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こと
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狂った日
朝だった。
目は覚めている。
でも、世界だけがどこか遠い。
鏡を見ても、自分の顔なのに知らない人みたいだった。
「……おはよう。」
そう言った声まで、他人のものに聞こえる。
学校へ向かう。
「大丈夫?」
「はい。」
笑う。
何も感じないまま。
授業中。
誰かが笑う。
誰かが話す。
椅子の音。
チャイム。
全部が一度に耳へ流れ込む。
頭の中で音が重なる。
「うるさい。」
そう思った瞬間。
音はもっと大きくなる。
教室が歪む。
人の顔が、誰なのか分からなくなる。
笑っているのか。
怒っているのか。
もう区別がつかない。
呼吸だけが速くなる。
「👁️🗨️。」
低い声が響く。
Ი𐑼。
表情は一切変わらない。
「私を見ろ。」
👁️🗨️は首を振る。
「無理です。」
「全部、おかしい。」
「頭が……。」
言葉にならない。
Ი𐑼は一歩も動かない。
「聞け。」
静かな声。
「世界は変わっていない。」
「変わったのは、お前の余裕だ。」
👁️🗨️の肩が震える。
「……もう。」
「何も分かりません。」
「何が本当かも。」
沈黙。
Ი𐑼は短く言う。
「なら、今は決めるな。」
「自分を『狂った』と決めることを禁止する。」
「今のお前は、限界を超えて混乱している。」
「それ以上でも、それ以下でもない。」
👁️🗨️は目を閉じる。
呼吸はまだ乱れている。
涙も出ない。
ただ立ち尽くしている。
Ი𐑼は変わらない表情のまま続けた。
「今日は何かを証明する日じゃない。」
「今日の命令は一つ。」
「倒れずに、ここにいろ。」
長い沈黙。
やがて👁️🗨️は、小さく頷く。
「……はい。」
部屋でも、教室でもない。
ただ、その瞬間だけ。
Ი𐑼の声だけが、現実へ戻る一本の糸になっていた。
コメント
1件
第52話、読ませてもらいました……。 朝なのに遠く感じる世界、自分の声が他人に聞こえる感覚、その表現がすごく生々しくて、胸が苦しくなりました。「自分を『狂った』と決めることを禁止する」というᲘ𐑼の言葉、一見冷たいけど、ちゃんとそこにいて見ててくれる人がいるって感じがして、その静かな強さにじんと来ました。 倒れずにそこにいろ、って……本当はすごく温かい命令だと思います🥀 続きもそっと読みたいです。