まだまだ続く!!どぞ!!!
零章 鍵と檻
「ほら、見て。きみのスマホ、SIMも抜いておいたよ」
朝の光のなかで、いふが笑っている。
白い手で、ないこのスマホを優しく弄びながら。
「……なんでそんなこと……」
「だって、昨日“外に助けを呼ぼうとした”でしょ? あれ、すごく悲しかったなあ」
いふは笑っていた。優しい声だった。
でもその笑顔の奥で、明確に怒っていた。
「でも大丈夫。怒ってないよ。もう誰にも繋がらないようにしたから。きみは、俺だけ見ていればいい」
言いながら、いふはないこの手首にキスを落とす。
跡が、ある。昨日の、皮膚が擦れた赤い痕──“動けないように拘束されてた”証。
「こわ…まろ、もうやだよ……ほんとに……こわい……」
涙が滲む声に、いふは目を細めた。
「ねえ、じゃあ逆に聞いていい? どうして“俺だけじゃ足りない”って思ったの?」
「えっ……」
「ほかの誰かを見ようとした。俺以外を信じようとした。
それって、裏切りだよね?」
ないこの背筋が凍る。
でも、口が動かない。
「でも、もういいよ。ね? きみはただ笑ってくれればいい。話さなくていい、疑わなくていい。
考えることすら、やめてしまえば楽になるよ」
そのままいふは、ないこの喉元に指を這わせる。
「だって……俺のこと、好きなんでしょ?」
ないこは、震える唇で──
「……うん……好き……」
と、呟くしかなかった。
一章 「壊れたら、直せばいい」
ないこが壁に頭をぶつけたのは、たぶん3回目か4回目。
叫んで、暴れて、自分を取り戻そうとした。
いふは静かにそれを見ていた。
ただの観察者のように。
でも、ないこが「死にたい」と口にした瞬間──
いふは、音もなく、笑った。
「死にたいの?」
「……うん……」
「じゃあ、俺が殺してあげようか?」
その瞬間、空気が変わった。
ないこは目を見開いて、かすれた声を絞り出す。
「……や、だ……こわ……」
「だいじょうぶ。殺すって言っても、体じゃない。
きみの“自我”だけ、徹底的に壊すだけだから」
そう言って、いふは何かの薬を注射器に吸い上げた。
「これ、感情を薄くする薬。強制的に“愛情”と“恐怖”だけを残す。
ね、ないこくん。“俺しか信じられない”体にしてあげる」
二章 幸福の定義
そこから、どれくらいの時間が経ったのか。
ないこはもう数えるのをやめていた。
食事は毎回同じタイミング。
部屋は白い。外は見えない。
でも、いふはいる。
名前を呼んでくれる。キスをくれる。優しく頭を撫でてくれる。
記憶がぐちゃぐちゃになって、
感情がうまく出なくなって、
自分の名前すら一瞬わからなくなる日もある。
でも──いふが笑えば、それでいい。
いふが怒れば、謝ればいい。
いふが喜べば、それが答え。
「ねえ、ないこくん。最近、すっかり“従順”になったね」
「……ん、いふのこと……すき……」
「うん。俺も、だいすき。……このまま壊れて、どこまでも俺のものになってね」
終幕:どこにも行けない、ここが世界のすべて
その日。ないこは、完全に“外”の記憶を失った。
いふが与えた名前。いふが教えた言葉。
いふが教えた「愛の形」だけが、世界のすべてになった。
ないこはもう、誰にも奪えない。
完全に、**いふだけの「所有物」**になった。
でも──ないこは、笑っていた。
いふがそばにいるだけで、嬉しくてたまらなかった。
「……まろ、もっと触って……ね……?」
「うん、いい子だね。俺の、俺だけの、ないこくん」
その夜、いふは何度も囁いた。
「もう壊れてる。でも、それでいい」
えっ、?みんなどう思う。下手、?おつももでした、(。•́ - •̀。)シュン…
コメント
2件
普通に上手いです!!!!