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月曜日 朝練日曜日は珍しく練習が休みだった。
真琴は家で一日中、布団の中で昨日を繰り返し思い出しては、
胸がざわついてうまく寝られなかった。
そして迎えた月曜日の朝。
グラウンドに一番乗りで来ていた真琴は、
アキの姿を見た瞬間、
心臓が跳ね上がった。
(……っ!)
アキはいつものように大きな体でグラウンドを横切り、
グローブをはめながら近づいてくる。
「おはよ、真琴!」
明るい声。
あの大きな手。
昨日、俺を抱きしめてくれた手。
真琴は咄嗟に目を逸らした。
顔が熱い。
直視できない。
「……お、おはよう」
声が上ずった。
アキはすぐに気づいた。
「真琴? どした? 具合悪い?」
心配そうに顔を覗き込んできたアキ。
真琴は後ずさりそうになったけど、
アキの大きな手が、すっと真琴のほっぺを掴んだ。
むにゅっ
柔らかく、でも確実に。
「顔赤いぞ? 熱あんのか?」
アキは本気で心配している顔で、
真琴の頰を軽く揉むように撫でる。
真琴の頭の中が真っ白になった。
(熱い……アキの手、熱い……!)
心臓が爆発しそう。
耳まで真っ赤。
息ができない。
「う、うるさい‼️
練習するぞ!」
真琴は慌ててアキの手をぺちんと払った。
優しく、でも必死に。
アキは「???」と首を傾げながら、
「なんだよ、元気じゃん」と笑った。
真琴は自分の右手を見つめた。
さっきアキに触れられたところが、
ジンジンと熱を持っている。
(……なんで……?)
胸が痛い。
昨日と同じ痛み。
でも、嫌な痛みじゃない。
むしろ、もっと近くにいたいと思う、
変な痛み。
真琴は慌ててグローブを拾い、
マウンドに向かって歩き出した。
後ろからアキの声が追いかけてくる。
「待てよ〜! 一緒にウォーミングアップしようぜ!」
真琴は振り返れなかった。
顔を見られたら、
きっとバレてしまう。
(……俺、どうしちゃったんだろう)
朝のグラウンドに、
真琴の小さな背中と、
アキの大きな影が、
少しだけ近づいていた。