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そして――
渡辺は、 あれから必死に勉強した。
眠くても、
投げ出したくなっても、
阿部に教わったノートを何度も見返した。
💙(ここ、亮平が大事って言ってたな……)
不思議なくらい、 頭に残っていた。
そして迎えたテスト当日。
阿部が教えてくれたところが、
そのまま問題に出た。
──────────────
返却日。
💙「はぁ……」
答案を見つめ、 大きく息を吐く。
💙(よかった……)
点数は、 思ったよりずっと良かった。
赤点も回避。
単位もなんとか大丈夫そう。
ふと視線を上げる。
教室の中心には、
相変わらず人に囲まれている阿部。
楽しそうに笑っている。
💙(……あれから話してねぇな)
あの日以来、
まともに目も合わせていない。
でも――
礼くらいは、 ちゃんと言わないと。
──────────────
放課後。
阿部が生徒会室にいると聞き、
渡辺はゆっくり扉を叩いた。
コンコン。
💚「はい」
ガチャッ。
💙「……亮平」
💚「……」
一瞬、 空気が止まる。
💙「テスト……」
💙「なんとか大丈夫だった」
💚「……そ」
💙「……ありがとう」
小さな声。
そして少し間を空けて――
💙「あと」
💙「…色々…ごめん」
それだけ一気に言うと、
渡辺は慌てて扉を閉めた。
逃げるように、 早足で廊下を進む。
💙「……っ」
胸が苦しい。
下駄箱へ向かう途中で、
ぽろっと涙が零れた。
──────────────
外へ出ると――
今日は大雨だった。
空には雷まで鳴り始める。
💙「……最悪」
傘なんて持ってきていない。
仕方なく、 渡辺は走り出した。
雨が制服へ張り付き、 髪から雫が落ちる。
たいち
2,517
19,640
カバンもびしょ濡れ。
息を切らしながら、
途中の屋根付きベンチへ避難した。
💙「……はぁ」
じめじめした空気。
蒸し暑さ。
汗と雨で、 全身が気持ち悪い。
💙「ほんと最悪……」
力が抜けたように、
ベンチへもたれかかる。
💙「…はぁ…」
💙「…なんか、疲れたな…」
徐々に睡魔に襲われ、
渡辺はゆっくりと目を閉じた。
ザッ。
雨音に混じって、
誰かの足音が近づいてきた。
──────────────
再び、 強い雨音で目が覚める。
ぼんやりした意識の中――
誰かの肩にもたれかかっている感覚。
💙「……っ?」
ゆっくり目を開ける。
そして――
💙「え、」
慌てて身体を起こした。
💙「りょっ、亮平……!?」
💚「……随分と心地よく寝てたな」
落ち着いた声。
💙「……」
💚「お前また傘忘れたの?」
💚「常に一本入れとけよ」
どこか呆れた表情。
💙「……アホだよな、俺」
ぽつりと呟く。
💚「……」
阿部は何も言わなかった。
ただ、 その横顔は少し優しかった。
💙「……さむっ」
身体が小さく震える。
💙「ごめん、走って帰るわ」
ベンチから立ち上がろうとした――その瞬間。
ガシッ。
腕を掴まれる。
💙「……っ」
💚「ほんとだ…身体、冷えてる」
低い声。
そのまま、 ぐいっと引き寄せられる。
💙「ちょっ……」
再びベンチへ座らされる。
距離が近い。
雨の匂いと、 阿部の体温が混ざる。
そして――
阿部はゆっくりと顔を近づける。
💙「……んっ」
逃げる暇なんて、 なかった。
触れるだけだったはずの唇は、
すぐに深く重なっていく。
雨音だけが、 静かに二人を包んでいた。
💚「俺……」
💚「お前のこと好き」
雨音の中、 真っ直ぐに落ちてくる言葉。
💙「……」
心臓が、 嫌なくらいうるさい。
💚「お前は?」
💙「俺…」
💙「……冷たくされて、寂しかった」
💙「ずっと話せなくて……」
💙「苦しかった」
💚「…まぁ…ああでもしないと翔太、頑張らなかっただろうし…」
💙「……」
💚「冷たくして悪かった」
💚「……で?」
💙「…え?」
💚「つまり何が言いたい?」
💙「……もう、わかるだろ」
💚「ちゃんと言えよ」
💙「……」
💚「曖昧な答えほど嫌なものはない」
💙「めんどくさ……」
💚「はー?」
少し眉をひそめる阿部。
その顔が、 なんだかおかしくて。
💙「……」
💙「……俺も好き」
耐えきれなくなって、
渡辺はふいっと視線を逸らした。
すると――
💚「……っは」
小さく笑う声。
💙「な、なんだよ」
💚「いや」
💚「やっと聞けたなって」
その声が、 思ったより嬉しそうで。
渡辺の顔がさらに熱くなる。
💙「くそっ……」
💚「もっと素直になれって」
ふっと笑う。
さっきまで降っていた激しい雨が、
少しだけ弱くなっていた。
💚「翔太」
💙「ん?」
💚「こっち向いて」
💙「……やだ」
💚「なんで」
💙「今、顔見られたくない」
💚「今更何言ってんだ」
くすっと笑いながら、
阿部はそっと渡辺の頬へ触れる。
熱を確かめるみたいに、
優しく撫でる指先。
💙「……っ」
💚「可愛い顔」
💙「殴るぞ」
💚「はいはい」
その声はどこか甘かった。
阿部はそのまま、
渡辺の濡れた前髪をかき上げる。
💚「今日は家まで送ってく」
💙「……っ//」
💚「びしょびしょで帰ったら風邪引きまちゅからねぇ~」
💙「……子ども扱いすんな」
💚「じゃあ恋人扱いしよっか?」
💙「っ、……//」
言葉に詰まる。
そんな反応すら、 阿部には愛おしく見えた。
💚「ほら」
💚「ちゃんと傘入って」
肩を引き寄せられる。
狭い傘の下。
触れ合う腕が熱くて、
渡辺はもう、
雨の冷たさなんて忘れていた。
おわり。次回~番外編🔞~
コメント
32件
好きな人に勉強教えてもらえるとは羨ましい…(´・ω・`)
MIさぁん✨ これは…堪らん!! じ、次回が気になりすぎる〜(TдT) 気になりながらお仕事がちと嫌かも…
初めて雨に感謝しましたありがとうううううう!!!!!! やっと素直になるnbがとても可愛すぎて、、、🤦♀️🤦♀️ 番外編だと、、(実は明日誕生日なので、笑)とても嬉しいプレゼントすぎる(勝手にプレゼントにすんな)