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保健室のベッドに転がる、睡魔ねゅ。
お気に入りのピンクの枕と、いちご柄のブランケットにくるまっていた。
そこに、のあが静かにドアを開ける。
のあ:「あ、ごめん。誰かいるかなと思って……」
ねゅ:(モゾ……)「……くぅ……zzz……おにぎり食べたい……」
のあ:(小声で)「寝てるか……」
そっと帰ろうとするのあ。
すると、ねゅ、バチッと目を開けて――
「のあくん、失恋した顔してるッッッ!!!」
のあ:「っっ!? ね、寝てたんじゃ……!」
「甘いね? のあくん。ねゅは寝てるフリして情報を集めるの得意なの〜っ!(ニコッ)」
「てか、のあくん……ほんとはさぁ〜、ここあちゃんのこと、ちょっとは“可愛い”って思ってるでしょ? 」
のあ:「……うん。思ってるよ」
「ほらねぇ〜!?!?!? これはもう恋ではッ!?!?!?」
のあ:「でも“友達として”だよ……」
ねゅ、ガバッと起き上がる。
「出た!“友達として”!!“友達として”は、全人類に配布する危険物〜〜〜ッ!!!」
のあ:「ぼ、ぼく……配ってたの?」
「配ってた。しかも無意識に!それが一番タチ悪いッッ!」
ねゅ、ベッドの上で妄想モード突入。
「被告人・朝霧のあ、罪状は“優しさで人の恋心を誘発した疑い”!!」
「弁護人、どうぞ〜!!」
のあ:「えっ、ぼく……!?」
「あ、ちがった、のあくんが被告人か!じゃあねゅが裁く♡」
のあ:「えぇぇぇ〜……」
ねゅ:「うーん……情状酌量の余地あり……ってことで、
“ねゅと一緒にお昼寝1回”の刑!! ぴしっ」
のあ:「え、ええぇぇぇぇ……」
ねゅ:「だってのあくん、寝てないでしょ?失恋してモヤモヤしてると、寝れないもんね?」
のあ:「……よくわかったね」
ねゅ:「うん、わかるよ。
ねゅだって、いっぱい夢見て、いっぱい負けてきたから」
のあ:「……ありがとう」
ねゅ、のあに布団をちょっと分けてあげながら、ぽつり。
「ねゅもね。
ほんとの恋、まだ見つけたことないの」
「……でも、のあくんが“見つけてないまま”卒業しちゃうのは、
なんか、やだな〜って思っただけ」
のあ:「ぼくも……まだ、わかんないままなんだ」
「じゃ、答え出るまで、ねゅとお昼寝で保留ね♡ また眠くなったらおいで〜♪」
――恋のど真ん中じゃない、けれど
誰よりも恋に触れている“ねゅ”は、
そっと、のあの心を守っていた。