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闇の帝王という呼称を持つにしては、毎日が酷く普遍的だった。 部下たちの騒音で起こされて、それを叱るために支度をして、部下たちと飯を食べて、部下たちに仕事を与えて、部下たちと仕事をしてから一緒に飯を食べて、部下たちと寝て。
いつものルーティーンに飽きが来ないのは、単にそういう性格ということでもなくて、ただただ、部下たちを愛してやまなかったから、だ。
部下たちを家族にしたかった。部下たちと一生、いたい。部下たちとこのまま馬鹿騒ぎができていればいい。このまま平穏に、光の奴らなんて知らん振りして、平和に過ごしているだけで満足だった。
。。。
【それはダメだ。あまりにもつまらない。】
耳元から突如聞こえてきたその声。喉奥が冷えてからからになっていく。息を呑んで、吸うことができずに呼吸が荒くなる。
全てを飲み込み、泥沼に変えてさえしまえるような気配を、俺には暗すぎた気配を背に感じた。
命と自負するにはとてもじゃないがかけ離れていた俺でも、正体のわからないものはなんでも、ゾワリとして気味が悪い。いや、怖いのだ。
わからない、わからないのだ。どうして、負の感情の概念そのものの具現化である俺よりも、こんなに負の感情が強いのか。姿すら分からないが、なぜだろう、なぜだろう。うすらとして、脳裏にその声の主の容姿が思い浮かぶ気がする。
だがそれ以前に、どうして俺の声で喋るんだ。
【お前は俺だろう。】
言いたいことを理解してしまったこの脳みそを潰したくなった。