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グルッペン 第一章 第一幕
「あの子は本当に優秀ね」
「将来有望だ」
幼い頃からそう言われて生きてきた
そこそこ裕福な家庭で生まれ
親や先生の言われるがまま過ごす日々
なんら疑問に思っていなかった
だが、ある日気づいてしまった
親のレールの上を歩かされていることに
その日、その時から
「もっとスリルのある事をしたい」
そう思った
いつも通りの日々はひどく退屈で
つまらない
いつの頃だったか
自国が戦争を仕掛けたらしい
戦況は良くない
その証拠に
少年兵の募集がかかった
俺は立候補し
その時初めて軍に入った
そして知る
血反吐を吐くような努力を
今まで知り得なかった多くの苦痛を
そう思えば、あの時の軍はいい経験だったのかも知れない
そしてある日、戦場に行くよう命令が入った
正直言って、訓練も足りない少年兵達を戦場に行けと命ずるのは
死にに行けと言っているようなもので
戦況がどれだけ悪化しているかが窺えた
戦場
鉄の臭いが充満している死の場所
次々に同期は死に
そして覚えた
人を殺す感触
強行状態に陥る兵士たち
目の前に広がるは死体
グロテスクで1年前の自分が見ていたら間違いなく吐いていただろう
しかし、今の自分は何も感じるは歓喜
死すらも恐れず
敵地へ駆ける
敵兵を何度も刺突し
銃で何度も撃つ
その様は戦闘狂ならぬ戦争狂のようだと
何時ぞや兵士から聞こえた気がする
俺が高等部に上がる
くらいになった頃
戦争は終わった
ギリギリ自国の勝利
歓喜の声と共に
俺は迎えられた
しかし、もう俺にはそのような温かい温度は不釣り合いで
酷く滑稽に感じ
そして家を出た
当ても無くただ歩き
気づいた頃には寄宿学校のベットの上だった
どうやら近くで倒れていたようで
運が良いものだとつくづく思う
そして出会った
今でも俺の右側に支えている
あの男に
グルッペン 第一幕 終