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まだまだ続く!長い!どそー!
第一章 「記憶のカケラ」
ある日。
ないこは、夢を見た。
それは、見たことのない「空」の下で笑う自分と──
制服を着て、誰かと並んで歩く、**“自分じゃないような自分”**だった。
(……これ、なに?)
目覚めると、いふが隣にいた。
優しい目でこちらを見ている。けれど、
「……夢、見た?」
「……うん。外にいた。学校……だった……かも……」
その瞬間、いふの顔が──ほんの一瞬、固まった。
「そっか。それは……」
──“修正ミス”だ、と心の中で呟いた。
「たぶん、昔のドラマとかじゃない? 記憶って、混ざるから。気にしなくていいよ」
いふはそう言って、いつものようにキスを落とす。
でも、ないこは思った。
(気にしちゃいけないこと、なんじゃないか……?)
第二章 「壊れてるのは、どっちだ」
いふが出ていったすきに、ないこは部屋の床を探った。
昔、一度「ドアの下」に何かを滑り込ませようとして止められた記憶が、ぼんやり残っていた。
そこで見つけた──
落ちていた、小さな紙切れ。
それにはこう書かれていた:
> 「ないこへ。君は閉じ込められている。信じないかもしれないけど、思い出して。
鏡を見て。本当のきみは──」
バンッ!
「なに見てるの?」
いつの間にか戻っていたいふが、
目を笑っていない顔で、立っていた。
「それ、誰に渡されたの?」
「えっ、いや、これ……床に……!」
いふは一歩、ゆっくりと近づいてきた。
「ないこ。俺以外の“声”を、信じようとした?」
ないこは首を振る。
震えながら言った。
「……ちがう……ちがう、信じてない、まろがいちばんだから……」
でも──もう、遅かった。
第三章 「お仕置きの時間だよ」
「……もう“言葉”だけじゃ足りないんだね」
そう言っていふは、部屋の壁の一部を開けた。
そこには、薬・拘束具・モニター、そして──
新しい鎮静剤が並んでいた。
「怖がらなくていいよ。
これは“愛”だから。
きみが間違えないように、また俺が“書き換えてあげる”だけだから」
ないこは叫んだ。
「やだ!!やめて!!いふのこと、好きだけど、それとこれとは違う!!」
でも、いふはやさしく微笑む。
「──違わないよ。愛って、ここまでしなきゃ、伝わらないでしょ?」
そして、針が腕に刺さる。
最終章 「笑って、また一から」
目を覚ますと、部屋は変わっていた。
白ではなく、優しいピンクと木の家具。
まるで“あたたかな恋人の家”のように。
「おはよう、ないこ。気分はどう?」
いふが微笑む。
ないこはゆっくり起き上がり、ぽつりと聞く。
「……ねえ、ぼく……きみのこと……誰だっけ?」
その言葉に、いふは嬉しそうに言った。
「ふふ、また最初からだね。
いいよ、また何度でも恋に落とさせてあげるから」
ないこの瞳には、もう何も映っていない。
ただ、いふだけが写るように、
“正しく”壊された瞳だった。
おつもも~!