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萩原なちち
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「なんか……急に恥ずかしくなってきた」
「……俺も。でも、幸せぇ」
顔を真っ赤にさせながら、いつもの調子でふにゃりと甘えてくる。その幼い笑顔に、俺もようやく少しだけ緊張の糸がほぐれた気がした。
自然と顔を寄せ合い、触れるだけの軽いキスを交わす。
……ちょっと待ってくれ。昨日あんなに激しく想いをぶつけ合った仲なのに、素面だとこれだけで心臓が飛び出しそうなくらい恥ずかしい。
「……いつきくん、照れてんの? かあわいい」
「りゅうせいもだろ。顔、真っ赤じゃん」
「うん。顔が熱くて、爆発しそう」
ケラケラと子供みたいに笑い出す。
そうか、だいきはいつもこういう「無邪気なりゅうせい」しか見ていないから、色気がないなんて言うんだな。
俺はもう、昨日のあの、熱を帯びた瞳で俺を求めてきた「男」の顔を知ってしまっている。
これから重なる時間を想像しただけで、胸の鼓動が早まるのを止められない。
「んっ、どうぞ」
ベッドの上、笑いながら寝転んだりゅうせいが俺に向かって両腕を広げている。「どうぞってなんだよ」と笑いながらその胸に飛び込んだ
が、完全にリードされている自分に気づく。
そろそろ、年上としての面目を保たないと。
鼻先を擦り寄せ、再び唇を重ねる。
初めは優しく、徐々に深く、お互いの存在を確かめるように。
やばい。心臓の音がうるさすぎて、あいつに聞こえてしまいそうだ。
「……好き?」
「うん。大好き」
息継ぎの合間、少しだけ不安そうに、ねだるような瞳で聞いてくる。
……そうだよな。これまで散々酷いことも言ったし、突き放して不安にさせたもんな。
「……俺、いつきくんに『好き』って言われるの、めっちゃ好き」
「じゃあ、もっと好きって言ってあげる」
耳元で囁くと、りゅうせいはくすぐったそうに身体をよじらせた。
シーツの擦れる音と、甘く震える吐息が部屋の空気を満たしていく。
恥ずかしそうに両手で顔を覆うりゅうせいの、その細い指先を優しく解く。
露わになったその表情は、悦びと熱に浮かされていて、直視できないほど綺麗だった。
「……可愛すぎてたまんない、りゅうせい好きだよ」
互いの肌から伝わる熱が、頭の芯まで痺れさせていく。
絡まる視線、重なる指先。
言葉にしなくても、今この瞬間、俺たちが世界で一番お互いを求めていることが分かった。
「いつきくん……っ」
名前を呼ぶ声が、熱い吐息とともに俺の中に溶けていく。
自分の欲望を隠すことも忘れて、俺たちはただ、溺れるように互いの温もりに耽った。
静寂が戻った室内、重なり合ったままの二人の間に、心地よい疲労感と幸福感が満ちていく。
白濁した意識の中で、これ以上の幸せなんて存在しないだろうと、本気で思った。