンだからなぁ〜」

「髪色のせいだろ」

「で、お昼どうする?みんなお腹は?」

「ん〜。なんとも」

「わいもなんとも」

「焼肉って気分では?」

「「ない」」

「そっかぁ〜」

「まぁ鹿島が食べたいなら付き合うよ」

匠も頷く。ワクデイジーに近づく。

「ワックは?」

「まぁワックでもいいけど。どうする?」

「どうしようか」

「もうちょい後にする?昼ご飯」

「そうするか。なんかテキトーに見て周ろ」

その後、靴屋さんに寄ってみたり、服屋さんに寄ってみたりした。

「あ、オレさ。コードしまうやつほしいわ。あとピアスケース的な小さいやつ」

「小物入れ的な?」

「あぁ〜えぇ〜、うん。小物入れ?ん〜」

「指輪ケース的なやつなら持ってるからあげよっか?」

「マジ?いいの?」

「まぁ。ピアス買った時についてきたやつとかたくさんあるから、それでよければ」

「マジ助かる〜さすがわ親友」

「コードしまうやつはマエ電に売ってるかな。あ、ホン・キオーテに売ってるかもよ?」

そんな話をしホン・キオーテに寄った。

コードを巻いてしまえるものが売っていたのでそれを買った。

黄色いビニール袋を持ち、ホン・キオーテを出る。

「さぁーて。どうですか?お腹減りました?」

「まあまあ?」

「そうね。オレも」

「ん〜そんな感じかぁ〜」

鹿島が悩む。

「あ、じゃあさ、ファミレスは?ファミレスならドリンクバーもあるし

安いし、軽くも食べられるし。どお?」

僕は匠と顔を見合わせて

「「いいね」」

と2人で親指を立てて「グー」のサインを鹿島に突き出す。

そして3人でファミレスに入った。ソファータイプの席で落ち着く。

「はぁ〜なんだろ。この落ち着く感じ」

「わかるわぁ〜。高校の頃よく行ってたからかなぁ〜」

「鹿島は学校サボって来てそうだよね」

「怜ちゃんと匠ちゃんだって学校サボって来てたでしょ」

「受験終わってからはまぁあったか」

「あったね。でも京弥は受験終わってとかじゃなくて

ふつーにサボって入り浸ってそうだよね」

「わかる。それが言いたかった」

「まぁ〜。来てたね。女友達と男何人かで来てた」

「うわぁ〜。チャラそう」

「な」

「いや!まぁ、チャラくはあったか…な?まぁとりあえず注文しちゃおうや」

3人でメニュー表を眺める。3人とも頼むものが決まり、店員さんを呼ぶボタンを押す。

「はい。ご注文お決まりでしょうか」

「はい。えぇ〜と。ドリアを」

鹿島の顔を見る。鹿島が頷く。

「2つ。マルゲリータピザと唐揚げ、フライドポテト。あとドリンクバーを3つお願いします」

店員さんは僕の注文を聞きながら、手元の縦長の機器をピッピ鳴らしていた。

その機器の蓋をパタンと閉め、後ろポケットにしまう。

「かしこまりました。ドリンクバーはあちらにございますのでご自由にどうぞ」

そう言うと軽く頭を下げて去っていく店員さん。

「じゃあ、行きまっか」

3人で席を立つ。様々な機械が並ぶドリンクバーの付近の

グラスがしまわれているケースからグラスを取る。

タッチパネル式のドリンクバーで僕はオレンジジュースを選んだ。

タッチパネルのボタンを長押しする。

ジュゴッ、ジョバジョバジョバとオレンジジュースが出てくる。

僕は氷を入れなかったが鹿島と匠は氷を入れていて

鹿島はSanta(サンタ)グレープ

匠はソラオーラのレモン味の入ったグラスからカランカランと涼しげな音が聞こえてくる。

席につき、オレンジジュースを1口飲む。

最初の酸味が飛び込んできて、多少の甘味を感じ

ほのかに苦味の残るオレンジジュースだった。

「匠ん家のオレンジジュース飲んだらダメだわ」

「どゆこと?」

「あのオレンジジュースが美味すぎて」

「父さんが泣いて喜ぶわ」

「別に鹿島のお父さんが作ってるわけじゃないだろ」

「あでば」

「なんだそのリアクション」

「お待たせいたしましたぁ〜」

と店員さんがグリーンのお盆に乗せた料理をテーブルの置く。

「唐揚げとフライドポテトですねぇ〜。失礼いたします」

軽く頭を下げて去っていく。

「食べ食べ」

匠がフライドポテトを1本つまみ、僕と鹿島に言う。

「じゃ、遠慮なく」

僕も鹿島もフライドポテトを食べる。熱くて口をハウハウする。

「そうだ。ポテトで思い出した。ワックのさ、ポテトあるじゃん?

あれさ、SサイズMサイズで差ありすぎだと思わん?」

「どゆこと?」

「いやさ、Sサイズ頼むと物足りなくて、Mサイズ頼むとパンパンにならん?」

「なるほど。そーゆーことね。まぁわからんでもない」

「オレはわかる」

「2人とも両極端だからなぁ〜。鹿島は結構食べるし、匠は少食だし」

僕は何気なくスマホを出し、時刻を確認する。15時27分。

その下に妃馬さんからの通知が目に入る。

「もう小野田さんの家ですか?ルームツアーみんな楽しみにしてますよw」

ニヤけそうになり下唇を噛む。

「なに妃馬さん?」

匠が唐揚げを食いちぎりながら言う。

「ん?」

「わかる京弥?怜夢って良いことあると下唇噛むんよ」

「あぁ〜。なんかわかるかも」

バレていた。話そうとしたとき

「お待たせいたしましたぁ〜。マルゲリータピザに、ドリアですねぇ〜。

ご注文以上でよろしかったでしょうか?」

「あ、はい。ありがとうございます」

すると店員さんは伝票をクルクルッっとまるめて、透明のプラスチックの筒に入れる。

「では、ごゆっくりどうぞぉ〜」

と言って去っていく。

「はい怜ちゃん」

と鹿島がスプーンを取ってくれた。

「お、さんきゅ」

「匠ちゃんも怜ちゃんも良かったらピザ食べてね」

「ん。1枚もらうわ」

「じゃ、オレも」

それぞれ小皿にピザを乗せる。ピザもドリアもできたてなのか熱々で湯気が立っている。

「うまそぉ〜」

と言いながらドリアをスプーンで混ぜる鹿島。

上のチーズを割りかき混ぜるとより濃い湯気が立つ。

「熱そうぉ〜」

「熱いだろうね」

匠の視線を移すとピザを食べていた。

「ピザもう食べれると思うよ」

「マジ?」

「あぁそっか、怜ちゃん猫舌か」

「そそ」

「まぁゆっくり食べたらいいよ。なんたって2泊3日あるのだから!」

嬉しさが顔から滲み出ている鹿島。

鹿島や匠といると自分の猫舌を短所と思わなくて済む。一緒にいて心地良い。

2人と仲良くなれて良かったと思える。

スマホをテーブルに置き、匠に薦めてもらったピザを食べる。

まだ少し熱かったが、すぐあったかいに変わる熱さでちょうど良いタイミングだった。

「んん〜!うまいな」

「夜ピザはいいか」

「あぁ〜いらんかも」

「○×※□◇#△!」

「うん。食べ終わってから喋りなさい」

ピザを食べ終わり、指についた粉をお皿に落とす。

スマホを手に取り、妃馬さんの通知をタップし、妃馬さんとのトーク画面に飛ぶ。

「怜ちゃん上のチーズ割って混ぜたほうが冷めやすいと思うよ?」

口に入っていたドリアを食べ終えたのか、僕にアドバイスをしてくれる鹿島。

「んー。ありがと。やっといてー」

「んーもうっ!怜ちゃんはしょうがないんだからっ!」

僕の目の前に置いてあるドリアとスプーンを自分の近くに寄せて混ぜてくれる鹿島。優しい。

その間僕は妃馬さんに返信を打ち込む。

「今みんなで外でお昼食べてます。ルームツアーw森本さん楽しみにしてそうですねw」

送信ボタンをタップし、トーク一覧に戻り、電源を落とし、テーブルに置く。

「なんだって?」

ドリアを食べながら鹿島が聞いてくる。

「ルームツアー楽しみだって」

「あ、そうだ」

と匠がフライドポテトを食べながら、なにかを思いつく。

「お風呂どうする?」

「どうするってなに?」

「いや、うちのお風呂でいい?」

「他になにがあんの?」

「あぁ、うちの駅の近くに温泉あるわ」

「そうそう。猫井戸駅の近くに温泉あるから、そこにする?うちにする?ってこと」

「マジ!?温泉あんの!?」

「素晴らしの湯。何回か家族で行ったけど結構良かったよ」

「うわぁ〜悩むなぁ〜匠ちゃん家のお風呂とどっちが広い?」

「匠ん家」

「な訳ないだろ」

とバカな話で盛り上がった。鹿島がかき混ぜてくれたドリアを掬い上げる。

鹿島のお陰で湯気が少なくなっていたので一口食べてみる。

少しハフハフするもすごくちょうどいい熱さだった。

そのまま3人でテーブルの乗ったお皿を空にした。

「いやぁ〜腹いっぱい」

「オレもいっぱいだわ」

「匠ちゃんそんな食べてないじゃん」

「オレも夜までもういらないわ」

「てかドリンクバーの元取らんと!」

「元は取れないから

もう1、2杯飲んだら帰ろうぜ」

「そーなの?まぁいいや。んじゃいこーぜー」

3人で立ち上がり、ドリンクバーへ向かう。馬鹿話をしたりして、3杯目飲み終えたところで

お会計をし、3人で割り勘で払い、ファミレスを後にした。

電車に乗り、匠の家の最寄り駅で降りる。匠邸までの道を歩き、匠邸にたどり着く。

猫舌ということ。

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