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#不倫
#離婚
29. ◇胸が潰れそうだ
胸が潰れそうな痛さというものを味わった。
頭には何も浮かばず朦朧とし、何も考えることもできず、体中の細胞が
悲しいと悲鳴をあげる。
その辺を駆けずり回り絶叫しそうになる。
わたしは誰?
わたしの存在意味は?
消えてなくなりたい。
憎んで彼の側から離れたい……でも好きだから離れられない。
最愛の|夫《ひと》の心が自分にないことへの苛立ちを
どこにぶつければいいのか。
こんな苦しみ知らなかった、知りたくはなかった。
浴室で泣き続けていた私の泣き声は、気付くと暗く乾いた笑い声に
変わっていた。
わたしは苦しい痛みに耐えきれず、京平に縋った。
その時の京平はひとりの男というのではなく、ただただわたしの
慰めとしての、父性を持つ癒しの存在であった。
抱きしめられていると心が落ち着いた。
その後どうにか心の均衡を保てるようになり、徐々に傷ついた心が
癒されていった。
そしてちゃんと自分の気持ちと向き合えるようになったのだ。
元気に生きていこう、人生に希望を持って生きていこう、と。
わたしは大丈夫、全ては上手くいく。
楽しく明るい元のわたしの人生に戻っていこう。
誰にも執着せず憎まず、そしてまた誰かを愛せる日が来れば良いと思う。
さぁ、新しい我が家へGO!
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