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深夜。アパートの狭い一室で、古いテレビが砂嵐混じりの映像を映し出していた。『……繰り返します。昨夜未明、繁華街で20代男性が激しい痙攣を訴えるなどの症状が発生しました。警察は薬物乱用を疑いましたが、体内から成分の残留は認められなかったとのことです。また、搬送先の病院で男性が暴れ、対応した職員が負傷する事案も……』
etは、そのニュースをぼんやりと眺めながら、手元にある半分に割ったコッペパンを、隣で眠る妹の枕元に置いた。
et「……薬物じゃないなら、何なんだろうね。まぁ、気にしなよ。どうせすぐ収まるって」
独り言のように呟き、彼女は蛇口から出たぬるい水道水を一気に飲み干した。
お腹がグウと鳴る。
et:「私はさっき、仕事の帰りに友達と豪華なディナー食べてきたからさ。もうお腹いっぱい。……
ほら、起きたらこれ食べなよ」
妹への嘘。そして自分への嘘。
「女なら、泥を啜ってでも見栄を張れ」
失踪した父親が残したその言葉だけが、今の彼女を支える、唯一のプライドだった。
翌朝。etは安物の、けれど手入れだけは行き届いたジャケットを羽織り、街へ出た。
彼女の仕事は、街の清掃員という名の「雑用係」だ。
けれど、周囲には「大手企業の警備コンサルタントの卵だ」と嘘を吐いている。
et:「お疲れ様です。……あぁ、これ? ちょっと大事な案件の打ち合わせがあってさ。忙しいんだよね」
清掃仲間にそう言って、彼女は颯爽と歩き出す。
足元の靴は、実は底が剥がれかけていて、歩くたびに少しだけ音がする。
それを隠すように、彼女はわざと胸を張って歩いた。
??「……相変わらず、綺麗な『嘘』ですね、etさん」
不意に声をかけられ、etは肩を震わせた。
振り返ると、瓦礫の山の上に、桃色の髪を揺らした少女が座っていた。
巨大企業「マナ」のロゴが入った作業服。この地区の再開発を統括する若き設計士、naだ。
et:「……なんだ、naさん。設計士様が、こんな掃き溜めに何の用? 忙しいんだから、話なら後にしてよ」
na:「ふふ。あなたの『設計図』を見に来たんです。……いつまでその、ボロボロの靴でエリートの振りをし続けるのか。その限界点を、計算しにね」
naは、etの足元——擦り切れた靴の先を、冷徹なまでに美しく、慈しむような瞳で見つめた。
et:「……うるさいな。私は一攫千金のチャンスを掴みかけてるんだよ。アンタみたいな計算ばっかりの人には分からないだろうけどさ」
na:「……そうですね。一攫千金、……あるいは、取り返しのつかない破滅か。……楽しみにしてますよ、etさん」
naが微笑むと同時に、遠くの路地裏で、獣のような咆哮と、鋭い悲鳴が響き渡った。
日常の皮が、一枚ずつ剥がれ落ちていく音。
それが、二人の終わりの始まりだった。
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naさんとetさんの関係性:
et(受け):虚飾の英雄
貧乏。「見栄」を張って強がるが、中身はボロボロで孤独な少女。窮地でプライドを砕かれ、泣きじゃくりながらnaに縋り付く。
na(攻め):冷徹な設計士
おっとりしているが、etを自分だけのものにするため、彼女が絶望して堕ちてくる状況を完璧に「設計」して待っている。
あらすじ: 舞台は、正体不明の感染症(ゾンビ化)によって、静かに日常が崩壊し始めている現代都市。
主人公のetは、蒸発した父親の「見栄を張れ」という教えを呪いのように守り、極貧生活を隠して「エリート」の振りをしながら妹を養っています。
街がパニックに陥る中、etはその「ハッタリの強さ」を買われ、街を支配する巨大企業「マナ」の警備リーダー(英雄)として祭り上げられます。
しかし、それは企業側が仕組んだ**「生贄(トカゲの尻尾切り)」でした。
絶体絶命の淵に立たされ、プライドも命も失いかけたet**の前に現れたのは、すべてを冷徹に設計していた天才設計士・na。
「助けてほしいなら、私の設計図(おもちゃ)になりなよ」
偽りの英雄が、本物の絶望の中で「見栄」を捨て、一人の少女にすべてを委ねるまでの**「転落と共依存」**の物語。