テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ありあ
400
#普通
野々さくら
768
45
#幼馴染
猫塚ルイ

3,373
俺のことを心配してくれている。
だけど、圭ちゃんの眼光はは鋭いままだ。
「そういうんじゃないよ。なんか、謝る必要ないのに、昔のこと謝ってくれて……正直驚いた」
「謝る?」
「うん。中学のときのこと……なんか〝ゲイにならざるを得ない体験をした〟って言ってたから…あの後色々あって恋愛観が変わったんだって」
「ふぅん」
圭ちゃんは少し不機嫌そうに頬杖を着いて、眉を寄せている。
刺々しい沈黙が二人の間に落ちた。
「ねえ圭ちゃん……やっぱ妬いてる?」
「いや。お前なんかさっき顔赤かったし、気になっただけ」
「あっ、あれはその…樹くんが…い、いや、なんでもない」
「なんだよ、気になるだろ」
「い、言ったら絶対圭ちゃん怒るって!」
誤魔化すようにキーマカレーパンを口に運ぶと、圭ちゃんは少しだけ目を細めた。
獲物を狙う猛獣のような瞳だ。
「ますます気になんだけど、なに。ちんこ見たいとか言われたわけじゃねぇだろ?」
「んっ!?」
パンが喉に詰まりそうになり、胸を叩いてゴクンと飲み込む。
相変わらず突飛で生々しい単語だ。
「バカ?!そんなこと言うわけないじゃん…!」
取り乱しつつも反論すると
「じゃあなんだよ」という質問の繰り返し。
じりじりと追い詰められていく圧迫感に、俺は渋々固い口を開いた。
「その…怒らないで聞いてね?」
「約束する、多分」
「…うーん、あれだよ?〝可愛くなった〟って言われただけだよ?」
そこまで言うと、圭ちゃんは呆れたような溜息をついた。
その吐息の中に混じる不機嫌の濃さに、背筋が凍る。
「へぇ…好きな男と再会できて甘い言葉もかけられて嬉しかったっつーわけね」
明らかな不機嫌だった。
不機嫌がこれでもかと全面に出ている。
空気全体が重い圧力となって俺を押し潰しにかかってくる。
「す、好きじゃないって!ただの初恋だしもう終わった恋だし、嬉しかったわけじゃ……っ!」
俺は必死に弁明するが、圭ちゃんの表情は依然として硬い。
冷酷なまでの苛つきと独占欲が見え隠れする。
「なら尚更危なくね?」
「な、なにが…?」
「相手はお前のこと〝可愛い〟とか平気で言えるんだろ?しかもゲイになったことを示唆するようなことまで言ってやがる」
「示唆って大袈裟な……ゲームのしすぎじゃない?」
「手出されてからじゃ遅ぇだろ?」
「だ、大丈夫だよ!俺、一度振られてるんだし!そんなことあるわけないって」
俺は慌てて反論するが、圭ちゃんの目は冷ややかだった。
「だってお前トロいし、簡単に押し倒されそうじゃね?」
「それは俺のこと甘く見すぎだって…!女の子じゃないんだからさ」
思わず声が大きくなる。
「そもそも俺のことそんな風に見てないだろうし、圭ちゃんが気にしすぎなんだよ。ね?」
「あっそ」
そう返すと、圭ちゃんは俺から目を離して焼きそばパンを噛みちぎるように食べ始めた。
一切の会話を拒絶するような重苦しい沈黙が、残りの昼休みを支配した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!