テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
蒼介 生存 if
8月4日
夏休みに入った俺はダラダラとベッドに寝転んで
過ごしていた。
今年の夏は暑すぎる為、ばあちゃん家に行くのは
断念した。
夏休みの課題は早めに終わらせて
ゆっくりとした夏休みを送ろう。
俺は完全にだらけきった体を無理やり起こして
キッチンへ向かった。
俺は自炊が得意なタイプではない。
なのでトーストを適当な時間で焼いて
マヨネーズをかけて胡椒をかければ不健康な朝食が完成する。
アイスコーヒーを適当に入れてテーブルに座る。
スマホをいじりながらトーストを齧る。
ばあちゃん家にいたらこんなことはできない。
そしてもっと健康的な和食が出てくるだろう。
スマホをいじると言っても
TikTokやインスタ、YouTubeを見るわけではない。
ちょっとしたニュースを開いては閉じ、
開いては閉じ、を繰り返すだけだ。
そんな中でやはり俺の目が惹かれてしまうのは
行方不明、の四文字だった。
両親が行方不明になった俺はやはりそれ関連の記事は
目を惹きつけ、いつのまにか最後まで読んでしまう。
それはきっと、頭のどこかで自分の両親なのではないかと
期待しているからだろう。
両親がいたら、と考えることは少なくない。
両親がいたら今頃ばあちゃんは一人で家にいるわけじゃないし
俺だってアルバイトをしてあと少しはばあちゃんからの
仕送りなどで自分の生活を成り立たせることもなかっただろう。
そしてきっと俺にも反抗期が今頃あっただろう。
ばあちゃんが元気だからといって、買い物をばあちゃんに
行かせるわけにはいかなかったし、家事だって
少しは俺も手伝わなきゃ育ててもらっているのに
失礼だと思って進んで家事を手伝った。
だからか家事は多少できるものの、自炊はできない。
トーストを齧り終えた俺はテーブルに課題を広げて
ため息を吐いた。
俺は勉強ができる方ではない。
テストの点数は赤点ギリギリだ。
得意な教科は体育と国語くらいだ。
体育は体力と身体能力のおかげだ。
国語はただ単に俺の脳が文系なだけである。
周りからは意外と言われた。
俺はよく気が効くし頭も回る。
周りがなにで困って、何をして欲しいのかを
理解してくれている、というのが周りからの認識だったらしい。
実際そんなことはない。
俺は適当といってはなんだが、とりあえずこうしようという
思考で動いているだけだ。
そうしてペンを取り出して課題を進めた。
時々わからない問題に頭を悩ませ、友達にLINEを送る。
少し教えてもらってまた再開。
それを3日間繰り返し、課題を全て終わらせた。
「 よし、これでだらだら過ごせる 」
そうして俺の夏休みはだらだらとした生活に終わった。
__ 。
コメント
6件
このエピソード、すごく好きです。 蒼介くんの日常が丁寧に描かれていて、彼の人となりがじんわり伝わってきました。特に印象的だったのは、両親の行方不明記事にどうしても目がいってしまうところ。頭のどこかで期待してしまう気持ち、すごくわかります。そしてばあちゃんに少しでも迷惑かけまいと家事を率先してやる姿に、彼の優しさと寂しさが重なって胸がぎゅっとなりました。 トーストにマヨネーズと胡椒だけの朝食、課題を終えて「これでだらだら過ごせる」という呟き。一見普通の日常なのに、彼の背景を知ると全部が切なく愛おしく感じられます。 蒼介くんが生きている世界、もっと見ていたいです。続きが気になります…!
・_^
13
468
Rimore
39
#かごめかごめ
桜城
636