TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

翌朝。

鏡を見て、確認をする。

カラコンよし、眼鏡よし、ウィッグよし。

…よーし、行くぞっ。

「行ってきます!」

誰もいない部屋でそう言って、玄関を出た。

ドキドキの初登校日…!

まずは職員室に向かう。

職員室は、たしか…。

合格の報告をもらったときに、説明を受けに一度行ったことがある。

校内にはすでにたくさんの生徒が登校してきていて、和気あいあいとしていた。

すれ違う人の目が、気になる…。

すっごくジロジロ見られている気が…。

「なあ、あんなヤツいたっけ?」

「見たことない…侵入者?」

「いや、制服着てるじゃん。まさか編入生とか?」

「それはねーだろ。つーか、すげえガリ勉そう」

コソコソとなにかよくないことを言われている気がして、逃げるように早足になる。

この変装、悪目立ちしてるっ…。

それにしても、本当に広い学校だ…。

初めてきたときは迷うこと間違いなしの広さに、圧巻される。

このほかにも幼稚舎と初等部、中等部まであるなんて信じられない。

そんなことを考えているうちに、職員室が見えてきた。

「失礼します」

ノックをし、そう言って中に入ると、すでにたくさんの先生が来ていた。

「あの、今日から1−Sに入る緑谷出久です」

「ああ、あなたが編入生ね。ちょっと待って」

近くにいた先生が、僕の先生を呼んでくれる。

どんな人かなあ…と楽しみにしていると、一人の先生がこっちへと歩いてきた。

「緑谷出久…だな」

「は、はい」

思っていたより若い先生が来て、少し驚いた。

「…なるほどな」

先生は僕を見るなり、そう口にした。

「…?」

「もうすぐホームルームだから、一緒に教室に向かおうか」

「はい!」

何のなるほどだったんだろう…?

疑問に思いながらも、僕は大きく頷いて先生の後を追った。




チャイムが鳴り、生徒っちが一斉に教室にはいっていく。

とたんに静かになった、突き当たりの見えない長い廊下を進む。

「すでに説明されただろうが、うちの学校は学力順のクラス編成になっている」

「はい」

「…ま、お前は間違いなく、学年トップだろうな」

「え?」

僕が…?学年トップ?

雄英高校って、相当偏差値が高かったはずじゃ…。

「言い過ぎですよ」

「いや…編入生なんて前代未聞だからな。たぶん大騒ぎになるぞ」

「そ、そうなんですか…?」

よくわからないけれど…僕はあんまり悪目立ちせず、ひっそり楽しく学校生活を送りたいなあ…。

「俺もそんなやつが来るだろうと思ったが…想像通りのやつが来たな」

「え、えっと…」

明らかに、僕の変装した見た目で判断している先生。悪い先生ではなさそうだけど、し、失礼な人だっ…。

「ここが教室だ」

先生の声に、ピタリと足を止める。そして【1−S】という表札のある教室に、ゴクリと息を呑んだ。

「俺が呼んだら入ってきてくれ」

先に、先生が教室に入っていく。

どうか優しい人がいますようにっ…。友達ができますように…!

心のなかでそう祈っていると、少しして「入ってこい」という声が中から聞こえてきた。

…よし。

ふう…と深呼吸をしてから、教室の扉を開けた。

ガラガラガラ、と、扉が開く音が響く。

教室の中はとても静かで、クラスメイトの視線は僕に集まっていた。

わ…やっぱり女の子は少ないんだ…。

ぱっと見た感じ、全体のおよそ2割に満たないくらいと少数。

それにしても…視線が痛い…。

みんな、僕を見るなり顔をしかめたり、クスクスと笑ったり、反応は様々。

一つだけわかるのは…よくは思われていない、ということ。

「うわ…超地味なんだけど…」

「あんな絵に描いたようなガリ勉が存在するんだな」

「頭良さそー…くくっ」

コソコソと話す声が、耳に入る。

…やっぱり悪目立ちしている気が…。

ひとまず、自己紹介しようっ…。

「み、緑谷出久ですっ…!よろしくお願いします」

そう言って、ペコリと頭を下げた。

ざわざわとした騒がしさの波は消えず、あちこちから笑い声が聞こえてくる。

ど、どうしよう…友達できそうにないかも…。

「緑谷の席はあそこだ」

先生に言われるがまま、空いていた席に向かった。


実は最強な出久くん

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

62

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚