テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
放課後の実験棟は、冷房が効きすぎている。
「寒っっっ……寒すぎサムシング….」
オデ――ランは肩を抱えながら、自販機の前で変なステップを踏んでいた。
「見て。冷気と戦う森の戦士ボノロン」
「弱そう」
即答したのはリカだった。
「凍傷で3話ぐらいで退場するタイプ」
「リカってオデに厳しくない?」
「えーたに比べたら優しい」
その瞬間。
「いやなんでウチ基準?」
床に座ってコンビニパンを
食べていたえーたが顔を上げる。
「てか聞いた? 第二実験棟のエレベーター、誰も押してないのに夜動くらしいよ」
「はい出た噂製造機」
リカが呆れたように言った。
「絶対お前が出所だろ」
「違うよw。
情報提供者を守る義務があります」
「うざ」
チカが笑いながらスマホをいじる。
「でもちょっと分かる。
なんかこの学校そういうの多くない?」
「専門学校ってだけで雰囲気あるからねぇ」
ねーさんことハルは、ノートPCから目を離さないまま言った。
「古いし広いし、夜残る人多いし」
「私は好きだよぉ、夜の学校」
ふわっと笑ったのはだった。
その一言だけで空気が少し静かになる。
リカが小声でオデに言う。
「今ので男子5人は落ちたわ」
「少な。100はいるだろ」
「ワカナは魔性だから」
「何だそれ意味不」
その横で、ユヅが自販機のボタンを連打していた。
「ねぇ。ココア出ない」
「売り切れ」
「えっ」
「3分前からずっと売り切れって光ってる」
「…………」
ユヅは黙った。
「オデ」
「なんですか」
「助けて」
「無理です」
「人生終わった」
「ココアで終わるな」
ナツキが笑う。
独特な笑い方
おじょー(カナデ)はその笑いを聞きながら首を傾げた。
「ねぇ」
「ん?」
「今日、10人いなかった?」
空気が止まった。
「……は?」
リカが聞き返す。
おじょーは困ったように眉を下げた。
「えっと、なんか……さっき購買の前にいた時、人数多かった気がして」
「おじょー怖っ!!気のせいでしょ」
チカが言う。
116
#みすてりー?
「もぉーおじょー人の顔覚えるの苦手だし」
「うん……でも」
おじょーは言葉を探すみたいに視線を泳がせた。
「“知らない誰か”がいた感じした」
沈黙。
その時。
ガコン。
実験棟の奥で、エレベーターの動く音がした。
誰も押していない。
九人全員が、同時にそちらを見る。
古い階数表示だけが、ぼんやり赤く光っていた。
3F↓
「えぇ……誰かいるの?」
えーたが小さく呟く。
返事はない。
けれど
閉まっているはずのエレベーターの扉が、
ゆっくり開いた。