TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

カードキーを差し込み、部屋の中に入る。

「わっ…!広い…!」

一人部屋とは思えないような広さに驚きながら、あちこちを探索。

2LDKの室内は、本来2人用なのかと思うほど広々。

キッチンも広いし、料理するのも楽しそう…!

理事長が言っていたとおりすべての部屋に内鍵がついていて、至れり尽くせりだった。

それにしても…まさか〝デク〟の名が、あんな広がりを見せていたなんて…。

転ちゃんの恋人ってこともあってだろうな…変装してきて正解だったのかもしれない…。

上鳴先輩のことを騙しているようで心が痛んだけど…今はまだ僕がデクだとカミングアウトする勇気はない…。

ただ転ちゃんやvillainsのみんなと会いたいって理由で来たけど…前途多難になりそうだ…。

…ダメダメ、初日からこんなマイナスな気分になっちゃ。

よーし、今日はまず、荷解きをして部屋を片付けるぞ~!

そういえば、今は僕しかいないんだから、もう変装は解いてもいいだろう。

ウィッグと眼鏡を外し、カラコンも取る。

はー、スッキリ…!

さ、片付けるぞ!

ぱちっとほおを叩いて、僕は荷解きを始めた。



終わった…!

すべて終わった頃にはすでに外は暗くなっていて、お腹がぐうっと音を立てた。

食料品の買い物は明日行くとして、今日は簡単なもので済ませよう。

お母さんがたくさん送ってくれた軽食を食べ、お風呂に入る。

今日はもう寝ようかな…と思ったとき、スマホが音を立てた。

画面に映し出された、【転ちゃん】の文字。

慌てて電話に出ると、スマホ越しに転ちゃんの声が聞こえた。

《デク、今何してるの》

転ちゃんのその優しい声色に、1日の疲れがスッと消えていく。

「そろそろ寝ようかなと思ってたところだよ」

《そっか》

「転ちゃんは?」

《俺も。寝る前にデクの声が聞きたいなと思って》

その言葉に、嬉しくなった。

ふふっ、てんちゃんは、まだ、僕がこの学園に居ることを知らない。

こんなに近くで電話してるなんて、思ってもないだろうな…。

びっくりする転ちゃんの顔を想像するだけで、笑顔がこぼれた。

転ちゃん、喜んでくれるかなっ…。

早く、会いたいなあ…。

転ちゃんとは、もう半年以上会ってない。

半年前、転ちゃんが九州に来てくれたとき以来だ。

転ちゃんは月に一度僕に会いに行くなんて行ってくれたけど、交通費のこともあるし、いつかは帰れる予定だったから会うのは控えていた。

会ったら、離れがたくなっちゃうし…。

でも、これからは毎日だって会えるんだ。

「僕も、転ちゃんの声が聞きたかったよ」

《可愛いこと言わないで、会いたくなるから》

「ふふっ」

もうすぐ会えるよ、という言葉を飲み込み、代わりに微笑んだ。

《デク、声が眠そう》

「そうかな?」

《うん。今日はもうおやすみ。また明日も電話するね》

「うん、おやすみなさい」

《大好きだよ、デク》

その声を最後に、電話が切れた。

本当は今すぐにでも会いに行きたいけど…。

上鳴先輩がああ言ってたし、教室に会いに行くことができない状況じゃ今は会いようがないな…。

校内では、転ちゃんがいないか常に目を凝らしておかなきゃっ…。

転ちゃんにも、早く見つけてもらえますように…。

そんな事を考えながら、僕は幸せな気持ちで眠りについた。


実は最強な出久くん

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

111

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚