この高校では一つの大きな噂があった。
それは、近くに位置する「森」に関する噂話だった。
興味本位で何度か足を運んだ者もいるが、何ともないと最近では悪い噂は薄まってきていた。
人が賑わう昼休みの教室。
窓辺の席に、1人を囲う様にして座る4人の人影があった。
「今日、噂の森に行ってみぃひん?」
吸う真似をしていたシガレットを噛み砕きながら言う黄色いパーカーを着た青年。
黄色い瞳が綺麗な、顔の整った美青年だ。
「ま〜た言ってんの?wバカな真似はやめとけって〜w」
それを静止する紫色の瞳を持つ青年。
マスクをしているが、唯一見えている目元からでも分かる美青年に、密かに結成されているファンクラブまである程だ。
「エー、オレ行きタ〜イ」
ピザパンを小さく噛みちぎり、もぐもぐと動かす口を長い袖で隠しながら食べる緑色のパーカーの青年。
青年…と言うよりも、彼には少年と言った方が良い容姿が備えられていた。
可愛いと評判の美少年だ。
「あーあー、みどり君着いてるよ…w」
お母さんみたいに緑色の少年の口を、どこから出したのか分からないポケットティッシュで拭く赤毛の青年。
背が飛び抜けて高い上に面倒見も良く美青年なことから密か…どころか、普通にファンクラブがある程だ。
その中でも飛び抜けて「普通」を貫いているのが、中心にいる青毛の青年。
彼は人柄が良くとても優しいが、髪の毛や瞳の色で毛嫌いされていた。
「もぉ〜喧嘩しないよ〜?w」
彼だけが、唯一「色」で差別を受けていた。
黄色い彼の提案(最終的にはわがままになってしまったが…)を飲み、彼ら5人は噂の森へと足を運ぶことになった。
最初は薄気味悪い程度で済んだが、森の奥へと進んで行くごとに5人の心にはジワジワと恐怖が募って行った。
「おい、あれ……」
先頭を歩いていた黄色の青年が指を刺した方向には白く、不気味な館があった。
外観はとても綺麗で、誰か住んでいるのではないかと思う程ではあったが、5人共不気味に思うことには変わりなかった。
ましてやこの森を出入りしている者がいる、なんて噂は当然耳にしていなかった為、こんな場所にこんな立派な館があることに不信感まで抱き始めてしまう。
ギギギッ…____
音が鳴った瞬間、4人の肩が震え上がる。
紫色は後ろでヘラヘラと笑っていた。
「…開いたで……?w」
黄色い彼が震える手で刺した指の先には、見た目からして開くはずのない鉄扉が開いていた。
コメント
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ピザパン食うみどりくん可愛すぎだろ.....何か初期の青鬼を思い出すな.... らっだぁが毛嫌いされてる?運営が守ってくれるに決まってんだろ。いやまあ別に私がロケランを撃って誰の手も汚さずハッピーエンドという手もあるか.....🔫