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「とってもお綺麗ですよ」
華さんがにっこりと微笑んで口にして、「……ありがとうございます」と、照れ笑いを浮かべて返した。
──そこへ、
「もう着られたかな?」
蓮水さんの声がして、背後を振り返った。
そこには──薄い灰色の地の着物に、同系色の灰味のある黒の羽織りを併せ、白い角帯をぐっと締めた、まさに凛として精悍な和服姿の彼がいた。
「うわぁー、かっ、かっこいい!」
思わず感嘆の声が漏れて、華さんにふふっと笑われてしまった。
「えんじの梅柄にしたのか。とても似合っていて……すごく綺麗だ」
「蓮水さんの方こそ、すっごくかっこよくて! 洋装だけじゃなく、和装まで似合っちゃうなんて、ステキすぎますっ!」
彼の仄かに照れたような表情にキュンとさせられつつ、拳を握り締めて力んでベタ褒めをした後で、さっきもだけれど華さんもそこにいたことが改めて思い出されると、恥ずかしさのあまり穴があったら入りたいような気持ちになった。
「仲がよろしくて」
華さんが口元に手をあてて、ふふっとまた微笑んで、
「お似合いのお二人だと思いますよ。さぁ、行ってらっしゃいませ」
と、私たちを送り出してくれた──。