『悪魔執事はヴァンパイア』〜私の血は彼らを惑わす sweet BLOOD〜
FOURTH BLOOD 自覚しましたか?主様。
私は恋に堕ちた――。甘くて苦くて苦しい恋をすることになるかもしれないけど――。
屋敷に向かう途中の馬車で気を失った私は、無事に屋敷に着いた。
『痛…っ。』
夜中に屋敷に着き、治療室でルカスが手当をする。
『無茶をなさる方ですね…。』
『ごめん…。』
『もう二度とご自分の命を投げ出すような事はしてはいけませんよ。』
ルカスは私の手を握る。
『う、うん…。』
『今はゆっくりお休み下さい。』
ルカスは私の頭を撫でる。
『うん、ありがとう…。』
ドキン、ドキン…ッ。
(何だろう…胸が…苦しい…熱い。)
『あ、あの、ルカス……。』
『はい。どうかされましたか?』
『…SWEET BLOODを持つ人が恋すると血が甘くなるって…本当なの?』
『ふふっ。自覚しましたか?主様。えぇ。そうですよ。恋をすると身体に変化が訪れます。例えば……。』
ルカスは私の頬にチュッとキスをする。
『鼓動が早くなったり…。頬を赤らめたり…。それが血液にも影響されるのです。そして血は甘く濃くなるということです。』
『へぇ…。』
『さっき馬車で吸血した時…とても甘かったですよ。主様は…一体誰に恋をしたんですか?』
『私もそれはまだ…分からない。だけど…昨日みんなが助けに来てくれて…それで心臓が熱く苦しくなって…これが恋なんだって自覚したの。』
『なるほど…。その相手が私ならもっと嬉しいんですけどね…♪ 』
『っ…。』
(私はみんなのことが好き…。執事としてなのかどっちなのかはまだ分からない。)
『お部屋までお連れします。怪我人は無理をしてはいけませんよ。』
ルカスは私をお姫様抱っこし、自室へ連れていく。
『ありがとう…。』
(安心したらなんだか眠くなってきたな…。)
眠気に襲われ、私は目を閉じた。
『すぅ、すぅ…。』
『ふふ、おやすみなさいませ。主様。』
パタンっ。
主様を部屋に運び、ベットに寝かせ部屋を出る。
コツコツ……。
私は廊下を歩く。
『主様――。貴方には酷なことをさせていますよね。貴方がSWEET BLOODの血を持っているからという理由で…。』
SWEET BLOODの血の持ち主が…恋をすると血が甘くなる。皮肉ですよね。
ニンゲンがヴァンパイアに恋をするということは――その身を捧げ…生涯を誓わなければならない。 というのに。それを我々はこう呼ぶ。 生贄の花嫁。と。
『貴方は誰にも傷付けさせませんからね。』
そして、夜は明ける――。
2階執事部屋
『ふわぁ…。眠ぃな。』
『眠ぃな。じゃないっすよ〜。何回起こしたと思ってんすか。』
『…主様は?』
『部屋で安静にしてるっす。ルカスさんが手当してくれて、部屋で寝てると思うっす。』
『そうか…。良かった…。』
『主様が血を流した途端…自分を抑えられる自信がなかった。』
『俺もっすよ。目の前で主様があんな目にあったら…。』
ギュッと手を握りしめる。
『なぁ。アモン。』
『なんすか?』
『主様の血が甘くなったよな。昨日。つまり主様は恋をした。つまりこれから奪い合いが始まる訳だ。』
『……何が言いたいんすか?』
『…手加減するつもりも、譲るつもりもねぇってことだよ。』
『そんなの俺もっすけど。他の誰かに渡すくらいなら…俺が奪うっす。』
誰にも渡したくない……。好きだからこそ傍にいて欲しい。
次回
FIFTH BLOOD 渡したくないんです、主様。
コメント
2件
お疲れ様です!疲れてる中読んでくれてありがとうございます!
生徒会で色々あったから 読むの遅くなっちゃった🥲 今回も めーっちゃ 最高です ‼️