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ネグは薄暗い部屋の隅で、ジーーーーーッと息を殺しながら耐えていた。外はまだ夜の静けさに包まれている。
スマホが突然鳴った。LINEの音声メッセージだった。
──ネグの声で、長文の煽りが流れる。
「おはよー♡ やっと朝になったね? 昨晩の探し物ゲーム、めっちゃ面白かったよ? あんたらホントに雑魚♡ そんなに必死に探して、何回もキレて、笑いが止まらなかったよ♡ ま、また今日も遊ぼうね♡♡」
その声は甘く挑発的で、明らかに二人を煽る狙い満載だった。
ネグはその後、ゆっくりと眠りについた。
⸻
朝。
目を覚ましたネグは、レイの家の風呂場へ向かい、朝風呂で体を温める。
清々しい朝の空気を浴びながら、朝食をしっかり食べた後、服を着替え、髪をクシで整える。
スマホを手に持ち、そろそろすかーたちに電話をかけようとしたその瞬間──
「──プルルル……」
先に電話がかかってきた。
ネグは少し迷いながら、そばにいたレイに声は出さずに伝える。
「……(声は出さずに)」
レイは頷いて、隣でサポートする。
ネグは寝起きのような、かすれた声で応えた。
「なに?」
すかーと夢魔は即座に激おこモード全開で長文怒り炸裂。
「なに?じゃねぇよ!!! 何時間探させんだよ、お前!! しかも人の服勝手に持ってって、どんだけ迷惑かけんだよ!!! いつもいつも逃げてばっかで、マジでふざけんな!!!」
「お前が俺たちの心配なんかしてるわけねぇだろ!? もういい加減にしろっての!!!」
二人の怒号は電話越しに刺さるように響いた。
ネグは声も心の中でも声を漏らさず、クスクスと笑っていた。
そして意地悪く、長文で煽る。
「ええー、そんなに怒ってるの? 可愛い♡ でも、そうやってムキになってるの見ると、もっと楽しくなっちゃうよ? 今日も探してあげるから、ちゃんと頑張ってね? ざこざこ♡ ざぁこな夢魔くんとすかーくん♡♡」
電話は切られ、レイとネグは声を殺して笑った。
「……ほんとに手強いな。」レイは微笑みながらも感心したように言った。
⸻
その後、二人は外へ出た。
実際にすかーと夢魔に会いに行くためだ。
街の通りを歩き始めた二人を遠くから見つめているすかーと夢魔。
「今日は逃がさねぇ!!」
その勢いのまま走り出す二人。
だが──
「……はあ、やっぱり速いな……」とネグは小さく呟き、スピードを上げる。
だが、すかーと夢魔も全力疾走で追いかけてくる。
その時、突然バイクのエンジン音が空気を切った。
「……何だ?」
ヘルメットを被ったレイが颯爽と現れ、ネグの前に立ちはだかった。
「乗れ、急げ!」
二人は驚きながらも必死で追いかけるが、バイクの速さに敵うはずもなかった。
すかーと夢魔は激おこ視点で唇を噛みしめる。
「バイクだと……!? くそぉ!! なんであんなの使えるんだよ!!」
「ずるいぞ、マジで!」
だが、レイの巧みな運転で、ネグは逃げ切った。
遠ざかるバイクの後ろ姿を見送るすかーと夢魔の怒りは、かえって燃え上がっていった。