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はるん
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忠義子
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🕊️ringo🍏ryo💛
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「うぅ….っ…あと..ちょっと」
土台としていた椅子がぐらりと揺れた。
「うわっ!」
椅子が傾くと同時に体が後ろへと投げ出され、思い切り尻餅をついた。
「いったぁ..」
状態を起こしながら地面に打ち付けられたお尻をさする。取ろうとしたりんごがなっている木を見上げ、ふと横を見ると空に大きな翼を伸ばし羽ばたく鳥たちが視界に映る。
「いいなぁ」
俺もあんな風に飛べたらなあ。とつくづく思う。
ここは、雲の上の世界。いわゆる天界という世界だ。羽を持った者たちがそこらじゅうにいる世界。
でも、なぜか俺は真っ黒で片方だけしか羽がない。正確にいうと、左側の羽は機能するが、右側の羽は左の羽の半分もないほど小さく、羽として機能しないのだ。
はぁと大きくため息をついていると上の方から声がした。
「大丈夫?」
驚き咄嗟に声のした方を見上げると、さっき俺が取ろうとしたりんごの木に座っている人がいた。
「よっと。はい。これあげる。」
乗っていた木から飛び降り、俺に何かを差し出す。
「えっ。これ…さっきのりんご…」
取ってくれたのか?いつの間に…。と思いながらさっきりんごのあった位置に目を向ける。その様子をみて面白がるように、ふふっと笑いながら俺に話しかける。
「さっき取ろうとしてこけてたでしょ。大丈夫?僕凉架っていうんだ。はじめまして。君の名前は?」
次から次へと流れてくる言葉とこの容姿からは見えないが、声と一人称から男なんだと思い戸惑いながら、聞かれた質問に答える。
「あっ..俺は元貴。…はじめまして?」
そう答えるとまた面白がるように、ふふっと涼架が笑う。その笑顔が美しく思わず魅入ってしまう。さらさらと綺麗な金色の髪にふわふわと笑う姿が天使みたいだと思った。
…いや、まぁ天使なんだけど。
じっと見つめていると、ふと、あることに気づく。彼の姿を正面からみて右側だけしか白い羽が見えないのだ。
「あれっ…。羽..。」
しまった。つい口に出てしまった。
「あっそう。僕右側だけしか羽がないんだ」
苦笑いを浮かべて彼が言うと何とも言えない空気が流れる。
「でもっ!」
急に大きな声を出すから思わず肩を大きく振るわせると彼は謝りながら話を続ける。
「あっ。ごめん、急におっきい声出して。でも、木から見てたんだけどね、元貴君も片方しか羽がなくて…。それで、僕、ちょっと嬉しくなっちゃってさ。僕と同じ子がいたんだって思って。….ごめん、勝手にこんな話し。…嫌だったよね…。」
視線を落とし苦笑いをしながら佇む彼に、胸が苦しくなる。
「そんなことないよっ!…俺も仲間とかいないと思ってたし。正直ちょっと嬉しかったし…。」
その言葉を聞くと涼架は、ぱっと顔を明るくして笑う。
「本当⁉︎あのねっ僕友達ってのがいなくてさ。もしよかったら僕の友達になってくれない⁉︎」
ニッコニコの笑顔で早口になって言うもんだから面白くてふはっと笑ってしまう。
「あっ。ごめん、無理はしなくていいから」
頬を赤らめてもじもじと恥ずかしそうにしながら言う姿に胸が高鳴るのを感じた。
「可愛い」
「…えっ!」
耳まで顔が赤くなっていくのが面白くてまた笑ってしまう。
「ふははっ。いいよ。友達。俺もいなかったしさ。」
そういうと彼は目を見開きながら満面の笑みで「本当⁉︎じゃあはじめて同志だねぇ」と笑う。その笑顔があまりにも可愛くて、見惚れていると
「なにっ⁉︎僕の顔になんかついてる⁉︎」
と顔を赤らめながら言われた。なぁーんにも。と返しケラケラと笑う。
「やめてよぉ。…あっそうだ。友達だからさ、なんか友達っぽいことしようよ!」
手をぽんっと押して楽しそうに提案する彼に質問をする。
「友達っぽいことって?」
彼はうーんと頭をひねりながら考えている。
「あっあれは?なんか友達の名前変えるやつ?」
「あぁ、あだ名?」
「そうそれ!元貴君すごーい」
ぱちぱちと手を叩きながら言う彼に思わず可愛いと思ってしまう。そんな自分に驚き、声を出す。
「たとえばどんなの?」
「えー?元貴でしょぉ。うーん。….あっ!もっきーとかどう⁉︎」
考えた末に出てきた言葉が嫌すぎて思わず顔を顰める。
「嫌だ。すげぇ嫌。」
「えー。折角考えたのにー。」
「やだよ。もう普通でいいよ。呼び捨てで」
「じゃあ元貴君も考えてよ。」
非難の声を上げる彼から一旦顔を逸らし真剣に考える。
「そうだなぁ…。涼架かぁ。うーん。….じゃあ涼ちゃんってのはどう?」
「可愛い!涼ちゃん…涼ちゃん…」
よほど気に入ったのか自分で自分からのあだ名を何度か繰り返す姿があまりに愛らしく、ずっと見ていたいと思った。そう思うことに驚き、なにを思っているんだと考えていると涼ちゃんがこちらを向く。
「涼ちゃん….、可愛い。ありがとう。…元貴…?ふふっ。やっぱりちょっと恥ずかしいや。」
そうやって笑う彼がこの世の天使だと思えないほどに綺麗で好きだと思った。
コメント
1件
うわあ、凄く可愛いお話だった…!🥺 同じく片羽しかない者同士が出会って、お互いの傷みたいなものを分かち合える感じが、もう胸にじんわり来たよ。涼架くんのあだ名で喜ぶ姿とか「可愛い」連発しちゃう元貴くんとか、見てるだけでこっちまでほっこりする。この二人、これからどんな風に仲良くなっていくんだろう…続きが楽しみで仕方ない🌙🤍