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クリスマスの1週間前
俺はお粥を作り寝室へ向かう
ベッドの中には不破さんが寝てる
まだ咳が止まらず苦しそうだ
「不破さん、どうですか?」
「ゴホッ‥‥こやぁ‥‥まだ頭が痛い‥‥」
「今日病院で注射も点滴もしてもらったんで、もう少しで楽になると思うんだけどな」
「ん〜‥‥」
「お粥食べれそう?薬飲まないと」
「‥‥食べる」
モゾモゾと起き上がり俺を見た
「こや‥‥マスクしてる」
「移ると困るんで」
「‥‥そうだよね」
悲しそうに見られても‥‥
俺にだって理由はある
だからここは我慢だ
「ここに置いておくので薬飲んで下さいね」
「‥‥‥‥こやぁ」
「泣き言いわないで下さい‥‥少しなら一緒にいるから」
俺は茶碗を取り不破さんに渡す
「‥‥食欲湧かない」
「一口でも食べて」
「‥‥あーん」
「熱くても知らないですよ?」
俺は匙に取った粥をなるべく冷ましながら不破さんの口に運んだ
「‥‥味しない」
「早く良くなってよ」
「ん〜‥‥こやに食べさせて貰ったから美味しいよ」
「じゃあもう一口」
「‥‥‥‥」
「食べないなら俺行きますね」
「‥‥食べるぅ」
まるで幼稚園児だ
まぁ具合が悪い時は寂しくなるから仕方ないか
薬を飲んだ不破さんのおでこに手をかざす
まだ熱は下がらないか‥‥
着替えを済ませて眠りについた不破さんを確認して部屋を出る
片付けを済ませて俺は電話をかけた
とりあえずできる事はしておこう
あれから数日
不破さんも大分具合が良くなった
とは言っても潜伏期間がある以上まだ予断は許さない
「何話しって、こや」
「明後日から不破さんの店、イベントでしょう?」
「そうだね」
「俺‥‥不破さんの代わりに出勤します」
「えっ⁈店に?」
「そう」
「俺がいないのに?」
「そう!」
「やだよ‥‥俺‥‥こやを店に出したくないよ」
「でもクリスマスは書き入れ時でしょ?」
「‥‥そうだけど」
「店の子達だって頑張ってるのに、不破さんがいなくて大変だろ?俺が少しでも稼げたらその子達にも大入あげられるし」
「よく知ってるね、大入なんて。そうなんだけど‥‥でもこやお酒好きじゃないでしょ?」
「2日間だけだし。俺に行かせてよ」
「‥‥こや」
渋る不破さんをなんとか説得して俺はクリスマスの2日間ホストとして出勤する事になった
すぐに不破さんの代わりに俺が出勤する事を伝え、お客様にも周知を徹底した
来た時に不破さんがいなくて失礼にならない様に‥‥
クローゼットを開けスーツを選ぶ
俺が持ってる中で1番良い物‥‥
「はい、こや」
「え‥‥?」
後ろを向くとパジャマ姿の不破さんが立っている
新しいスーツを手にして‥‥
「なに‥‥これ‥‥」
「俺が選んだスーツだよ?これ着て行って」
「いつ選んだんですか?」
「セラフに店に買いに行ってもらってビデオ通話で選んだ」
「そんな‥‥俺2日間しか着ないのに」
「その2日間でめっちゃ稼ぐよ、こやは」
「ハードル上げないでよ」
「ハハっ、それはさておいて着てみてよ」
俺の好きなブランドの店のスーツ
ちゃんと俺の寸法になってる
着心地だって最高だ
「いつもモノクロ系の色選ぶからさ、ちょっと迷ったけどやっぱ似合うね」
「綺麗な色‥‥」
紫味の掛かった深いボルドー
中のシャツは俺が好きな黒のストライプ
最後にいつも不破さんが着けている香水をつけてくれた
「行っておいで」
「行って来ます」
「あ、待って!キスしないと」
「え‥‥不破さん?」
いつもの儀式を終えて俺は家を出る
出掛けにしてくれるキスは投げキッスに代えて‥‥
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コメント
2件
ふわっち 弱ってて可愛いです!こや どこでも支えたりする存在で好きすぎる!