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街の広場には、すでに大勢の人が集まっていた。「おいおい……」
「Sランクのレイナが本気だぞ」
「新人終わったな」
ざわめきが広がる。
しかし、その中心にいる二人は――
静かに向かい合っていた。
赤髪の剣士 レイナ。
そして異世界に来たばかりの少年 ユウキ。
レイナは楽しそうに笑っている。
「新人なのに、さっきの一撃は良かったよ」
ユウキは剣を構えたまま答える。
「たまたまです」
「謙遜しなくていい」
レイナの目が鋭くなる。
「でも、ここからは本気で行く」
その瞬間。
空気が変わった。
周囲の冒険者がざわめく。
「出るぞ……」
「レイナの本気だ」
レイナは地面を蹴った。
ドン!!
一瞬で距離を詰める。
「速っ!!」
ユウキは慌てて剣を振る。
ガキィィン!!
強烈な衝撃。
腕が震える。
レイナの連撃が続く。
ガン!ガン!ガン!
剣がぶつかり火花が散る。
「くっ……!」
ユウキは必死に防いでいた。
(強すぎる……!)
さっきよりも速い。
重い。
完全に本気だった。
レイナは笑っている。
「どうしたの?」
「さっきの勢いは?」
ユウキの足が少し下がる。
その瞬間――
『主よ』
頭の中に声が響いた。
魔剣グラム。
『力を解放しろ』
「え?」
『魔剣の力はまだ目覚めていない』
「まだ!?」
『意識を我に集中しろ』
ユウキは目を閉じた。
心の奥にある力を感じる。
黒い力。
強大な力。
グラムの声が響く。
『恐れるな』
『それは主の力だ』
ユウキは目を開いた。
瞳が少し光る。
レイナが気づいた。
「……空気が変わった」
ユウキは静かに言う。
「行きます」
次の瞬間。
ユウキが動いた。
ドン!!
地面が割れるほどの踏み込み。
レイナの目が見開かれる。
「速っ!?」
ユウキの剣が振り下ろされる。
黒い光が走る。
ズバァッ!!
レイナは咄嗟に剣で受ける。
ガキィィィン!!
衝撃波が広場に広がった。
周囲の人が驚く。
「な、なんだ今の!?」
「新人の力じゃねぇぞ!」
レイナは後ろに下がる。
数メートル滑った。
「……すごいね」
レイナは笑った。
「これが魔剣の力?」
ユウキは剣を握る。
グラムが静かに言う。
『これが覚醒の第一段階』
「第一段階!?」
『まだ序の口だ』
レイナは楽しそうだった。
「いいね」
剣を構える。
「もっと見せてよ」
二人は同時に動いた。
ドン!!
剣がぶつかる。
ガキィン!!
ガン!ガン!ガン!!
高速の斬り合い。
周囲の人間はもう動きが見えない。
「速すぎる!」
「見えねぇ!」
その時。
ユウキの剣から黒いオーラが溢れた。
ドクン。
ドクン。
魔剣が脈打つ。
グラムの声が響く。
『主よ』
『技を放て』
「技!?」
『魔剣には技がある』
ユウキは剣を振り上げた。
黒い力が集まる。
「これ……!」
レイナが目を細める。
「やばそうだね」
ユウキは叫んだ。
「黒閃斬(こくせんざん)!!」
剣を振り下ろす。
巨大な黒い斬撃が走る。
ズガァァァァン!!
地面が裂けた。
砂煙が舞い上がる。
広場が静まり返る。
「終わったか……?」
誰かが呟いた。
だが次の瞬間。
シュッ
煙の中から影が飛び出す。
レイナだった。
「危なかった」
レイナは笑っている。
だが――
頬に少し傷がついていた。
血が一滴落ちる。
広場がざわつく。
「レイナが……」
「傷を……?」
レイナは剣を下ろした。
「もういい」
「え?」
ユウキは驚く。
レイナは笑った。
「降参」
広場が一瞬静まる。
そして――
「えええええ!?」
大騒ぎになった。
「Sランクが負けた!?」
「新人が!?」
レイナはユウキに近づく。
「君、名前は?」
「ユウキです」
「ユウキか」
レイナはニヤッと笑った。
「気に入った」
「え?」
「今日から私のパーティーに入らない?」
ユウキは目を丸くした。
「えええ!?」
Sランク冒険者からの勧誘。
こうして――
落ちこぼれ高校生だった少年は、
異世界で一気に注目される存在になった。
そして彼の冒険は、
ここからさらに大きく動き出すことになる。