さて時間軸を戻し、観察対象もコユキにして見るとするか。
コユキの理解も追いついているのだろうか?
コユキとガープの会話に耳を澄ませてみようか? 必要でしょ?
「んでね、オルクス卿がバーンって、んでねマスターが嘘なんだけどドワァ! ってなった、ってか自分でやったんだけど、ケヘヘ嘘でしてね、トシ子ちゃんがグワって時にアスタの旦那がブワってして格好良くてねぇ、んで、んで、こんな感じになっちまってさぁ、かれこれ二時間位かなぁ? 判ったかい? キヘヘヘヘ、キヘヘ!」
コユキは言った。
「なるほどね、良く判ったわ」
え? ええっ! 判ったの? ガープの話しでぇ! 私観察者はビックリ仰天であった。
そんな私の疑問も一方通行である観察の中の事である……
一切状況が代わる筈も無く、時間は過ぎていくのだ……
コユキは言うのであった。
「んじゃまあ、兎に角、カイムちゃん、熊さんたちを止めてね、よろろん!」
「はいね、キョロロン! ガウガウガロロ!」
熊達がアスタを殴って痛みを受け続けるマゾヒズムが瞬間で止まった。
「んがぁ!」
カイムが言って聞かせたようだ。
そもそも戦う気が無かったタマちゃんは勿論、頭や肩口に痛みを感じ続けていた二頭の子分たちもカイムの言葉に動きを止めて、耳を貸すのであった。
カイムはコユキの言葉を熊たちに分かりやすく彼らの言葉で伝えているようだ、曰く、
「ぐぅぅ~、グッ! グガアァ! グガッティァ、グガグガ、ゴアアアアァァァアァァァァ! ガウガウガ! グアグアグア? ガウガロロロロ! ガウ?」
だとさっ‼
ええ、アタシそんなに話してないじゃん! 何だったらヤメテの一言で良い筈よね?
はあ、もう良いよ、自由にやってくれよ、的な諦観(ていかん)しかないのであった……
んだからコユキは投げやりに口にしたのであった。
「ああ、そうだよね! んじゃ、コレで手打ちって事で…… てへへ、もう! 疲れちったよぉ~」
なるほどね…… コユキが可哀想なだけであった…… もうっ! イライラであるっ!
救いの声がこの場を覆ったのであった。
「コユキっ! 助かったぞ、お帰りっ! お前の片割れ、善悪はズルいなぁ、皆アイツのドグマで死ぬ所だったが、まともなお前が帰ってきてくれたお陰で全員が何とか救われたようだ、ありがとうな! んで疲れてるところ悪いんだが…… あの馬鹿を起こしてくれるかな? もう我面倒くさくてな、すまん……」
アスタであった、コユキは思うのであった。
――――ああ、善悪、か…… だよね…… あの子もそろそろ成長しないといけないんだよねぇ~、関わるメンバーも増えてきたんだからねぇ~、はあぁ~
思った後で相変わらずトシ子の肩をガッシっと抱いた儘(まま)のアスタに告げたのであった。
「判ったわ、何か苦労掛けちゃったみたいでごめんねアスタ…… 善悪の事はアタシに任せて置いてっ!
んまあ、アンタ等は先に寺の中で休んでいてくれていいわ! お疲れ様だったわね、んじゃぁバイバイ、ハウスっ! よ! おばあちゃんも座敷で休んでねっ!」
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