アクアside
路地裏から出て、早足で道を歩く。周りからの視線が目に入らないくらいに、俺は自分の気持ちを抑えるのに必死だった。
さいあく……さいあく、最悪!!!!!
唇を力任せに拭いながら、俺は殆ど無意識に監督の家に向かっていた。
五反田母)あら、アクア君いらっしゃ〜い!
アクア)どうも
おばさんに心配かけないように、さっきの出来事を思い出さないようにして吐き気を堪える。
アクア)監督はいますか
五反田母)寝ちゃってるけど、起こしちゃって良いわよ〜!アタシはご飯でも作ってるから、ゆっくりしていきな!
アクア)ありがとうございます
多分この人には色々とバレてる。今回も余っ程顔色が悪かったのか、そそくさとリビングへと向かった。毎回食べやすい物を作ってくれるから、ありがたいけど少し申し訳ない気持ちもあった。
アクア)おい、起きろ
思っていたより爆睡していて起こそうか迷ったが、どうせ後でおばさんに起こされるんだからと言い訳じみた事を思いながら肩を揺する。
監督)なんだいきなり。今日は仕事な、い……
監督)どうした。何かあったか?
いつもは寝ぼけた感じなのに、俺のメンタルがやられている時だけすぐに心配してくれる。俺のことを大事に思ってくれてるのは嬉しいけど、照れくさくもある。
本当は監督に全て話したい。話して楽になりたいけど、そうしてしまったら今までの気持ちが緩んでしまう。もっと幸せを求めてしまうから、自分の心にブレーキをかける。
アクア)……言えない
監督)はぁ?
アクア)良いから。いつもみたいに抱きしめて
監督)分かった。ほら、来いよ
仕方ないなという風に両手を広げ、受け入れてくれる姿勢をみせてくれる。少し遠慮気味に近づいていくと、そっと抱きしめてくれた。
アクア)っ、う、あ゛ぁぁぁ……!
『苦しい』
『気持ち悪い』
『辛い』
『嫌だ』
『やめて』
『痛い』
ぐるぐるとネガティブな思考に溺れる。それを声に出さないように必死に耐えながら、監督の体温を感じる。暖かくて、頼りになる。
───俺の父親が、監督だったら良かったのに
少しずつぼんやりしていく頭でそんな事を思った。
監督side
少し呼吸は浅いが、発作は起きていないようで安心する。色々と堪えていたのか、汗だくになった額をタオルで優しく拭いてやると、アクアは安堵した表情に変わったような気がする。
監督)また、助けてやれなかったのか……
なぁ、知ってるか?母ちゃんがいつもお前の事を心配してること。色々と言ってくるから意外に思うだろうが、ちゃんとそこの線引きは出来る奴なんだ。
『俺の父親が、監督だったら良かったのに』
眠る直前のアクアの言葉に、つい頬が緩んでしまう。本人は言ったつもりはないだろうけど、ばっちり全部聞こえてる。伝えてやらないがな。
監督)本当の父親にはなれないが、愛情はいくらでもやるよ
だから、死ぬなんて馬鹿なこと考えんなよ。
終わり
リクエストして下さった方「さぶのなーさん」
コメント
15件
もうなんかそのまま死んでいって欲しい() そんでもう色々とおかしくなっていってほしい(((((
あふ大好きです…… 私推しが弱ってるの大好きなんです、!()ありがとうございます!
あ、好き… リクエスト失礼します!メルアクが見たいです!!