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顔合わせも無事に済み、貴仁さんの仕事の見通し等を話し合った末に、挙式の日取りは半年余り後にということに成った。
それは、奇しくもジューンブライドでもある六月で、彼がスケジュールを調整して日程に気を配ってくれたようにも感じられた。
「もしかして、結婚式を六月に合わせてくれたんですか?」
式場に希望日を告げ、滞りなく予約が終えられて、そう尋ねると、
「六月の花嫁は、幸せになれると言うからな」
彼が柔らかに微笑って答えた。
「やっぱりそうだったんですね。貴仁さんの心づかいももちろんなのだけれど、ジューンブライドの時期に予約を取り付けるのって、割りと難しいって言いますよね?」
人気の挙式シーズンは、一年前でも埋まっていると聞きかじっていたこともあって、空いていたのは奇跡的にも感じた。
「ああ、幸いにも取れたからな。そういう意味でも、きっと幸せな式になるはずだ」
隣を歩く彼に、ふとそばへ抱き寄せられると、たまらない幸福感が胸を込み上げた──。
式の本番までは、六ヶ月以上はあるから充分だと思っていたのに、招待客の選定に、披露宴のセッティングや衣装選びなど、やらなければならないことは意外に山積みで、時間に追われるようだった。
加えて、仕事で忙しい中を私の衣装合わせに付き合ってくれた彼から、
「ウェディングドレスは、オーダーメイドにしては?」
と、提案をされて、最初は気おくれをして断ったのだけれど、
「それではせめて気に入ったドレスをベースにして、セミオーダーにするのはどうだろう」
そう口説かれてしまった。
尚かつ──、
「私は、ただ君に、最上の花嫁であってほしいだけだから」
なんて、キラーワードを貴仁さんの口から言われたら、気持ちがいっそ華やいで、とても拒めるわけもなかった。