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毎日が、同じようで、同じじゃなかった。会うたびに、すみれの声が、少しだけ近づいてきた気がして。
手のひらに触れた気配だけで、一日が変わる。
すみれの笑い声を聞けた日は、息がしやすかった。
すみれが黙っている日は、世界全体が遠く感じた。
他人と話すすみれを見ると、胸がざらつく。
誰かと話してる私を見て、すみれが黙る瞬間がある。
「……やだな、今の顔」
「なにが?」
「誰かといるときの、あなた」
小さくつぶやくように言ったすみれの声は、
まるで自分でも言いたくなかったように震えていた。
私も、それを責めるどころか、少しだけうれしかった。
それだけ自分が、すみれの“目”になっている気がしたから。